泣けるレシピ本! 世界の家庭料理が満載の『海を渡った故郷の味』
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泣けるレシピ本! 世界の家庭料理が満載の『海を渡った故郷の味』

ネパール、ウガンダ、エチオピア……。皆さん、こういった国々の家庭料理が自分にも簡単に作れるとしたら、毎日の食卓のレパートリーに加えたくありませんか? これらの国々を含むアジア、中東、アフリカの15の国の地域の家庭料理のレシピが45も掲載された書籍『海を渡った故郷の味 Flavours Without Borders』が出版されました。

でもこの本の見所はおいしい料理のレシピがたくさん載っていることだけではありません。この本には、現地を旅した気分になれるようなコラムがあったり、涙なしには読めない理由があったりするのです。

離ればなれになった家族の写真を見て思いをはせる難民(写真提供:難民支援協会)

この本が生まれた背景

この本は日本にいる難民に家庭で作っている料理のレシピを教えてもらい制作したもの。制作したのは、日本で難民支援を行い15年になる認定NPO法人難民支援協会です。

皆さん、難民とはどういう人のことかを明確に知っていますか? ニュースなどでよく聞く言葉ですが、難民とは、遠い外国で難民キャンプに暮らす人たちのことを指す言葉だと思っていませんか?

難民とは、自分の命を守るために、やむを得ず母国から他の国に逃げている人たちのこと。命を狙われる理由は、宗教、国籍、人種や政治的意見を持ったり特定の社会的集団のメンバーだったりするなど、さまざまです。ここ日本にも、近年では毎年2,000人以上もの人が、母国政府から命を狙われて逃れてきています。

難民は命からがら逃げてきているために、家族と別れて一人で日本にやってきている人がほとんど。しかも日本にきたのも、「最初にビザを出してくれた国だったから」という理由だけということも珍しくなく、準備の時間もない状態で来ています。

しかし、家族と離れて命からがら日本に渡ってくれば安心なのかと思いきや、そうではないのが難民の現実です。日本語や日本の法律もわからず、家も仕事も、頼りになる存在もなく、母国政府による制裁におびえたまま、日本政府に難民として申請されるまで2年から5年の間、なんとか生活をして待たなければいけないのです。

そんな難民をサポートしているのが難民支援協会です。また難民支援協会は、私たち社会の一員として日本にも「難民」がいるということや、難民の置かれている状況を多くの人に知ってもらう活動も行っています。この書籍は、その活動の一環として出されたものなのです。

「日本には安全はあるけれど、安心はない」と語る難民(写真提供:難民支援協会)

涙なしでは読めない理由

家庭料理の味や匂いは、もう二度と帰れないであろう故郷の記憶を呼び起こすもの。また、故郷に残してきた家族を思い出すものでもあります。そして、難民たちが寄る辺もない外国で食べたくなるのが家庭料理ではないでしょうか。

自分の国で食べていたような見慣れた食品が日本にない場合も多く、難民たちは工夫して何とか日本にあるもので故郷の味を再現しようとしたり、食材を家族に送ってもらって故郷の味を再現したりしています。故郷とはちょっと違う味の料理や送ってもらった大切な食材を使った料理を、故郷を思いながら食べている難民たち。その姿を想像すると、涙なしでは作れません。そんな難民たちが、日本で食べているレシピがこの本には載っているのです。

トマトと相性抜群 ニラたっぷりの卵焼き

現地を旅した気分になれるコラム「From the cook」

旅行ガイドなどについているコラムを読むと、ちょっとした旅気分が味わえますよね。この『海を渡った故郷の味 Flavours Without Borders』にも、多くのレシピに「From the cook」というコラムがついています。例えばアゼリ(アゼルバイジャンやイラン北西部に暮らす民族)の「トマトと相性抜群 ニラたっぷりの卵焼き」を載せたページの「From the cook」はこんな感じ。
「ニラの栽培が盛んで頻繁に食卓に並ぶというアゼリ地域。多くのスパイスを料理に使うのが特徴です。この料理も、本場ではレイハンという紫バジルの乾燥ハーブ、グズルジュルというバラの花びらを乾燥させたものなど独自のスパイスを香り付けとして使います。」

行ったことのない国の生活の様子を知ることができ、お料理しながら現地を旅したような気分になれます。

難民支援協会 × クックパッド チャリティ企画

難民支援協会とクックパッドのチャリティ企画も

この書籍に掲載されたレシピのうち20品はクックパッドのチャリティ企画にてワンコインで購入することもできるようになりました。

なんと20品のレシピが500円で購入でき、すぐに試すことができるのです。「サケのスイートバジル和え」や「鶏とジャガイモのスパイス煮込み」などは、毎日の食卓に手軽に載せられそう。難民の生活に想いを馳せながら、いつもとちがう家庭料理を作ってみてはいかがでしょうか。

<書籍情報>

■『海を渡った故郷の味 Flavours Without Borders』 1575円(税込)
詳細情報、購入はこちらから: http://www.flavours-without-borders.jp

■難民支援協会とクックパッドのチャリティ企画はこちらから:http://cookpad.com/recipe_store/sets/111

■難民スペシャルサポーターになる-1日50円からの難民支援はこちらから:http://www.refugee.or.jp/support/kifu

取材協力、写真提供=認定NPO法人難民支援協会

FelixSayaka

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