気候変動やグローバル化で深刻化する問題に対応するため、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)。貧困や格差の解消、地球環境の保全などをめざし、全ての国連加盟国が2030年までに取り組む行動計画だ。企業は単なる社会貢献ではなく、本業を通じた活動が求められている。ボルネオ島の生物多様性保全やアフリカ・ウガンダでの衛生環境改善など、まさに本業を通じて社会問題に取り組んできたサラヤの更家悠介社長と、サラヤの考え方に賛同し実際に商品を使っているモデルで一児の母の森貴美子さんが、「自分ごと」として向き合うSDGsについて語り合った。
「地球は大丈夫なの?」ということに、一人ひとりが向きあっていこう
森きみ: SDGsは、「持続可能な開発目標」という言葉からちょっと難しいのかな、というのが最初に感じたことです。でも、具体的な内容を知り、意外と自分たちの生活に根ざしている目標だと感じました。
更家社長: 今年だけでも大きな台風が日本を襲い、甚大な被害をもたらしています。なぜ大きな台風が増えたかというと、その背景には地球温暖化の影響があります。また、先日の大阪サミットでも取り上げられましたが、プラスチックによる海洋汚染も深刻になっています。こうした状況に「地球は大丈夫なの?」と多くの人が感じていると思います。実際、持続可能な地球であるかどうかは、私たちの生活や未来にも大きく関わっている。そのことについて一人ひとりが向き合っていこうというのが、SDGsなんです。
振り返ってみたら結果的にSDGsだった。
森きみ: SDGsは、企業が事業を通じて取り組むべきことと推奨されています。そういう意味では、サラヤさんがこれまで推進してきた活動は非常にSDGs的というか、親和性が高いように感じます。
更家社長: 振り返ってみたら結果的にそうだった、という感じです。たとえば、サラヤは2004年から、洗浄剤の原料生産地であるボルネオ島の生物多様性保全に取り組んでいます。また2010年からユニセフ(国連児童基金)と協力し、アフリカ・ウガンダの子どもたちの健康と命を守るため、手洗い習慣の普及を推し進めています。具体的には、サラヤの衛生関連商品の売り上げの一部をユニセフに寄付し、ウガンダ現地のユニセフ事務局が展開する手洗い促進運動を支援する、という取り組みです。
背景には、ウガンダにおける子どもたちと産後のお母さんたちの死亡率の高さがありました。2009年の調査では乳幼児死亡率は1千人当たり79人、5歳未満では128人。つまり、100人中約13人もの子どもが5歳の誕生日を迎えることなく命を落としていました。
森きみ: そんなに……。子どもを持つ母親として心が痛む数字です。
更谷社長: 日本では1千人に1人ぐらいですからね。それに比べると本当に痛ましい数字です。多くは下痢や感染症が原因で、これは手洗いで予防が可能です。また、出産時に助産師が手を消毒しないことで母親が感染症や敗血症になってしまう。ウガンダではそれまで「手を洗う、消毒する」という意識も習慣もほとんどなかったのです。そこで学校や病院の産科病棟などに石鹸を配り「手を洗いましょう」と呼びかけました。また水が汚いところでは、水がなくても消毒できるアルコール手指消毒剤を配布しました。
SDGsは「2030年までに開発途上国の子どもの死亡率を1千人中12人程度に」という目標を掲げています。期せずして、私たちが進めてきた活動と非常につながっていたのです。
森きみ: 日本では幼いころから手を洗うことは習慣として身についているので、呼びかけないと洗わないということが驚きです。
更家社長: 知っていたとしても、汚い水で洗ったところで不衛生なことは変わりないし、石鹸や消毒液といった衛生商品がないということもあります。意識がない、習慣がない、モノもない。
森きみ: モノと一緒に、意識や習慣も普及させ啓蒙を進めていく。それが大切なんですね。
(後編に続く)
記者 中津海 麻子
慶応義塾大学法学部政治学科卒。朝日新聞契約ライター、編集プロダクションなどを経てフリーランスに。人物インタビュー、食、ワイン、日本酒、本、音楽、アンチエイジングなどの取材記事を、新聞、雑誌、ウェブマガジンに寄稿。主な媒体は、朝日新聞、朝日新聞デジタル&w、週刊朝日、AERAムック、ワイン王国、JALカード会員誌AGORA、「ethica(エシカ)~私によくて、世界にイイ。~ 」など。大のワンコ好き。
提供:サラヤ株式会社
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