(第4話)不自然でないものを食べる キコの「暮らしの塩梅」
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(第4話)不自然でないものを食べる キコの「暮らしの塩梅」

「私によくて、世界にイイ」が実現できる、エシカルな暮らし・食のカタチってなんだろう。仕事に家事に育児に…日々生活を回すだけでも大変な私たちにとって、新しく行動を起こすのはエネルギーも時間も使うし、ハードルが高く感じてしまうもの。

でも日々の暮らし、一日三度のごはんを、少しでも”良い”ものにできたら?

当たり前の毎日のなかで、大切な家族も、世界も、そして私自身もほんのちょっぴり幸せになるような選択をしていけたらいいなと思うのです。

【連載】キコの「暮らしの塩梅」を読む>>>

不自然でないものを食べる(私なりの大切にしている基準)

第3話では、腸にいい発酵食の魅力についてお伝えさせていただきました。

今回は日々の食べるものにどんなものを選んでいきたいか、私なりの大切にしている基準をお話しします。

食に関心を持ち始めた高校生のころ、

ふと家の本棚に並んでいた「食品の裏側」(安部司著、2005)という本を手に取りました。

その本には「コーヒーフレッシュには牛乳が一滴も入っていない」こと、「お弁当の人気メニュー ミートボールは、廃棄寸前のくず肉と30種類もの白い粉でできている」ことなど食品添加物に関することが書かれており、当時の私にとって衝撃的な内容でした。

スーパーに並んでいる食品は、家で作っているものの延長くらいに思っていましたが、よく見れば不自然に鮮やかな色をしていたり、裏を返して原材料の欄をみてみればよくわからないカタカナの文字ばかり並んでいたり、、

安さ便利さ見栄えの良さを求めた結果、市販の食品の多くが、添加物や化学調味料を使って作られるようになっていたのです。

この本と出会ってからは、食べものが何を使ってどのように作られたのかを意識するようになりました。

安部司 著(2005)『食品の裏側』東洋経済新報社

便利でこわい食品添加物

安くて手軽に手に入る便利なウインナーやお漬物などの加工食品。

添加物を加えることによって、見た目も味も美味しそうに作れたり、食品の保存期間を長くしつつ食中毒を防ぐことができたりと、多くの恩恵も受けています。

一方日本では、海外では規制されている添加物が使用されていたり、、

複数摂取した場合の毒性が明らかになっていないにもかかわらず認可されているものがあったりと、安全性に疑問を抱く点があるのも事実です。

例えば加工食品の原材料欄でよく見る「たんぱく加水分解物」。

コクや旨味をもたらすもので、インスタントラーメン、ソーセージ、醤油、栄養食品などさまざまなものに使用されています。

その原料は脱脂加工大豆や動物のくず肉などで、加水分解する際に塩酸を使用した場合

発がん性物質の発生が確認されており、ほとんどの国では使用が規制されています。

本物の醤油とは

ここではどのご家庭にも必ずあるお醤油を例に挙げて、その作りかたを比較してみたいと思います。

昔ながらの製法で作られたお醤油は、大豆、小麦、塩を原料とし、麹菌や酵母による複雑な発酵過程を経て作られます。

その過程でアミノ酸や糖分による旨味が醸し出されるため、出来上がるには一年以上の期間と手間がかかります。

一方もっと早く安く効率的に売るために作られた「しょうゆ風調味料」は、次のように作られます。

“まず「グルタミン酸ナトリウム(化学調味料)」でうまみをだし、「甘味料」で甘みをつける。酸味を出すために「酸味料」も入れます。「増粘多糖類」を数種入れてコクととろみを出します。色は「カラメル色素」で着色します。香りづけのためには本物のしょうゆを少々足します。日持ちが悪いために「保存料」も加えます。これで「しょうゆ風調味料」の完成です(引用:安部司『食品の裏側』pp81-82)。“

この「しょうゆ風調味料」なら、混ぜ合わせるだけなので一ヶ月もかからずに作ることができると言います。醤油だけでなくお酒やみりんも同様、たくさんの添加物を用いて安く大量に作られているのです。

先ずは毎日の調味料にこだわる

このような製造の背景を知った私は、先ずは毎日のお料理で使う調味料をちゃんと作られたものに揃えることからはじめました。

お味噌、しょうゆ、みりん、お酒、お酢…

伝統的な方法で作られた調味料は、お米や大豆、天然塩そのものを原料に微生物の力を借りてじっくりと時間をかけて熟成され、その発酵の過程でうまみや体にとって有効な成分がたくさん生み出されています。

やや値は張りますが、少しの量でいつもの料理の味がずいぶんと変わります。

なにより安さ便利さが強く求められる昨今においても、

昔ながらの方法で調味料を作り続けてくれている作り手さんを応援することにもつながると思うと、より本物を選択していきたいと思うようになりました。

「どこで」「誰が」「どのように」作っているのかを知ること

日本ではどこに住んでいても、同じものが安くたくさん手に入ります。

とても便利な一方で、何でも安く早く大量にといった効率を重視した結果、

失われてしまったものもたくさんあるのではないでしょうか。

食の安全性が問われ様々な健康法が飛び交う今、

「◯◯は体にいい」「◯◯は体に悪い」と溢れる情報に惑わされない為には、

その食べものが「どこで」「誰が」「どのように」作っているのかを知ること、私たちの体にとって自然なことかどうかを考えることが大切だと思っています。

食品添加物に関しては、親しみのないカタカナの名前も多く原材料を読んだだけで安全性を判断することは難しいです。

自分の身体や家族の身体にいい選択

『台所にないものは食品添加物』。このシンプルな答えが、私の中でとてもわかりやすい選択の基準となっています。

お家の台所でお漬物を漬けるのに、香料や着色料、保存料であるソルビン酸をわざわざ買ってきて入れるようなことはしませんよね。

だから原材料の名前をみたとき、そのものがイメージできる、台所にあるものであればきっと大丈夫。知らない単語が少ないものを選んでいけば、自分の身体や家族の身体にいい選択になります。

日々食べるものを全て無添加で自然素材で作られたものに揃えるのは難しくても、

まずは調味料から、まずはこどもの食べるおやつから…と

今のライフスタイルにあった形で取り入れてみるのはいかがでしょうか。

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季子(キコ)

京都在住の一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

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