オーガニック・コットンってどんなもの?
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オーガニック・コットンってどんなもの?

Photo Courtesy of Patagonia /Tim Davis

「オーガニック・コットンだから、肌触りがいい」「オーガニック・コットンだからやさしい」 こういった言葉を、最近よく聞きませんか? オーガニックという言葉に良いイメージを持っていても、具体的にはオーガニック・コットンがどういうものか、きちんと説明できない人も多いのではないでしょうか。

 世界各国で行われている綿花栽培の現状

オーガニック・コットンがどんなものかを説明する前に、まず通常のコットンがどういった環境で作られているかを説明しましょう。

・大量の農薬

コットンというと、自然で優しいイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。しかし近代的な農法で作られるコットンは、生産過程で大量に農薬や化学肥料を使用して作られています。

具体的には、まず種を保管している段階で防カビ、殺菌消毒などを大量に利用し、種まきの段階で防虫剤を散布。土を耕す際には化学薬剤や肥料をまき、育てている間は害虫駆除薬、雑草除去のための除草剤、化学肥料を与えています。さらに、収穫時に簡単に機械で綿花を摘み取れるようにと、葉を落とす落葉剤まで利用して生産しているのです。

農薬や化学肥料の量は驚くほど大量です。コットン栽培地は世界の農地面積の2.5%ほどであるというのに、世界で使われる殺虫剤の約16%、農薬の7%がコットン栽培に使われていると言われるほど。また、その農薬のうちには発がん性の疑いがあるものがいくつもあります。

農薬や化学肥料は当然土地にしみ込み、付近の水源を汚染し、空気を汚して多くの生物に害を及ぼします。また作業を行う人が大量の農薬を吸い込んだり農薬が皮膚についたりしてしまうことで、深刻な健康被害を受けています。加えて、コットンの一大産地であるインドでは、農薬を買うために借金をしたことが原因で自殺したとみられる農民は6年間で10万人にもおよんでいます。

・遺伝子組み換え綿花

2009年頃からは遺伝子組み換え綿花も増えています。遺伝子組み換え綿花は、農薬の量を減らせたり、育てやすかったりするために広がっています。しかし、多くの遺伝子組み換え作物と同様、遺伝子の組み換えの影響は未知数。今後、悪い影響が発見される可能性があるにもかかわらず、一度育てると近隣の遺伝子組み換えではない綿花とも交配して、広がっていってしまいます。

オーガニック・コットンとは

オーガニック・コットンとは、農薬・肥料の厳格な基準を守り、遺伝子組み換えの種を使わずに作られたコットンを指します。農薬・肥料についての厳格な基準を守って2〜3年以上のオーガニック農法を実践した後に、農地を認証機関に認められて、やっとオーガニック・コットンを名乗ることができます。

オーガニック・コットンの栽培では、種は自然の状態のまま保管し、畑には農閑期に牛糞や作物の屑などで作った堆肥をすき込み、雑草の処理は手作業か土をすき返して覆うなどしています。害虫駆除にはテントウ虫やクサカゲロウなどの天敵を使い、摘み取りも手作業で行います。そのため生産者の健康が守られ、土地や空気、水も汚さずにすむのです。

農薬を使わない分、人手はかかります。それでも、借金に苦しむリスクも減り、生産者の健康を損なうことの少ないオーガニック・コットンのメリットは大きいのではないでしょうか。

またオーガニック・コットンの生産では、生産者に公正な価格で買い取ること、買い取りを保証すること、子どもを搾取しないことを大切にしているのも特徴です。

 

オーガニック・コットンの「優しさ」とは

オーガニック・コットンではない通常のコットンも、製品になった段階の農薬の残留量は非常にわずかです。製造方法が同じであれば肌触りも変わりません。つまり、とても敏感な人ではない限り、製品に触れて「これがオーガニック・コットンだ」とわかることはありません。

ただ、1996年からすべてのコットンをオーガニック・コットンに切り替えているアウトドアウェア・ブランドのパタゴニアでは、デザイナーが「オーガニック・コットンに変えた結果、質感が良くなった」と報告しているそう。それは、コットン自体の肌触りが変わったというよりも、手間ひまかけてオーガニック・コットンを育てる生産者とメーカー側が密なやり取りを行う必要が出てきた結果、お互いの希望するコットンを生産することができたからではないかと、パタゴニアでは推測します。

一般的にもオーガニック・コットンの加工方法は、従来のコットンとはかなり異なります。オーガニック・コットンは多くの場合、人と環境にやさしい方法で作られているのです。このことが質感や肌障りに影響することは十分に考えられます。

オーガニック・コットンの優しさとは、生産者や地球環境への配慮や、生産過程でのやり取りから生まれるものだと言えるでしょう。

 

編集協力=特定非営利活動法人 日本オーガニック・コットン協会(http://www.joca.gr.jp)、パタゴニア日本支社(http://www.patagonia.com/japan

FelixSayaka

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