『ethica(エシカ)』の記事でもたびたびご紹介している料理家の栗原はるみさん発行の季刊誌『haru_mi』夏号(vol.44)が、6月1日に発売されました。今年3月で70歳を迎えたとは思えない、はつらつとした姿で誌面に登場する栗原さん。やはり元気の秘訣はおいしい料理にあるのでしょうか? 素敵に歳を重ねる栗原さんがお届けする『haru_mi』最新号の特集は、ど〜んと肉料理です!
今その時に満足できる現役であり続けたい
明るい光と、おいしいにおいと、屈託のない笑顔……。『haru_mi』の誌面は今号もさわやかで快活な空気に満ち満ちています。その最新号の序文で、栗原さんが今春古希を迎えたことを綴っていることに、おそらく多くの読者が驚きを禁じ得なかったでしょう。昨年の秋号で『haru_mi』は創刊20周年を迎えていますから(参考記事:栗原はるみさん創刊20周年!20年分のレシピ集大成も見られる特別号をチェック!)、今や料理家の大御所である栗原さんが70歳を迎えられても、何ら不思議はないのですが、「残された時間を考え始めた70歳。」という見出しに、ドキッとしました。
残された時間を考え始めた70歳。
今の私はまだまだ元気でやりたいことはいっぱい。とはいえ、残された時間が限られているのも事実です。どんな人にも現役を退く日はやってきます。そのときをどう迎えるか、真剣に考えるようになりました。
…(中略)…
これからも過去ではなく、今その時に満足できる現役であり続けたい。年齢を重ねるほど清潔感のあるオシャレを大切に、笑顔と元気をみんなに届けたい。
「キッチンから心をこめて」『haru_mi』vol.44 より
いずれくる現役引退を示唆する言葉が何だか寂しくもありますが、飾らず気負わず前向きな、その素敵な齢の重ね方に、ますます憧れと敬意を抱いてしまいます。ほんのちょっとの工夫とひと手間、そして何より誰かを喜ばせたいという気持ちがあれば、お料理も日々の暮らしも、とても豊かになることを、栗原さんは教えてくれます。
特集「肉をど〜んと食べましょう」
「もやしの栗原です」という表紙のコピーが印象的だった、前回のもやし料理特集号(vol.43)から一転、今号の『haru_mi』は「肉をど〜んと食べましょう」と題した肉料理特集です。先ほどの序文に漂う一抹の寂しさを吹き飛ばすように、誌面は、ど〜んと肉、肉、肉。もう見ているだけでスタミナがつきそうです。華奢な体に見合わない栗原さんのバイタリティの源は、やはり肉料理なんでしょうか??
特集は、牛肉、豚肉、鶏肉と分かれていて、4種のたれで楽しむバーベキュー、いろんなアレンジが楽しめる自家製塩豚、夏バテの胃に効きそうな鶏のバルサミコ煮など盛りだくさん。大勢で食卓を囲んで楽しみたくなるレシピが揃っています。
すぐに実践したくなる! レンジ料理とミント栽培
ちなみに、今号のもうひとつの特集は「ちょっとがおいしいレンジ料理」。少量の調理に、あるいは調理の一部に、電子レンジを「ちょっと」使うのがコツのようです。決して手抜きするために電子レンジを使うのではなく、電子レンジだからこそ実現できる味や食感のアイデア料理が多数紹介されています。また、ガーデニングのページは、栗原さんのInstagramにも登場している愛らしいお庭のミントがテーマ。写真を見ているだけで、夏の朝、庭に降り立ったような清々しい気分になります。
愛らしい庭のハーブをお料理やお茶に
栗原さんのお宅の素敵なお庭とまでは行かなくとも、ミント類は初心者も育てやすく、ベランダでも気軽に栽培を始められます。料理やデザート、ドリンクのアクセントに、フレッシュなハーブをいつでも必要量に合わせて収穫できると、とても便利です。
最近は、園芸店やホームセンターだけでなく、近所のお花屋さんやスーパーマーケットの店頭で、様々な種類のミントの苗木が販売されているのを見かけるようになりました。植え付け時期も、真夏を除く春から秋と長いので、ぜひ気軽にミントの栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
今から栽培を始めれば、夏休みには、家族やお友達と自家製ミントソースやミントティーを楽しむことができます。過去にethicaでご紹介した「友産友消」パーティーの記事も参考にしていただくと、よりイメージがわいてきますよ。(今から始めて夏には「友産友消」パーティ! ベランダ菜園のススメ http://www.ethica.jp/372/)
ショップ&レストラン「harumi’s」も3周年
『haru_mi』創刊20周年、栗原はるみさん70歳、といったお祝いに続き、栗原さんが手がける東京碑文谷のショップ&レストラン「harumi’s」もこの5月で3周年を迎えました。栗原さんの自宅にいるような雰囲気の「harumi’s」は、『haru_mi』の中で栗原さんが大切に育て上げてきた価値観が、ぎゅっと詰まっているように思います。
テレビ、ウェブ、書籍、そしてショップやカフェ、レストラン……様々なメディア、そして実店舗で、私たちは栗原さんのシンプルでオシャレな生き方に触れることができますが、栗原さんの暮らしとメッセージが最もストレートに伝わるパーソナルマガジン『haru_mi』は、これからも長く続いて欲しいです。
栗原さん、引退なんて言わず、これからも、私たちに美しい女性の生き方のお手本を見せてくださいね。
栗原はるみさん プロフィール
静岡県下田市生まれ。料理家。家庭料理を中心としたアイデアあふれるレシピは、年代を問わず幅広い層から支持されている。雑誌作りの傍ら、生活提案型のレストラン・カフェ「ゆとりの空間」のプロデュースや、生活雑貨ブランドの「share with Kurihara harumi」を立ち上げ全国の百貨店にショップを展開するなど多岐にわたり活躍。
また、2004年に出版した書籍「栗原はるみのジャパニーズ・クッキング」(扶桑社)では、世界に日本の家庭料理を紹介した功績を認められ、料理本のアカデミー賞といわれる「グルマン世界料理本大賞」グランプリを日本人で初めて受賞。長女・栗原友さん、長男・栗原心平さんも共に料理家として活躍中。
『haru_mi 夏 vol.44』概要
発売日 : 2017年6月1日(木)
特別定価: 1,008円(税込)
発売元 : 扶桑社
判型 : A4変型
URL : http://www.fusosha.co.jp/magazines/haru_mi/
ーーBackstage from “ethica”ーー
栗原さんのInstagramで紹介されていた「人参とツナのサラダ」。最新号では、このベースとなる「にんじんサラダ」のレシピが紹介されています。レンジ調理ならではの絶妙なしんなり加減に、レシピのファンはかなり多いようですよ。おいしいことはもちろん、材料の種類が少なく誰でもすぐに実践できるレシピって大事ですよね。ミントの栽培も、栗原さんの文章と写真を見ているうちに、トライしてみたくなりました!
記者:松崎 未來
東京藝術大学美術学部芸術学科卒。同大学で学芸員資格を取得。アダチ伝統木版技術保存財団で学芸員を経験。2011年より書評紙『図書新聞』月刊誌『美術手帖』(美術出版社)などのライティングを担当。2017月3月にethicaのライター公募に応募し、書類選考・面接を経て本採用となり、同年4月よりethica編集部のライターとして活動を開始。関心分野は、近世以降の日本美術と出版・印刷文化。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp