国内外から143人の企業トップや専門家が集まり、50以上のセッションが開かれた【SB 2018 Tokyo】(前回記事 : http://www.ethica.jp/41464/)。日本での開催は2回目ですが、前年を大きく上回る盛況ぶりに、関心の高まりや必要性がうかがえました。今回は、開催初日のセッションプログラムにて、とくに注目を集めていたサントリーホールディングス社長・新浪剛史氏の講演をご紹介します。
《「Growing for Good」の実現に向けて》サントリーホールディングス 新浪社長の基調講演
【SB 2018 Tokyo】のメインテーマである「グッド・ライフ」についてのセッションの後、基調講演に登壇したサントリーホールディングスの新浪剛史社長。
サントリーが常に目指すのはグッドカンパニーであること、そして、その想いを創業以来約120年持ち続けている企業であると説明。その根底にあるのは創業者である鳥井信治郎氏の遺した2つの精神「やってみなはれ」と「利益三分主義」です。
「“やってみなはれ”とは失敗を恐れずやり抜けという、チャレンジ精神のことです。サントリーの創業者は日本人に合うウイスキーを作り始めましたが、事業を軌道に乗せるのには相当な時間がかかりました。次の社長はビール事業をスタートさせましたが、これは45年かかって黒字化しました。長期に物事をみながら事業を推進し、信念を持ってやり抜くというのがわが社が受け継ぐ企業文化です」と新浪社長。
さらに、「企業は利益を上げなければいけない」と明言し、しかし「その利益は社会に還元し、社会と共生していくことが重要」と語ります。これが、2つ目の創業精神「利益三分主義」です。具体的には、「サントリーホール」「サントリー美術館」などの文化貢献活動に見られます。
コーポレートメッセージ「水と生きる SUNTORY」
現在、サントリーグループ全体でもっとも力を入れているのは「水のサステナビリティ」をしっかりと実現することです。「天然水の森プロジェクト」をはじめ、子ども達への環境教育の一環として「水育(みずいく)」などを行っているそうです。また、これら「水のサステナビリティ」の実現に向けて、地域社会との連携も期待されています。
「多くの水を使う企業だからこそ、使った分以上に、その地域に貢献したい。水を育む森を育てる為に、最低でも30年間の整備契約を国や自治体などと結び、長期的な視点に立った計画を立て、推進しています。一時の業績などに左右されず、トップの強い意思によって、やり抜くことが重要です」と新浪社長。
じつは海外の従業員数の方が多いというサントリーグループ。世界各国でも「水のサステナビリティ』の考え方は共有されています。「水と生きる」というコーポレートメッセージを世界共通言語に、グローバルに「水のサステナビリティ」を展開していく姿勢が強く感じられました。
【次回予告】 サントリー新浪社長インタビュー「3.11は決意のきっかけの一つ」
次の記事では新浪社長のインタビューをお届けします。
記者 小田 亮子
神奈川県出身。求人広告、結婚情報誌などの制作ディレクターを経てフリーランスに。現在おもにブライダル関連のレポートを「ゼクシィ」「ゼクシィPremier」にてディレクション。「ethica(エシカ)~私によくて、世界にイイ。~ 」ほか、エステティック、化粧品、ジュエリーなどの記事をライティング。三人姉妹の真ん中に育ち、女子高・女子大卒。趣味は愛猫(雌)との女子会。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp