《第72回カンヌ国際映画祭》若手俳優に贈られる「ショパール・トロフィー」授賞式から
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《第72回カンヌ国際映画祭》若手俳優に贈られる「ショパール・トロフィー」授賞式から

ショパール・トロフィー2019を受賞したフランソワ・シビル(左)とフローレンス・ピュー(右)〜写真提供:Chopard

第72回カンヌ国際映画祭7日目の2019年5月20日、将来の活躍が期待される若手俳優を表彰する「ショパール・トロフィー/Trophée Chopard」の授与式が行われました。

本年度のゴッドマザーを務めた中国の女優チャン・ツィイーから栄えあるトロフィーを渡された、英国の女優フローレンス・ピュー/Florence Pughとフランスの男優フランソワ・シビル/ François Civilをご紹介するとともに、カンヌ湾を望むレストラン、アゴラ(Agora)で行われた授賞式の模様をお伝えします。

ベテランから新人俳優へとバトンを手渡す清々しい瞬間

こちらの記事でご紹介したとおり、2001年に創設されたショパール・トロフィーは、映画をこよなく愛するショパール共同社長兼アーティスティック・ディレクターのキャロライン・ショイフレ/ Caroline Scheufeleの発案で始まった、今後の活躍が期待される前途有望な若手女優・男優に贈られる賞です。

受賞式を兼ねたディナーは、カンヌ国際映画祭の会長を務めるピエール・レスキュール/ Pierre Lescureと、同映画祭の総代表のティエリー・フレモー/ Thierry Frémaux、そしてキャロライン・ショイフレ3名の共催により、カンヌ国際映画祭のオフィシャルイベントとして、執り行われました。

左から、映画祭会長のピエール・レスキュール、受賞者ふたりを挟んで、ショパールのキャロライン・ショイフレ、ゴッドマザーを務めたチャン・ツィイー、映画祭総代表のティエリー・フレモー(写真提供:Chopard)

毎年、ゴッドマザーまたはゴッドファーザーと呼ばれる、この栄誉あるトロフィーを手渡す大役が指名されます。今年は中国の女優、チャン・ツィイーがゴッドマザーを務め、国際的に活躍する女優となった彼女から、新人俳優にバトンを手渡すような清々しい瞬間を、多くのゲストたちが見届けました。

それでは、受賞した二人を、その作品とともにご紹介しましょう。

フローレンス・ピュー/Florence Pugh

ショパール・トロフィーを手にした、フローレンス・ピュー(写真提供:Chopard)

一人目は、英国の女優フローレンス・ピュー。彼女は実在した元女子プロレスラー、サラヤ・ジェイド・ベヴィスを描いた2019年の映画『ファイティング・ウィズ・マイ・ファミリー』(原題:Fighting with My Family)で主演を務めています。

また、日本のNetflixで観ることができるホラー作品『呪われた死霊館』(原題:Malevolent)にも出演しています。

トロフィーを抱えた笑顔とは違って、映像の中ではその鋭い眼光が印象的です。

FIGHTING WITH MY FAMILY | Final Trailer | MGM
『呪われた死霊館』ティーザー予告編 〜Netflix Japan公式チャンネル

フランソワ・シビル/François Civil

ショパール・トロフィーを手にした、フランソワ・シビル(写真提供:Chopard)

もう一人の受賞者は、フランスの男優、フランソワ・シビルです。彼は2018年に日本でも公開されたフランス映画『おかえり、ブルゴーニュへ』(原題:Ce qui nous lie 英題:Back to Burgundy)で、10年ぶりに故郷のワイナリーに戻ってきた男を演じているほか、かぶり物をしたバンドマンを描いたコメディ映画『FRANK -フランク-』(原題:Frank)ではバンドのギタリスト役として出演しています。

映画『おかえり、ブルゴーニュへ』予告編〜シネマ・トゥデイ公式チャンネル
映画『FRANK -フランク-』予告編〜シネマ・トゥデイ公式チャンネル

受賞の瞬間を祝福した華やかなゲストたち

授賞式に駆けつけたのは、今年度のコンペティション部門で審査委員長を務めた、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』などで知られるメキシコの映画監督アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ/Alejandro Gonzalez Inarrituや、過去にショパール・トロフィーを受賞したマリオン・コティヤール/ Marion Cotillardとレア・セドゥ/ Léa Seydouxなど、錚々たるメンバーたちでした。

ゴッドマザーを務めたチャン・ツィイー(写真提供:Chopard)

映画監督アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(写真提供:Chopard)

2004 年のショパール・トロフィー受賞者、マリオン・コティヤール(写真提供:Chopard)

2009 年のショパール・トロフィー受賞者、レア・セドゥ(写真提供:Chopard)

2004年にショパール・トロフィーを受け取ったマリオン・コティヤールは、2007年には『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』(原題:La Môme、英題:La Vie En Rose)で第80回アカデミー賞主演女優賞を受賞しています。

いっぽうのレア・セドゥは、2009年のショパール・トロフィー受賞者ですが、その後2013年には、主演した『アデル、ブルーは熱い色』(原題:La vie d’Adele : Chapitres 1 et 2、英題:Blue Is the Warmest Colour)が第66回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞しました。

ショパール・トロフィーが、彼女らの栄誉のさきがけとなっていたことがわかります。もしかしたら今回の受賞者のふたりも、さらなる高みに上り詰めるときが来るかも知れません。

第72回カンヌ国際映画祭の連載企画(全9回)も、残すところあと2回となりました。このあと、クエンティン・タランティーノ監督の最新作のワールドプレミアとパルム・ドールが決定したクロージングの模様をお伝えする予定です。最終回までどうぞよろしくお願いいたします。

公式サイト
https://www.festival-cannes.com/

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記者:山田勲

上智大学理工学部卒。1985年ソニー株式会社入社。ソニー・ミュージックエンタテインメントEPICソニーレコードのディレクターを経て、インタービジョン・レーザーフィッシュ取締役などを歴任、ethica編集部では音楽制作の現場経験を活かし、音楽を中心にエンタメ分野のライティングを担当。これまで担当した著書に「デジタルエレクトロニクスの秘法」(岩波書店ジュニア新書)、「0と1の世界」(教育出版・中学国語3)の寄稿がある。

ーーBackstage from “ethica”ーー

ブルゴーニュと言えば、ボルドーと並ぶフランスの代表的なワインの産地ですが、今回ショパール・トロフィーを受賞したフランソワ・シビルは、映画『おかえり、ブルゴーニュへ』で、相続税が払えなくて父から譲り受けたはずのワイナリーを続けることができない、という悩みを抱える息子を演じています。

彼は出演していないのですが、同じような映画で2016年にエシカでご紹介した『ブルゴーニュで会いましょう』という作品があります。ところが、これも自分のワイナリーが倒産の危機に追い込まれる、という物語でした。

映画『ブルゴーニュで会いましょう』〜(c)ALTER FILMS - TF1 FILM PRODUCTIONS – SND

華やかなようで、シャトーの経営というのも大変なのでしょうか。ただ、この映画の最後のシーンにちらっと出てきた「アロース・コルトン」というワインは、高いですけど、とても美味しいです。2015年がオススメ。

映画『ブルゴーニュで会いましょう』〜ethica編集部公式チャンネル

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

山田 勲

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