今や日本人の平均寿命は男性も女性も80歳を超え、日本は世界一の長寿国になりました。しかし、その一方で健康に不安を抱えている人がたくさんいらっしゃるというのもまた事実です。日本人の4人に1人が65歳以上になるという、これからの超高齢化社会には健やかに長生きすることが何よりも必要といえるでしょう。そのために日頃から気をつけておきたいのは何といっても食生活です。朝、昼、晩と1日3回摂る食事は毎日の積み重ねにもなるだけに、よりよい食生活を心掛けたいものです。
ここ数年、毎日の食事に気を遣っている人たちの間で「発芽米」が注目を集めています。そこで今回は多くの発芽米商品を手がけているファンケルグループの株式会社ファンケルヘルスサイエンスでお話をお聞きしました。
話題の栄養成分「GABA(ギャバ)」が白米の約10倍
発芽米は玄米をほんの少しだけ発芽させたもの。発芽する前の玄米も豊富な栄養があり、「完全食」といわれるほどですが、玄米を少しだけ発芽させると、栄養価がさらに増すことがこれまでの多くの研究によって明らかにされています。
同社機能性食品開発グループで発芽米の商品企画を担当している、管理栄養士でもある佐々木千恵さんは「玄米はお米の種子ですから、発芽をする前には、妊婦さんが出産に備えて栄養を蓄えるのと同じように、発芽に向けて内部の栄養を増やして自らを最高の状態に整えようとするのです。そのため栄養価がぐんと増すのです。」と言います。他の食材と比べ、発芽米にはさまざま栄養成分が含まれていますが、中でも注目は「GABA」が豊富だということでしょう。GABAは動植物などの自然界に広く分布するアミノ酸の一種で、脳や脊髄に存在する神経伝達物質。興奮を鎮めたり、リラックスさせる働きがあり、発芽米にはこのGABAが白米の約10倍も含まれているといいますから、ストレスのたまりやすい方は、積極的に発芽米を食べることがおススメです。
便秘を解消してくれる「食物繊維」も豊富に含有
この他、発芽米には腸内環境を整えてくれる「食物繊維」が多く含まれているのも見逃せません。
「女性21人に発芽米を2週間にわたって食べていただいたところ、過半数の人に便通の改善が見られました。これは白米の約6倍の量が含まれる食物繊維の働きによるものと考えられています。便秘に悩む女性には朗報かもしれませんね」(佐々木さん)
さらに、発芽米には体のさまざまな機能の維持や調節を司るビタミンE、骨や血液を作り出す上で欠かせないマグネシウム、カリウム、カルシウムなどの「ミネラル」、アンチエイジングにうれしいオリザノール、フェルラ酸といった白米や他の食品では摂取しにくい栄養もたっぷり含んでいるといいますから、健康的な食生活を目指す人には最高の食材といえるでしょう。
注目成分「PSG(ピーエスジー)」
また、最近の研究で、発芽米の発芽の過程でPSGという成分が増加することが明らかになりました。PSGは血管の老化を防止する効果の他、内臓脂肪の減少にも関係してダイエット効果も期待できるとか。
発芽米は、女性にとってますます無視できない存在になりそうです。
発芽の作用で旨み成分もアップ
「良薬口に苦し」という昔からのことわざもあるように、とかく健康にいい食べ物は、あまり美味しくないというのが一般的です。だとすると、発芽米もそうなのかと、一度も食べたことのない人は思ってしまうかもしれませんが、その点、発芽米は例外といってもいい食品なのです。その理由を佐々木さんが教えてくださいました。
「発芽米は、発芽する時に作用する酵素の働きによってでんぷんが分解されて甘みが増すのです。そしてさらに、たんぱく質も分解されて旨み成分であるアミノ酸が増えるので、より味わい深いお米になっています。」
また、玄米は硬い皮に包まれているのが特徴ですが、発芽することで皮が柔らかくなるため、もちもちとした食感を味わうことができるのも発芽米ならではです。
炊飯の黄金比率は「白米2:発芽米1」
家庭で発芽米をおいしく食べるコツを佐々木さんに伺いました。
「基本的には白米に混ぜて、炊飯器で普段通りに炊くことができます。おススメの配合比率は、白米2に発芽米1の割合ですね。これなら発芽米のおいしさと機能性を同時に実感していただけます。」
同社では炊飯器で炊ける発芽米の他、電子レンジで手軽に味わえる「発芽米ごはん」、発芽米100%のレトルトおかゆ「発芽米おかゆ」、お湯を注いで混ぜるだけのフリーズドライ食品「発芽米スープごはん 鮭と野菜の塩麹仕立て」などさまざまなタイプの商品をラインナップしています。健康的な食生活を目指すなら、体によくて、しかも美味しい発芽米を毎日の生活に取り入れたいものです。
全社で環境事業計画を実践
発芽米やサプリメントなどの健康食品や無添加化粧品を扱っているファンケルは、企業活動のあらゆる面において「自然のめぐみ」に感謝し、環境・生物多様性の保全に貢献することを目指しています。その一環として環境事業計画「ファンケルECOプラン」を実践、08年度からは日本の企業で初めて、従業員が家庭でCO2排出量を削減する取り組み「家庭でエコプログラム」を実施するなど社内だけではなく、従業員や家族を巻き込んだ活動を展開、これらの成果が認められて、環境省の「平成25年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰」の対策活動実践部門賞を受賞しました。
また、13年4月からは開発途上国の食品を厳選した「ファンケル フェアトレードフーズ」の発売を開始、年間売り上げの5%をインドネシア、ラオス、セネガル、カンボジアといった生産国の子供たちの教育を支援する団体に寄付しています。
つねに自然に目を向け、グローバルに活動する同社には、これからも大いに注目したいところです。
■発芽米についてはこちら
http://www.fancl.co.jp/genmai/index.html
■株式会社ファンケルヘルスサイエンスはこちら
http://www.fancl.jp/about/fancl/health.html
インタビュアー 清水 一利(しみずかずとし)
55年千葉県市川市生まれ。明治大学文学部(史学地理学科日本史専攻)を卒業後、79年、株式会社電通PRセンター(現・株式会社電通パブリックリレーションズ)に入社。クライアント各社のパブリシティ業務、PRイベントの企画・運営などに携わる。86年、同社退社後、87年、編集プロダクション・フリークスを主宰。新聞、雑誌(週刊誌・月刊誌)およびPR誌・一般書籍の企画・取材・執筆活動に従事。12年「フラガール3.11~つながる絆」(講談社)、13年「SOS!500人を救え~3.11石巻市立病院の5日間」(三一書房)を刊行。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp