かつてサッカー日本代表やイタリアのプロサッカーリーグ・セリエAで活躍し、日本中に感動を与えた中田英寿さんが現役を引退した今、日研総業と協同で取り組んでいる活動が、伝統工芸から現代の製造業までモノづくりの“ジャパンクオリティ”を国内外に伝えていこうという「モノづくりニッポンe仕事×ReVALUE NIPPON」プロジェクトです。
今回、そのプロジェクトの一環として6月20日から24日までイタリア・ミラノで日本酒バー「SAKENOMY Prоject supported by e仕事」を期間限定オープンしました。
その中では、“モノづくり人”となるべく、この3月から漆芸家で「蒔絵」重要無形文化財保持者(人間国宝)の室瀬和美さんのもとで漆塗りを学んでいる5人(男性3人・女性2人)の研修生が、室瀬さんの指導によって作成した漆の酒器(漆器)で日本酒をふるまいました。
また、店舗の看板には「酒樽」を使用し、その中央にあしらった店名の「SAKENOMY」の文字にはプロジェクトのテーマである「塗り」にフォーカスして、日本古来より重宝されてきた「漆」を用いました。
さらに、「SAKENOMY」の店内には、日本の伝統的な「絵馬」を書くスペースを設け、来場したお客さんの願いを書くことを「塗り」の技術でサポートするなど、日本のモノづくりの魅力をアピールしました。
今回の活動について、中田氏は、
「5人の研修生は自ら作ったモノが現地の方々に使われることで、作品としてでき上がった瞬間を感じることができたのではないかと思います。今回の経験や課題が彼らの次の活動に繋がっていくといいですね。彼らの活動を通じて、ミラノでも日本のモノづくりがこれだけ評価されるということが分かってもらえたら、僕も嬉しいです」
と、コメントしていました。
また、研修生の1人、土岐絵理さんは、
「自分たちの作った酒器でお酒をふるまいながら、制作に1カ月近くかかっていることなど、日本のモノづくりの重みや奥深さを来場者の皆さんにお伝えすることができました」
と、語り、会場に駆けつけた室瀬さんは、
「表面の下には漆が何層にも下塗りがされているように、今回のイベントという表面的なモノだけではなく、“モノづくり”の中身や本質についても、これからも伝えていってほしいですね」
と、研修生たちの今後に期待を寄せていました。
記者 清水 一利(しみずかずとし)
1955年千葉県市川市生まれ。明治大学文学部(史学地理学科日本史専攻)を卒業後、1979年、株式会社電通PRセンター(現・株式会社電通パブリックリレーションズ)に入社。クライアント各社のパブリシティ業務、PRイベントの企画・運営などに携わる。1986年、同社退社後、1987年、編集プロダクション・フリークスを主宰。新聞、雑誌(週刊誌・月刊誌)およびPR誌・一般書籍の企画・取材・執筆活動に従事。2012年「フラガール3.11~つながる絆」(講談社)、2013年「SOS!500人を救え~3.11石巻市立病院の5日間」(三一書房)を刊行。