女性なら誰もが憧れるジュエリー。美しいジュエリーを作ることで、身につけるひとも、つくるひとにも笑顔を届けたい。そんな想いからジュエリーブランド「HASUNA(ハスナ)」を立ち上げた白木夏子さんにお話を伺いました。
南インドの鉱山で見た光景
白木さんが育った愛知県一宮市は繊維産業の盛んな町。白木さんのお父さんは繊維関係の商社に勤め、お母さんもファッションデザイナーをしていたこともあり、白木さんは物心ついた頃からお母さんの真似をして洋服やアクセサリーを作っていたといいます。
白木さん:「今の私があるのは両親の影響が大きいです。とにかく私は小さな頃から自分を飾るもの、身につけるものを作るのが大好きな子供でした。」
そんな白木さんが国際協力に目覚めたのは大学に進学してから。世の中には戦争で傷ついたり、貧しくて毎日の食事さえ満足に食べられなかったりと、こんなにも苦しんでいる子供がたくさんいるのだということを知って大きなショックを受けたそうです。
白木さん:「その時、将来、今現実に起こっているこの問題を解決するための仕事に自分の命を使っていこうと決心しました。」
そして、白木さんにとって運命的ともいえる1つの出来事に出逢います。それは大学のリサーチで南インドの最貧困層の村を訪れたときのこと。インドの社会で最も地位が低い、アウトカーストが住んでいる被差別部落の村を訪れた時のことです。
白木さん:「ある鉱山の村でした。そこでは子供から大人まで誰もが働いていたのですが、生活はとても貧しく、皆ほとんど裸足のまま暗い顔をして採掘をしていました。そこで掘っていたのは雲母や大理石。電化製品や化粧品の原材料で、日本をはじめとする先進国で私たちの生活を豊かにするために使われているもの。それらを手に入れるために私たちは日々、たくさんのお金を払っているのに、それが末端の人の手に渡っていないことに強い疑問を覚えました。私が目の当たりにした鉱山の状況はインドだけではなく、世界中で起こっていることで、約100万人の子ども達が様々な鉱山で働いていることを知りました。このギャップは何なのだろうと真剣に考えました。そして、それはお金を循環させているビジネスの仕組みに何らかの問題があるからで、その循環が正しい姿であれば末端で起きている問題は少しずつ解消していくのではないかと思いつきました。こうしてジュエリーを通じて自分の信じるやり方で、ビジネスを立ち上げようと決心したのです。」
エシカル・ウエディングを挙げたいという人が増えてきた
「ジュエリーは人から人に贈られて笑顔を生む。その中に悲劇があってはいけない。」
と白木さんはいいます。
誕生日や成人式、さらには何かの記念などに両親や祖父母などから想いのこもったジュエリーをプレゼントしてもらうと、それを身につけるたびに贈ってくれた人のことを思い出したりします。世の中に数あるプロダクトの中で、そういうことのできるもの、ものの先にいる人のことに想いを馳せられるプロダクトはジュエリー以外にあまりないでしょう。
そして、その際たるものがブライダルジュエリーあり、婚約指輪や結婚指輪が初めて身につけるジュエリーという人も少なくないそうです。
白木さん:「最近HASUNAでジュエリーをお買い求めになった方で、エシカルなウエディングを挙げたいと相談される方が増えてきました。招待された方たちも何らかの形で社会貢献し、幸せのお裾分けができるような、そんな結婚式を望まれている方も多いと感じます。先日も披露宴の中で提供される食事代の中からゲスト1人当たり20円がtable for two(テーブルフォーツー)というNPOを通じてアフリカの子供たちに寄付され子供たちの給食代になるという披露宴を挙げたカップルもいましたし、他にも引き出物がフェアトレードのコーヒーやクッキーだったり、オーガニックのウェディングドレスを着たりとか、ちょっとした工夫でエシカルウエディングが簡単に実現できます。これからもそうした結婚式を挙げようという人がさらに増えてくると思います。」
お金の流れが悪くなると地球は不健康になる
今「HASUNA」を表参道本店、伊勢丹新宿本店、名古屋栄店、オンラインブティックの4店舗で経営する白木さん。ビジネスについてもユニークな考え方を披露してくださいました。
白木さん:「ビジネスは可能性を秘めた仕組みだと思っていて、ただ単にお金を儲けるだけではなく、お金を循環させることで幸せになる人が増えていくものだと考えています。
地球にとって、お金は血液のようなもの。お金の流れが悪くなると地球は不健康になってしまう。しかし、逆にその流れが正しい流れになると、地球も美しくなっていくと信じています。その循環を心臓のように担うのが企業だと私は思っていて、HASUNAを通じて美しい地球を作るために少しでも貢献したいと願っています。
ジュエリーのビジネスを進めれば進めるほど、それを身につける人は輝き、素材を提供する人もちゃんと生計が立てられるようになって、子供たちも学校に行くことができるようになります。自分が信じたこのビジネスの形を追求していけば、笑顔の人がもっと増えてくると思っています。」
もの、人、ことの先に想いを馳せる
最近、白木さんは著書「女(じぶん)を磨く言葉の宝石」(かんき出版)を出版されました。ご自身3冊目となる今回の本は初めてのエッセイ集。小さな頃から経験してきたこと、出会った人、地球のことなどについて誕生石をテーマにして12のお話にまとめています。
白木さん:「宝石の裏側には、とても深い世界があって、いろいろな想いを持っている人がいます。それを知ると、身の回りの人、もの、ことに感謝しながら生きることができるようになるのではないでしょうか。そして、そのことがやがて自分を幸せにしてくれたりします。この本はそんな思いで書きました。」
白木夏子さんにとっての「私によくて、世界にイイ。」
最後に、白木さんにとっての「私によくて、世界にイイ。」とは何かをお聞きしました。
白木さん:「私にとって、その先の世界を想像することが1つのテーマかなと思っています。ものを買う時、食べる時、洋服を着る時、そして、ジュエリーを身につける時、支払ったお金がどこに行くのか、この食べ物の裏には誰がいるのか、この洋服を作ったのは誰なのか、このジュエリーに使われている石はどこから来たのか。その裏側にはたくさんの人がいて、遠くの世界があって、様々なものが動いています。そこに想いを馳せると、自分の心が豊かになるし、世界にとっても、そうした想いを馳せることが作った人、運んだ人、さらには自然に対するリスペクトになります。そこに感謝して、ちゃんとお金が流れるように消費者が変われば、世界も変わっていくはずです。その先に想いを馳せることが、私によくて世界にイイ。ことだと思っています。」
後日、白木夏子さんの独占インタビュー映像をETHICA TVで公開予定です。
*ETHICA TVとは、「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトとした映像番組です。エシカ編集部では、「私によくて、世界にイイ。」ストーリーを語って頂けるアーティストさんやストーリーをお持ちの企業様を広く募集しております。公開タイミングは、ethica編集部facebookやTwitterでご案内させて頂きます。
HASUNA Co., Ltd. 代表取締役 白木夏子(しらきなつこ)
1981年生まれ、愛知県育ち。英ロンドン大学卒業後、国際機関、金融業界を経て2009年4月にHASUNA Co.,Ltd.を設立。
2011日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2011キャリアクリエイト部門受賞。2011年世界経済フォーラムGlobal Shapersに選出。2011年AERA「日本を立て直す100人」に選出。2012年APEC(ロシア)日本代表団としてWomen and Economy会議に参加。2013年世界経済フォーラム(ダボス会議)に参加。2014年Forbes「未来を創る日本の女性10人」に選出。
人、社会、自然環境に配慮したエシカルなジュエリーブランドを日本で初めて手掛け注目を浴びる。主な著書に『自分のために生きる勇気』(ダイヤモンド社)『世界と、いっしょに輝く』(ナナロク社)などある。
■書籍「女(じぶん)を磨く言葉の宝石」(かんき出版)
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784761270414
■HASUNA公式サイトはこちら
http://www.hasuna.co.jp
<店舗情報>
HASUNA表参道本店 東京都渋谷区神宮前5-7-17 KG表参道1F
伊勢丹新宿本店HASUNA 東京都新宿区新宿3-14-1伊勢丹新宿本店 1階
HASUNA名古屋栄店 愛知県名古屋市東区泉1-14-23
HASUNA Online Boutique (HASUNA公式オンラインストア)
https://www.hasuna.co.jp/store/
ーーBackstage from “ethica”ーー
2015年3月25日(水)より、Voyage 2015 Spring&Summerコレクションを展開中!
〜〜ダイヤモンドクォーツの澄んだ輝き、そのどこまでも透明な存在感に心が弾む〜〜
ダイヤモンドのような輝きを放つ透明の天然石、ダイヤモンドクォーツ。両端が尖った個性的なフォルムも魅力的で、まさに地球の豊かな恵みを感じさせます。
石の透明感や立体感を最大限に生かしたシンプルなデザインで、デニムとシャツでまとめた颯爽としたスタイルから、白レースのトップスといったフェミニンな着こなしまで、さまざまな春夏ファッションに合わせてみては如何でしょうか。
■詳しくは、こちらから
http://www.hasuna.co.jp/jewelry/voyage/
記者 清水 一利(しみずかずとし)
1955年千葉県市川市生まれ。明治大学文学部(史学地理学科日本史専攻)を卒業後、1979年、株式会社電通PRセンター(現・株式会社電通パブリックリレーションズ)に入社。クライアント各社のパブリシティ業務、PRイベントの企画・運営などに携わる。1986年、同社退社後、1987年、編集プロダクション・フリークスを主宰。新聞、雑誌(週刊誌・月刊誌)およびPR誌・一般書籍の企画・取材・執筆活動に従事。2012年「フラガール3.11~つながる絆」(講談社)、2013年「SOS!500人を救え~3.11石巻市立病院の5日間」(三一書房)を刊行。
~私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)
http://www.ethica.jp/