【ethicaオンラインワークショップ】ドイツの暮らしを参考に地球に優しい暮らしを考えてみよう(後編)
独自記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
【ethicaオンラインワークショップ】ドイツの暮らしを参考に地球に優しい暮らしを考えてみよう(後編)

ethica公式ファシリテーターのスミレさんは、大学で国際教養を学ぶ傍ら、文部科学省が展開する「トビタテ!留学JAPAN」の9期生として2019年1月より1年間ドイツへ留学。帰国してからは、スミレさんがドイツで学んだこと、感じたことを「スミレのドイツ留学 回顧録」として、ethicaで語っていただきました。

中編に続き、スミレさんにethicaの読者のみなさんと交流していただきながら、ロールプレイング形式のワークショップを開催しました。スミレさんがファシリテーターを務め、参加者はカオルさん、ヒカリさん、マリナさん、チギラさん、ミズキさんの5人です。大いに盛り上がったワークショップの模様をレポートします。

ワークショップのテーマは「ドイツの暮らしを参考に地球に優しい暮らしを考えてみよう

旅からの帰国

スミレ: みなさんは旅を終えて日本に帰国しました。今、何を思いますか? 質問でもいいですし、びっくりしたことでもいいし、感想でもいいし、何か感じたことをぜひ教えてください。

チヒロ: とても楽しかったです。ずっと前から考えていましたが、ドイツのごみ箱は本当に画期的なシステムだと思っていて、でも、結局、ごみ箱が駄目になったらやっぱり捨てられるのかなと考えると、プラスチックの袋を使うのと、ごみ箱を使って廃棄するのとではどっちのほうが廃棄量が少なくて済むんだろうという疑問があって、そういうデータとかあって、もし、ごみ箱のほうがよかったら絶対に日本にも導入したほうがいいなと思いました。

スミレ: たしかに、ごみ箱そのものが駄目になっちゃったら……ということですよね。

チヒロ: それと、量り売りとかまだ日本には少なくて、日本人はオーガニックや量り売りのお店にはあまり行かないかなと思うと、どこから始めたらいいんだろうって、そっちのアプローチも必要かなと思いました。

スミレ: 紙ごみのごみ箱はなかなか壊れないと思うけど、よく使う生ごみの箱は途中から臭いが気になったりするのかなあと、今、私も思いました。

日本ですぐにあのシステムができるわけではないので、まずできるのは、使うごみ袋の量を減らすことなのかなと思います。ごみ袋が全然一杯になっていないのに、くくって出しちゃうとかあるから、なるべくごみ袋をぎっしりにしてから捨てるのを心がけるのが大事だと思います。

ミズキ: 僕が旅行者としてドイツに行った時は全然気がつけなかったところが多くて、実際に生活をして家庭の中に入ってこそ気づけたんだろうなということで、すごく勉強になりました。

ライフスタイルから社会に与える影響を、ドイツはシステムとしてうまく取り入れているのかなということに、すごく強い印象を受けました。プラスチックフリーの水だったり、ライフスタイルから浸透させることで、個人としてできることを選択肢として選べるような、そういう社会になっているから1人1人が率先して環境にいいことに参加しやすい社会が作られているのかなと思いました。

なので、ドイツの社会がこういう仕組みになった背景、一消費者からのニーズが高まってこういうふうに変わっていったのか、政府側から今、日本がやっているように制度として紙袋いくらとか、プラスチック袋いくらとかっていうふうにしたことで、企業が変わっていったのか、今一度背景を調べてみたいなと思いました。

スミレ: たしかに背景は、私もちゃんと調べてみたいと思います。一度、ホストファミリーに、なぜ、ドイツはこんなに環境に優しいのかと聞いたことがあって、その時にはドイツも環境に優しくなったのは、ここ数年なんだよっていっていました。いろいろな制度が変わっていって、人々が環境問題について日常的に話すようになったと。

日本人はどこから変えたらいいのかというのは考えどころだなと思います。

カオル: やっぱり日本とは全然違うなと思いました。私は今、スーパーで品出しのアルバイトをしていますが、並べるもの全部がプラスチックで、こんなに必要なのかっていうくらいあるし、ダンボールも毎日山ほど出るし、そういうところももっと変わっていったらいいなと思いました。

それから、プラスチックではないけど、レシートとか紙のごみがすごくて、レシートのために1日に何ロールも代えなくてはいけないし、それ本当に必要なのかな、もったいないなあといつも思っていて、そういうところも少しずつ変わっていけたらいいなと思いました。

スミレ: 次にヒカリさん、いかがですか。

ヒカリ: まずドイツで暮らすということにワクワクした内容でした。それと、ドイツには、ものを大切にする文化があるのかなと。愛着がわくし、その愛着がものに向くことで、捨てたりすることも少しずつ減ったりするのかなと思いました。ドイツのいい取り組みを日本ではどう活かしたらいいのかなというのが気になりました。

Bremenで見つけた緑豊かな散歩道!

スミレ: 最後にマリナさん、お願いします。

マリナ: ドイツにプチ旅行した気分にさせてもらって、ありがとうございました。

消費者のニーズが先なのかわからないけど、ビンのお水を買ってもビンをお店に返却すると、お金が戻ってきたりとか、マグカップの仕組みだとすごく利益になるから続けていけるし、社会や家族全体に仕組みが浸透しているから続けていけるんだなって思いました。

日本って、もともともったいない文化とか、ものを大切にする暮らしをしてきたはずだと思うのに、過剰包装が多かったりしてきましたが、今ちょっとずつ変わってきて、こういうことに興味を持っている子が周りでも増えているから、そういうところからメディアがどんどん取り上げたりして普及していけばいいなと思いました。

スミレ: みなさん、ありがとうございました。最後に少しだけ私から。

まず便利な暮らしと地球に優しい暮らしは両立できるということを知ることがすごく大切だと思っています。今はまだ便利だからレジ袋を使ったりしがちだけど、エコバッグを持ったりちゃんと工夫をすることを心がければ、買い物も便利に地球に優しくできるということを、まず知ってほしいという思いがすごくあります。

もう1つは、私はドイツの人々が環境について話していることにすごい衝撃を受けたというか刺激を受けたので、たしかに1人では大きく変えることはできないかもしれないけれど、今日ここでみなさんと話したことでひとりひとりの環境への意識が少しでも変わっていって、広がっていったらと思います。

さあ、始めよう、昨日よりほんの少し地球に優しい暮らしの第一歩ということを、私はすごく大切にしていて、明日はビニール袋を使わないとか、本当に小さな一歩が少しずつ変えていくかなと思うし、それこそ、まずみんながエコバッグを持ち始めたらビニール袋の生産が減るかもしれない。政策が先に来るか、個人が先に動くのかどうかはわからないけれども、私たちにできるのは私たちの小さな一歩かなと思うので、今日の話が何かにつながっていけば嬉しいなと思います。

スミレ: それでは、ほかに何か質問はありますか?

ミズキ: ドイツの同じ世代の人たちは、環境のことについて具体的にどんなことを話していましたか? 例えばSDGsについて話したりするんですか?

スミレ: SDGsについても話しているけど、固い内容というよりは、例えば、こんなエコバッグがよかったよとか、どこどこのお店はプラスチックがないらしいよとか、そういう情報を教えあったりしています。

ミズキ: 最新情報を交換し合うみたいな?

スミレ: そうですね。他には、フライデーフォーフューチャーという環境ストライキがあって、金曜日に一緒に行こうよとか。それから、日本はどうなのって興味を持って聞かれたり、今日のプラスチックの話からは外れるかもしれませんが、お肉を食べない選択をしている子がすごく多くて、みんなで、あなたは何でお肉をやめたのという理由を話し合ったりとか、私はお肉を食べないけど、日本に旅行に行ける?とか、そんなことを聞かれたりします。

ドイツにも格安のフライマークという洋服屋さんがあって、日本のH&Mみたいな感じのお店なんですけど、私がそこに行こうとしていたら、そのお店は労働環境があまりよくないお店だから、そこで買うのはやめたほうがいいんじゃないっていわれたこともあります。

環境問題に全然興味のない人もいるけど、それなりに1人1人が意見を持っていて、できることをやっているという印象を受けました。

チャットからのご質問コーナー

スミレ: チャットにいただいた質問にもお答えしますね。 

Q:自然は多かったですか? 若者の環境ストライキは多かったですか?

スミレ: 自然はとっても多いです。ドイツの人ってお散歩が趣味みたいな感じで、友だちと会うと散歩に行こうってよく誘われました。どの町にも散歩道があり、森があって自然がすごく多いなと思いました。

ストライキについては、フライデーフォーフューチャーは毎週行われていたかな、大きい町では特に。

Q:親世代の環境に対する姿勢や意見はどうですか?

スミレ: ドイツの親世代に関しては、私は2家族しか知らないので、大きなことはいえませんが、1つ目の家庭は娘さんが2人いて、1人はビーガンで乳製品を一切摂らない生活をしていて、もう1人はベジタリアンでしたので、お母さんたちも理解していて、さらに1人は小麦のアレルギーを持っていたから大変で、フライパンをわけたりとかすごく協力的な感じでした。

お母さんとお父さんもなるべく環境に優しい暮らしをしたいといっていたけど、その2人はお肉を食べる生活をしていて、2人だけで出かける時にご褒美みたいな感じでお肉を食べていました。ピザを作るとなった時には、お父さんとお母さんは自分のものだけにはハムやベーコンを乗せたりして、娘がお肉をやめたから私たちもやめるというよりは、私たちはお肉を食べるという選択をするという感じ。お肉を食べたい人もいれば、食べない人もいることにすごく理解があったかなと思います。

2軒目は子どもがまだ3歳くらいと小さいこともあって、普通にお肉を食べる家庭で、私もドイツにいた時は普通に食べていました。でも、だからといって、お肉を食べない人のことをどうこういったりとかは全然なくて、日本はお肉を食べない人が増えているの?とか日常で聞かれたりしていたので、自分は全然そうじゃなくてもちょっと意識はしていたのかもと思います。

ドイツにはお肉を食べない人が住みやすい町があって、そこではビーガンケーキやビーガンクッキーが売っていたり、アイスクリーム屋さんにもビーガンアイスがあったし、ドイツはソーセージが有名でソーセージ屋さんがたくさんあるけど、その中に1つくらいはビーガンソーセージがあったりして、私には驚きでした。グミやチョコレートにもビーガンのものがたくさんいろいろありました。

では、ここまででワークショップは終わりとなります。今日はみなさん、どうもありがとうございました。

ドイツ留学をきっかけに、環境問題に関心を持ったスミレさんにethica公式ファシリテーターとして、読者のみなさんと交流していただきながら、ワークショップを開催してまりました。(前編) ・(中編)をお見逃しの方は、是非バックナンバーからご覧ください。

 

ethica編集部は、読者とのオンラインによる交流を推進しています!!

 

 

スミレ

1997年生まれ。千葉県出身。上智大学卒。トビタテ9期生として、2019年1月より1年間ドイツに留学。2016年からNPO法人じぶん未来クラブにて学生ボランティアとして活動。日本各地で行われる教育ワークショップにてこれまでに1000人以上の子どもたちと関わる。留学中、ドイツでの地球や動物に優しい暮らしや考え方に衝撃を受け、帰国後は「日本の若者が社会問題に目を向けるきっかけ作り」を自らの活動の柱とすることを決意。現在は「自分らしく働く」を目標に掲げワークショップデザイナーとしてコミュニティ運営や居場所作りを行っている。

Pay it Forward 優しさは連鎖する

【スミレのドイツ留学 回顧録】を読む>>>

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

ethica編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【Prologue】
独自記事 【 2021/3/1 】 Health & Beauty
20年以上、トップモデルとして活躍。究極の美の世界で生きてきた冨永愛さん。ランウェイを歩くその一瞬のために、美を磨き続けてきた。それは、外見だけではない。生き方、生き様をも投影する内側からの輝きがなければ、人々を魅了することはできない。「美しい人」冨永愛さんが語る、「“私(美容・健康)に良くて、世界(環境・社会)にイイ...
TBS秋沢淳子さん鼎談(第5話)仕事とプライベートの両立
独自記事 【 2022/6/27 】 Work & Study
パシフィコ横浜で開催された「サステナブル・ブランド国際会議2022横浜」(SB 2022 YOKOHAMA)に基調講演の1人として参加されたTBSの元アナウンサーで現在は総務局CSR推進部で部長を務める秋沢淳子さん。 社業以外でも2000年に国際交流・教育支援・国際協力をテーマにしたNGO団体「スプートニクインターナシ...
[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【chapter1-1】
独自記事 【 2021/3/29 】 Health & Beauty
ファッションデザイナーが描く世界を表現するモデルは、まさに時代を映し出す美の象徴だ。冨永愛さんは移り変わりの激しいファッション界で、20年以上にわたり唯一無二の存在感を放ち続ける。年齢とともに磨きがかかる美しさの理由、それは、日々のたゆまぬ努力。  美しいひとが語る「モデル」とは?
戦後の日本で衛生環境を改善したサラヤが、何故?アフリカの女性支援活動を始めたのか。安田知加さんに伺いました 〜ethica Woman Project〜
独自記事 【 2024/6/14 】 Love&Human
ethicaでは女性のエンパワーメントを目的とした「ethica Woman Project」を発足。 いまや「ラストフロンティア」と呼ばれ、世界中から熱い眼差しが向けられると共に経済成長を続けている「アフリカ」を第1期のテーマにおき、読者にアフリカの理解を深めると同時に、力強く生きるアフリカの女性から気づきや力を得る...

次の記事

【ethicaオンラインワークショップ】ドイツの暮らしを参考に地球に優しい暮らしを考えてみよう(中編)
(第7話)「今年もベランダ菜園はじめました」【連載】かぞくの栞(しおり) 暮らしのなかで大切にしたい家族とwell-being

前の記事

スマホのホーム画面に追加すれば
いつでもethicaに簡単アクセスできます