(第19話)「環境に優しいナチュラルクリーニングでおうちも気持ちもさっぱりと(後編)」キコの「暮らしの塩梅」
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(第19話)「環境に優しいナチュラルクリーニングでおうちも気持ちもさっぱりと(後編)」キコの「暮らしの塩梅」

「私によくて、世界にイイ」が実現できる、エシカルな暮らしのカタチってなんだろう。仕事に家事に育児に…日々生活を回すだけでも大変な私たちにとって、新しく行動を起こすのはエネルギーも時間も使うし、ハードルが高く感じてしまうもの。

でも日々の暮らしのなかで、少しでも”良い”につながることができたら?

当たり前の毎日のなかで、大切な家族も、世界も、そして私自身もほんのちょっぴり幸せになるような選択をしていけたらいいなと思うのです。

第18話では、天然の界面活性剤として古代から使われている石けんのことについてお伝えしました。今回は前回に続き、環境や人体への負担の少ないナチュラルクリーニングの方法についてお伝えします。

どうやって選ぶ?天然由来成分の種類と特徴

ナチュラルクリーニングとは、身近にある食品や自然界にある素材を使ったお掃除方法で、排水後も微生物などの働きによって成分を分解してくれるため、環境に負担が少ないと言われています。

天然由来で刺激も少ないため、小さな子どもやペットがいる家庭でも安心して使えます。

ナチュラルクリーニングの特徴は、それぞれの成分の「酸性」や「アルカリ性」といった性質を生かして汚れを落とすこと。

ドラッグストアなどで販売されている洗剤の多くは、お風呂用、台所用、トイレ用などと場所によって使い分けていますが、ナチュラルクリーニングでは「汚れの性質」で洗浄剤を使い分けます。

例えば、酸性の汚れ(皮脂や油、コゲなど)にはアルカリ性のもの、アルカリ性の汚れ(水垢、石けんカス、アンモニアなど)には酸性のものといったように、中和させることで簡単に汚れを落とすことができます。

今回ご紹介するのは、クエン酸、重曹、過炭酸ナトリウム、アルカリ電解水の4つです。

それぞれの性質や用途などを一覧にしたものを文末にも載せているので、よかったら参考にしてみてくださいね。

種類別おすすめの使い方

4つの成分の特徴とわが家での使い方を順にご紹介します!

 

クエン酸

酸性の成分といえば、クエン酸。柑橘類に含まれる有機化合物をもとに作られています。

お料理に使うお酢(アミノ酸などが添加されていない米酢・穀物酢がおすすめ)も、同じように使うことができます。

クエン酸が活躍するのは、水アカやアンモニアなどアルカリ性の汚れ。

クエン酸小さじ1/2と水100ccと好みのアロマオイル10~20滴をスプレーボトルに入れ、振って溶かしたものをトイレに常備しておくと便利です。

使用後にシュッとスプレーしたり、掃除の時に便器周りや床に吹きかけながら拭き取ると、臭いも取れスッキリとします。

アロマオイルは除菌・消臭効果も高いティーツリーやユーカリプタスがおすすめ。

重曹

重曹(炭酸水素ナトリウム)は塩と石灰を原料に作られ、膨張剤としてお菓子作りなどにも使われています。万が一飲んでしまっても、胃酸と反応して水と塩化ナトリウム(塩)と二酸化炭素になるため無害です。

使い方は主に3つ。

粉末のまま鍋のコゲ付きやコップの茶渋などに振りかけてスポンジでこすれば、研磨効果によってこびりついた汚れをきれいに落とせます。

また消臭効果も強く、排水口や靴箱など臭いが気になるところにたっぷり振りかける、もしくは容器に入れて置いておけば、悪臭が抑えられます。

ふりかけてこするだけで落ちないような頑固な汚れには、重曹ペーストを。重曹3:水1の割合で混ぜ合わせ、汚れに塗ってラップで蓋をし4時間以上放置したあとブラシでこすります。

使い勝手が良いのは重曹水です。

水100mlと重曹小さじ1をスプレーボトルに入れて振り混ぜ、お好みでアロマオイルを入れても◎

手に取りやすいところに置いておけば、キッチンの油汚れや床の汚れの気になるところにサッとスプレーして拭き取るだけでスッキリと汚れが落ちます。

消臭効果も高いので、雨が続いて洗濯物が生乾き臭い時、タバコ臭い時など衣類にスプレーするのもおすすめです。

(重曹の濃度が濃かったり混ざりきっていないと白浮きすることがあるのでご注意ください)

過炭酸ナトリウム

重曹よりもアルカリ濃度が高く、強い洗浄効果と殺菌・消臭効果を持ちます。

炭酸ナトリウムと過酸化水素の混合物で、使った後は酸素・水・炭酸ソーダに分解されるので有毒な成分を発生せず、環境にも優しいと言われています。

こちらも重曹などと同様に使えますが、おすすめは漂白。

40〜50℃前後のお湯3Lに大さじ2杯の過炭酸ナトリウムを加え、よく混ぜて溶かし漂白したい物を入れて1〜2時間ほど放置します。

台所の布巾や子どもの口拭きタオル、エプロン、布おむつなど汚れや臭いがつきやすい物もつけおきするだけで、まっさらにきれいにしてくれます。

わが家では特に娘の保育園の衣類に大活躍。濡れたまま持ち帰るのでカビや臭いがつきやすいのですが、定期的につけおきしておくことでそんな悩みも解決できます。

(なお、化学繊維、木綿、麻などの衣類で漂白剤使用が禁止の表記がなければ大丈夫ですが、アルカリ洗剤に弱いウール、絹、金属や木製の部品が付いている衣類、色落ちしやすい衣類には向きません)

もう一つのおすすめは、石けん系洗濯洗剤との併用。

石けん由来の洗剤を繰り返し使っていると、落ちきらなかった石けんカスが洗濯槽にこびり付き黒カビの原因に、、、

そんな問題も、洗剤と一緒に過炭酸ナトリウムを水10Lに対して大さじ1ほど入れると改善します。活性酸素の発生により汚れが分解され、洗濯物の洗浄効果アップ+洗濯槽の掃除も一緒にできて汚れが定着しにくくなります。

※ただし、このやり方で洗濯する場合は、必ずその前に洗濯槽をきれいに洗浄してください!洗濯槽の汚れと洋服を一緒い洗ってしまうことになりかねません…

アルカリ電解水

最後は、ご紹介するなかでもっともphの値の高いアルカリ電解水です。

水は電気を流すと酸性とアルカリ性に別れる性質があり、それを生かしてアルカリ性の水のみを取り出しているため、成分は水100%でできています。

汚れを落とす力がとても強く、除菌にも使える優れものです。

通常、洗剤は泡立つため2度拭きや水洗いが必須ですよね。

先にご紹介した重曹水やセスキ水も同様に粉浮きするため2度拭きが必要ですが、アルカリ電解水は水のみなのでスプレーしたまま放置しても何も残らず、手間なく使えます。

また直射日光が当たらないところで保存すれば、洗浄効果は薄れず長期に渡って使用できます。都度粉を溶かして作らなくていいので、掃除へのハードルも低くなるのは魅力ですよね。

わが家ではキッチン周りの掃除はほとんどこのアルカリ電解水を使用しています。

手強い換気扇やコンロやの汚れもシュッと吹きかけて5分ほど置いて拭けば、スルッと汚れがきれいに落ちます。

ゴミ箱の消臭や子どものおもちゃの殺菌などにも活躍しています。

ナチュラルな洗剤を使って、より快適に毎日のお掃除を

ナチュラルクリーニング、いかがでしたでしょうか。

お掃除する時のポイントは、汚れの性質を認識してより適した洗浄剤を選ぶこと。

今回ご紹介した使い方はほんの一部ですが、工夫次第で何通りにも使えます。

洗剤のCMなどでよく見かける、少しの量でするんと汚れが落ちる、ということはそれだけ強力な成分を使っているということ。強力な合成成分は使用後も分解されにくく、人によってはそれが刺激となり、手荒れやあかちゃんの肌荒れの原因となっていることも。

ナチュラルクリーニングは一見手間がかかるように見えますが、成分が安全な分すすぎや拭き取りに時間をかけなくていいのもの魅力です。

ちょっとしたスキマ時間に、シュシュっとスプレーしたり振りかけたり。毎日のプチ掃除に欠かせないものとなっています。

カビなど気になる汚れが溜まりがちなこの季節こそ、自然素材の洗剤を使って地球に優しいお掃除をしてみませんか?

おまけ〜成分早見表

(太字のものがナチュラルクリーニングの成分です)

※今回ご紹介した成分は合成洗剤と比べると安全性は高いものですが、万が一目や口に入ると危険です。子どもの手の触れるところには置かず、使う時も周りに人がいない状態で使用してください。万が一飲んでしまった場合はすぐに口をすすぎ、コップ一杯の牛乳または水を飲み医師の診断を受けましょう。

【連載】キコの「暮らしの塩梅」を読む>>>

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

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