女性たちは、子供の頃からいい子でいることを求められやすい
萱島: ある記事で、スプツニ子!さんが「女性が社会に対して『言いたいけど言えない』ことを、作品を通して代弁」していらっしゃると読みました。日本の女性たちが、言いたいことを言えるようになるには、何を解決していくのがよいでしょう?
スプツニ子!さん: 難しい問題ですよね。女性たちは、子供の頃からいい子でいることや他の人を気にしてあげることを求められやすいので、内在化しているんだと思います。人に嫌われないかな、ちゃんと期待に応えているかな、とか、男性から見てわたしは魅力的かなとか。残念ながら、社会とかメディアが男性の目から運営されてきたので、男性から見た都合のいい女性が良い姿として祭り上げられてきたというか。
逆に、自由に自分の意思を持って生きている女性が、メディアで「モテない、強がっているフェミニスト」とか言われたり。自分で選んでシングルでいても「独り身の負け犬」とか言われたりして、社会にそういう言葉が散乱しているんですよね。女性を下に陥れるような言葉や見方、それを自分の中に取り込んでしまう女性が多いのだと思うんです。
萱島: 小さな頃からだと、相当刷り込まれているのかもしれないですね…。
スプツニ子!さん: それが実は一番の敵で、それを解毒しなきゃいけないっていうのがひとつ。二つ目は、解毒するにあたって、この人の言っていることを聞いていると元気になるなっていう人、インフルエンサーを探して繋がっておくこと。インターネットは、テレビから脱せられるというか、自分の繋がりたい人と繋がれるので、自分を元気にしてくれる言葉と触れ合うことができます。
最後のポイントが、私はいままで幸運にも色んな国で色んな人と出会い、仕事をするなかで気づいたことがあって。結果的に一番いい仕事をする人って、ちょっと我儘で、人にこれをやってとかあれをやって、といわれたときに、適度に無視をできる人なんです。何故ならば、ちゃんと真面目にやると、誰かの仕事をやる人になっちゃうから。女の人って事務とか秘書とかに就いている人が多いじゃないですか。人から言われたことを完璧にやっていると、サポート的な仕事に留まってしまうし、しかもそれは相手にとって都合がいい。だから、本当にキャリアアップしたかったら、やらなくていいことはやらない、やりたくないことはやらない(笑)っていう我儘さ、そして、自分がやりたいことを、人にこれやってよ、あれ手伝ってよ、って言える強さがあるといい。女の子は、それは良くないことっていう教育をされがちなのが勿体なくて、それができるようになると、経済的にもキャリア的にも、色々なことが上手くいきます。
萱島: 人の言うことばかり聞いていると、都合のいい女になっちゃうってことですね。
スプツニ子!さん: はい、誰かの手足になるだけになっちゃう。できるようになるまで、難易度高めかもしれないですけど…。
萱島: すごい高めですね、それは…。(笑)