IKEA Foundationでは世界中の難民の保護・支援活動を行っているUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に協力、2月から3月にかけて全世界のイケアストアで「難民キャンプに明かりを届けようキャンペーン」を実施しています。先日、IKEA Foundationのコミュニケーション戦略部長のジョナサン・スパンピナート氏とUNHCR駐日代表のマイケル・リンデンバウアー氏が会見し、同キャンペーンについての理解と協力を呼びかけました。
イケアストアでLED電球を1つ買うごとに1ユーロをUNHCRに寄付
現在、世界中にはUNHCRの保護・支援を必要とする難民は約1300万人もおり、そのうちの約半分を子供たちが占めています。彼らが生活をしているキャンプには明かりが不足しているか、あるいは全くない状況であるため、日々の暮らしや社会的・教育的活動は全て日中に行わなくてはならないのが実情です。
そこで、今回のキャンペーンは難民キャンプをより安全で快適に暮らせる場所にするため、お客さんがイケアストアでLED電球を1つ買うごとに1ユーロをIKEA FoundationがUNHCRに寄付、この寄付金を難民キャンプに明かりを届ける資金として役立てようというものです。
世界の難民の保護・難民問題の解決に尽力
UNHCRは1950年12月、国連総会の決議によって設立された団体で、人道的な見地から紛争や迫害によって故郷を追われた世界の難民の保護、難民問題の解決に向けた国際的な活動の先導・調整をその目的としています。
そのため、UNHCRは難民の権利と尊厳を守り、すべての人が庇護を求める権利を行使し、安全に庇護を受け、自主的に帰還、あるいは庇護国に定住できるよう努力を続けています。
設立以来、UNHCRが生活の再建を支援した人々は数千万人に上るとされます。
日本は第三国定住による難民の受け入れを行っているアジア唯一の国であり、今後もその活動に期待が寄せられています。
イケアのビジョンを具現化したキャンペーン
一方、IKEA Foundationは現在、世界27カ国に315のイケアストアと40以上のフランチャイズのイケアストアを展開し、優れたデザインと機能性、手頃な価格、高い品質を兼ね備え、環境と社会に配慮して製造されたさまざまなホームファニッシング製品を提供している企業です。
そのビジョンは「より快適な毎日を、より多くの方々にお届けすること」「たくさんの子供たちにすばらしい未来を」というものであり、世界中のもっとも貧しいコミュニティーで暮らす子供と若者たちの機会の向上を目的として、根本的かつ永続的な変化をもたらすことのできる、包括的で長期的なプログラムへの資金援助を行っています。
「難民キャンプに明かりを届けようキャンペーン」はそのビジョンを具現化したものといえるでしょう。
世界中の難民を助けるソーシャルグッドなキャンペーン
「難民キャンプに明かりを届けようキャンペーン」は昨年初めて行われ、今回が2回目となります。昨年は世界中で770万ユーロもの寄付金が集まり、その一部はヨルダンのアズラック難民キャンプで避難生活を送っている1万1000人以上のシリア難民の支援にあてられました。
各家庭に1つずつ支給されたソーラーランタンは携帯電話の充電器や日常生活を送るための照明として利用されており、このソーラーランタンのおかげで子供たちは日没後も学習を続けられるようになって成績が向上しました。
また、大人たちは日が暮れても仕事を続けたり、地域の人たちとの交流を図ることが可能となり、より快適な生活を送ることができるようになりました。
「人々がLED電球を買うことで家庭での電気の使用量やコストを抑えることができ、家庭の支出をセーブできる(=私にイイ)とともに、1ユーロを寄付できる(=世界にイイ)」
今回の「難民キャンプに明かりを届けようキャンペーン」はまさに、「私によくて、世界にイイ。」、ソーシャルグッドなキャンペーンといえるでしょう。
記者 清水 一利(しみずかずとし)
55年千葉県市川市生まれ。明治大学文学部(史学地理学科日本史専攻)を卒業後、79年、株式会社電通PRセンター(現・株式会社電通パブリックリレーションズ)に入社。クライアント各社のパブリシティ業務、PRイベントの企画・運営などに携わる。86年、同社退社後、87年、編集プロダクション・フリークスを主宰。新聞、雑誌(週刊誌・月刊誌)およびPR誌・一般書籍の企画・取材・執筆活動に従事。12年「フラガール3.11~つながる絆」(講談社)、13年「SOS!500人を救え~3.11石巻市立病院の5日間」(三一書房)を刊行。
~私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)
http://www.ethica.jp/