[お悩み3] 今までやっていたCSR活動の延長でいいのか
竹嶋: SDGsもそうですし、サステナビリティもそうですけど、やっていることをきちんと伝えていかないと、やっていないと見なされてしまうところがあって、すごく怖いなと思っています。
昨今、それこそアメリカで起きたブラックライブスマターの話もありましたが、これから先は日本の企業も含めて、ああいうことが起きた時にそのテーマに対して自社としてどういうスタンスをとるのか、どんなことに取り組むのかということがもっともっと求められていくのではないかなと思っています。社会課題やテーマに対する企業の姿勢をきちんと伝えることで、企業への理解や共感が得られるのだと思います。
大屋: 日本は奥ゆかしい企業が多いと思うので、どうしても言わぬが花みたいな…隠匿は美徳みたいなところがありますからね。
佐藤: SDGs、サステナビリティって、実際に事業をやっている従業員の皆さんが動くということを考えると、コミュニケーションというのは一般の生活者の方に向けて発信するものと思いがちですが、むしろ従業員の方がそれを見て、またモチベートされるという循環が生まれると思うので、その意味でいうと、発信するということにすごく意味がある気がします。
吉田: 今の話にもつながりますが、今までやっていたCSR活動の延長でいいのかという話も結構出るなあと感じています。CSRはかなり前からある言葉で、企業さんもそれぞれCSRをやっていこう、そのためのホームページを作っていこうみたいなことでやられていますけど、それを延長してやり続けていけばいいのかという話もしばしば出たりします。
僕らからすると、サステナブルブランドになっていくためには、今までの粛々としたCSRの活動だけだと発信力がちょっと弱かったり、どうしてもホームページの奥の奥にあって誰も知らないということになりがちだなというところが課題感としてはあるかなと思います。
青木: サステナブルブランドをやりたいと思った時、問い合わせ窓口が広報なのか、マーケの事業部なのか、そこで全然違う。その辺のジレンマを、たぶんここにいらっしゃる皆さんも感じていらっしゃるのではないかと思うのですが。
佐藤: CSRというのが、今までって皆さんも感じていらっしゃるかもしれませんが、中央にある本業とは違う横のものみたいに見えていた可能性があります。
本質的には最近の企業さんの決算を見てみても、事業の話とESG、サステナビリティが完全な二刀流になっていて、むしろそれを融合するという観点でいきますと、僕はCSRという言葉自体にいろいろなバイアスがかかって、皆さん、それで見ておられるんじゃないかという気がするので、既存の意味合いでいいますと、少し端のものと思われがちですが、やっていることは非常に正しいので、事業の真ん中に寄せていくことでCSRの延長であってもいいんじゃないかなと思っています。
竹嶋: 先ほど部署の話があったかと思いますが、私たちのところにもたくさんのメディアやクライアントの皆様からのご相談があります。ご相談を寄せていただく部署が、昔はCSRの部署の方が多かったように思いますが、最近では例えばESGとかサステナビリティ推進室とか、そういう専門の部署が立ち上がっていて、たいていの場合、経営トップや経営企画みたいなところに直轄している組織が多くなっていると思います。
そうなることによってコーポレートも含めて、会社全体を目配せするような位置に、今、サステナビリティをやっていく部署がどんどん来ていると思います。そういう意味でいうと、会社としての向き合いが、ずいぶん大きく変わっているんじゃないかなという実感がありますね。
青木: 組織構造が変わってきていますよね。トップマネジメントがパーパスを発信していって、そこでうまく直結する形で組織全体をシフトさせていくということなんでしょうか。
佐藤: クライアントさんを見ていると、事業をやられていたり、コミュニケーションをやられていた方が、サステナビリティのセクションに行くという、人の動きが出始めているなと思います。人だったり組織だったりが循環することによって、融合していくのではないでしょうか。
大屋: SDGs先進企業といわれるような企業では、事業部のブランド単位でSDGsを考えているようなところもありますね。経営企画やESGに関わる部署はもちろんのこと、事業部からのご相談もあります。この1年くらいで、お問い合わせの幅がぐっと広がっているような気がしています。