【SB 2018 Tokyo】の基調講演(前回記事)の後、サントリーホールディングス社長・新浪剛史氏に個別インタビューをする機会をいただきました。グローバルに展開する企業のトップとしての思いや、これからの企業のブランド価値についてうかがいました。
「社員やその家族が誇れる会社に」
三菱商事を経てローソンの社長に就任、そして、サントリー初の創業家出身以外で経営トップに招へいされたという新浪社長の経歴は周知のとおり。プロ経営者として話題にもなりました。
新浪氏がサントリーの社長に就任しようと決意したきっかけの一つに、3.11東日本大震災があったそうです。被災した町を見て、我々がいかに「町」に生かされているかを痛感。「人生は一回。自分は社会に何ができるか」という思いを持たれたそうです。震災後、サントリーが流していた、大勢の著名人が歌のリレーで被災地の方々を応援する姿を映したテレビコマーシャルにとても感動されたとのこと。企業の社会的責任を常に意識し、遂行しているサントリーにしかできないことで、素晴らしい企業だと。この事が、その後サントリーからの招へいを受けるきっかけとなりました。
そして「社員やその家族が誇れる会社にする」というのも目標の一つだそう。働きやすい環境を作り、社員の健康を守ること。それは生産性をあげることにもつながります。そしてその利益は社会に還元する。この健全な“トレードオン”の状態が企業をさらに成長させるのだ、という信念がうかがえました。
また、環境に関する課題にも向き合い、CO2の削減からフェアトレードなどエシカルな消費にも言及。「企業の責任として、こういった動きは止めてはならないし、工夫も必要です」と新浪社長。
しかし、環境への取り組みが必ずしも利益につながるわけではありません。その問いに対し、「企業がどういったことを行っているかを消費者は見ています。これがブランド価値になり、ブランド価値は長期的な利益を産みます。サステナブルな取り組みでブランド価値をあげていくためには、長期思考を持つことが大事。ただし、このような長期的な取り組みはサントリーが非上場企業だからできるという側面もあります」と。
「売るのはリフレッシュの時間」
消費者側も、昨今ではサステナブルな取り組みがブランドを選ぶ基準になりつつあります。また、リーマンショック以来、パーパス(存在意義)や企業価値を見直そうといった風潮にもなりました。
それに対し、「サントリーはウイスキーやビールなどのアルコール飲料を売る企業ですが、利益のためにとボトルだけを売っていたらダメなのです。我々が狙うのは、リラックスやリフレッシュの時間を提供すること。お酒を飲む人の目的も、楽しむためにお酒を飲むのですよね。売りたいのはリラックスやリフレッシュの時間だと決めてから、売り方も変わりました」「社員が誇れる会社であることが、その企業の成長につながります。そして利益だけではなく、社会全体を見ることが重要です」と語る新浪社長。
120年もの長き歴史を誇るサントリー。創業当時の理念を今に受け継ぎつつも、社会や環境の変化にあわせて進化しリードし続けている、とても柔軟な企業でもありました。
記者 小田 亮子
神奈川県出身。求人広告、結婚情報誌などの制作ディレクターを経てフリーランスに。現在おもにブライダル関連のレポートを「ゼクシィ」「ゼクシィPremier」にてディレクション。「ethica(エシカ)~私によくて、世界にイイ。~ 」ほか、エステティック、化粧品、ジュエリーなどの記事をライティング。三人姉妹の真ん中に育ち、女子高・女子大卒。趣味は愛猫(雌)との女子会。
ーーBackstage from “ethica”ーー
新浪社長へのインタビューの際、ethicaは女性読者が多いことをご説明し、「社長は女性とお酒を飲むなら何がお好きですか?」と少々不躾な質問をさせていただきました。にっこり笑われて「やっぱりプレモルですね。それとメーカーズマークのハイボールも大好きです。あのボトルのデザインが可愛いらしいと言われますので、女性には商品の見た目も大事ですね」と気さくにお話をいただきました。適量のお酒は気持ちをリラックスさせてくれて、コミュニケーションも円滑にしてくれます。親しくなりたい人がいたら、プレモルやハイボールを片手に、語らいの時間を持ってみてはいかがでしょう?
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp