5月24日、国連WFPは第10回「WFPウォーク・ザ・ワールド」を横浜みなとみらいで開催、小さな子供からお年寄りまで多くの方々が参加しました。その模様をレポートします。
これまでに55万人の子供に給食を
世界中には1日に1回の食事すら満足に食べることができず、空腹のまま学校に通う子供が約6600万人いるといわれています。
国連の食糧支援機関である国連WFPでは、貧困に苦しむそうした子供たちの健やかな成長と就学を支援するため、学校で栄養たっぷりの給食を提供する「学校給食プログラム」を実施しています。
今回の「WFPウォーク・ザ・ワールド」は同プログラムを応援するために2006年から毎年1回横浜で行われているチャリティーウォークです。
参加者は一般1500円、小学生500円の参加費を支払いますが、そのうちの一般は1000円、小学生は200円が募金とされ、飢餓や貧困に苦しむ世界中の子供たちに役立てられることになっています。
ちなみに、過去9回での寄付金の総額は1660万2200円、給食を受け取った子供は約55万人にも達しているそうです。
「日本は経済大国であるわりにはチャリティーという意識があまり根づいていなくて、このイベントを始めた当初は400人程度が参加をする小さなものでした。それが今回は4000人以上も集まったというのは、飢餓で苦しんでいる子供たちのために何とかしたいという皆さんの意識が高まってきたのではないかと思いますね。
それでも、世界中では戦争や内紛、さらには自然災害が起きて援助を必要としている人が8億500万人もいます。私たちWFPが支援できているのは、まだその1割程度なのです。そのためにもまだまだ活動を続けていかなくてはいけません。10年でここまで大きくできましたから、今後は横浜だけではなく、できれば全国にこの活動を広げていきたいですね」(安藤宏基国連WFP協会会長(日清食品ホールディング代表取締役社長・CEO))
過去最多の4212人が参加
10回目となる今回、イベントには家族連れや会社の同僚、友だち同士など小さな子供から高齢者まで過去最多となる4210人が参加しました。
当日は朝のうちこそ雨がぱらつき天候がぐずつきましたが、スタート直後は青空ものぞく絶好のウォーキング日和となった中、臨港パークを出発。赤レンガ倉庫や港の見える丘公園など横浜の名所を巡る5㎞と10㎞のコースを思い思いに楽しみました。
また、今回は荻原健司さん(スキー・ノルディック複合オリンピック金メダリスト)、荻原次晴さん(同日本代表)、三浦豪太さん(プロスキーヤー・国連WFP協会顧問)らがゲストとして参加、さらに渡辺巧教横浜市副市長、各国大使なども加わって一般の人たちとともにウォーキングに汗を流していました。
歩き終わったゲストの皆さんは、
「10㎞を楽しく歩くことができました。みんなの力を結集して世界を救わなければならないですね」(荻原健司さん)
「子供たちにおいしい給食が届けられると思い、一歩一歩踏みしめて歩きました。楽しく歩いて元気になって世界の問題に立ち向かえる。とても気持ちがよかったです」(荻原次晴さん)
「赤レンガや港など横浜ならではの景色を満喫しました。コースの途中にはクイズラリーもあり、楽しみながら世界の飢餓について理解を深める良いきっかけにもなりました」(三浦さん)
と、感想を語っていました。
CSR活動として企業が参加しやすいイベント
「WFPウォーク・ザ・ワールド」の大きな特徴は、毎回、活動の趣旨に賛同した多くの企業が特別協賛もしくは協賛しているとともに、実際のイベントにも各企業単位でたくさん参加しているということです。
今回は66社を数え、その一つ、みずほフィナンシャルグループは約170人が参加しました。
「<みずほ>ではグループ一体となって毎年参加しています。社会貢献活動の一環として始めましたが、 グループ社員の一体感を高める機会にもなっています。『WFPウォーク・ザ・ワールド』は、家族も一緒に楽しみながら参加できるチャリティイベントなので社員も参加しやすいようです。
また、参加募集の際、社員にイベントの趣旨を説明する中で、世界中には給食が食べられない子供 がたくさんいるということも知らせていますので、当日参加できなくても、そういう世界の実情を知ってもらういい機会になっているのではないかと思います。」(コーポレート・コミュニケーション部CSR推進室・東條憲二室長)
およそ800人の子供が救える
今回の参加者4212人から集められた寄付金は401万1,200円に上りました。
5,000円で子供1人に1年間、給食を届けられることから、これによっておよそ800人の子供を救うことができるというわけです。
「WFPウォーク・ザ・ワールド」はウォーキングを楽しみながら、食育やチャリティーについて考えることのできる絶好の機会ともいえるでしょう。次回は、あなたもぜひ参加してみてはどうでしょう?
記者 清水 一利(しみずかずとし)
1955年千葉県市川市生まれ。明治大学文学部(史学地理学科日本史専攻)を卒業後、1979年、株式会社電通PRセンター(現・株式会社電通パブリックリレーションズ)に入社。クライアント各社のパブリシティ業務、PRイベントの企画・運営などに携わる。1986年、同社退社後、1987年、編集プロダクション・フリークスを主宰。新聞、雑誌(週刊誌・月刊誌)およびPR誌・一般書籍の企画・取材・執筆活動に従事。2012年「フラガール3.11~つながる絆」(講談社)、2013年「SOS!500人を救え~3.11石巻市立病院の5日間」(三一書房)を刊行。
ーーBackstage from “ethica”ーー
子ども1人につき、1日およそ30円で、栄養たっぷりの給食を届けられることをご存知でしたでしょうか。本大会に参加された4,212人から集められた寄付金401万1,200円で約13万人分の給食を届ける事が出来ることになりました。貧しい家庭において、学校給食は子どもを毎日学校へ通わせる重要なきっかけとなります。そして、子どもが学校に通う事により地域社会との繋がりが生まれ村や地域の治安向上や平和にも繋がります。「私によくて(=横浜観光ウォーキング)、世界にイイ。(=世界の子供に給食をお届け)」取り組みと言えるのではないでしょうか。
■国連WFP公式ページはこちら
http://ja.wfp.org
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp