「海洋プラスチックごみ問題」を知っていますか? 【寄稿】外務省国際協力局地球環境課
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「海洋プラスチックごみ問題」を知っていますか?

「ODAマンとメッセージ(ソロモン諸島)」 外務省より

皆さんの中にも、海洋プラスチックの問題について、耳にする機会は増えたけど、どんな問題があるのか詳しくはわからないという人もいるのではないでしょうか。人間が捨てたプラスチックが海に流出し、海鳥やクジラなどの海洋生物がそれを食べてしまったり、ゴミに絡まって死んでしまうなどの深刻な被害が出ているそうです。そして、いま手を打たなければ、2050年には海洋中に存在するプラスチックの重量が海にいる魚の重量と同じくらいにまで増えると言われています。この大きな問題を解決するため、日本でどのような取り組みが始まっているのかを知りたく、ethica編集部は外務省の担当課に訪問しました。今回は担当課である外務省国際協力局地球環境課の寄稿記事をご紹介していきます。(記者:エシカちゃん)

街中でポイ捨てされたプラスチックが海に流出

プラスチックはコンビニのレジ袋やペットボトルなどの容器包装、家庭用品等、私たちのライフスタイルに浸透しており、もはや必要不可欠な存在となっているといえます。それは、ひとえにプラスチックの素材としての有用性にあります。というのもプラスチックは軽量で耐久性があり、好きな形に成形することができ、かつ安価に生産できます。ただ、プラスチックはポイ捨てされたり、屋外に放置されたりすると、雨や風によって河川に入り、海に流出し、海の生態系に悪影響を及ぼすことが懸念されています。海洋プラスチックごみの多くは、陸から海に流れ出ているものだといわれています。

「街中に捨てられた大量のプラスチックごみ(タイ) UNEPバンコク事務所より

特に、近年注目されるのは、「マイクロプラスチック」です。それは細かい粒子のプラスチックで、I)最初から微細なプラスチックである一次マイクロプラスチックと、Ⅱ)もとは大きいプラスチックだったものが海洋含む環境中で破砕され、微細化した二次マイクロプラスチックの二つに分けることができます。Ⅰの具体例はスクラブ洗顔料等に含まれるマイクロビーズ、Ⅱの例はタイヤの破片や河川敷の人工芝などを挙げることが出来ます。マイクロプラスチックは回収が難しく、下水等を通って海に流れ出たマイクロプラスチックを魚などがエサと間違えて食べたり、ひいては我々人の健康にも悪影響を及ぼす可能性が懸念されています。

G20サミットで日本から世界へビジョンを呼びかけ

こういった状況から近年海洋プラスチックごみ問題には国際的に大きな注目が集まっています。この問題の解決のためには、海洋プラスチックごみを多く排出する新興国・途上国を含む国際社会全体での取組が不可欠です。今年6月のG20大阪サミットにおいて、日本は、議長国として、この問題を主要課題の一つとして取り上げました。その結果、G20首脳間で海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有し、G20以外の国にも共有するよう呼びかけることに合意しました。また、ビジョンの実現に向けて各国で協調して実効的な対策を進めるために、各国が自主的な対策を実施し、その取組を継続的に報告・共有する「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」に合意しました。途上国を含めたG20が、共通のビジョンと国際枠組に合意し、それをG20の外に広げていくことになったことは画期的な成果であったと言えます。

「G20大阪サミット・集合写真(夕食会)」 G20大阪サミットHPより

これ以上のプラスチックごみを出さないために

では、海洋プラスチックごみ問題を解決するためには、どのような対策が有効でしょうか。もちろん、土壌や海洋で分解される生分解性プラスチックの開発も進んでいますが、まずは、プラスチックがごみにならないようにすることが大切です。そのような観点から、例えば、日用品メーカーでは容器用プラスチックの使用量削減として洗剤やシャンプー等の容器について、本体容器をくり返し使用できる「つめかえ」用製品を販売・改良したり、容器のコンパクト化(内容物の濃縮化)・軽量化、再生可能原料・再生材料の利用等を進めていたりしています。またレジ袋の有料化やプラスチック包装使用の縮減など、様々な取組が行われています。

さらに、プラスチックごみを海に流出させないようにすることが重要です。そのためには、陸上における廃棄物管理がしっかりと行われる必要がありますが、日本だけで取組を進めてもこの問題は解決しないことから、日本は、G20大阪サミットにおいて、途上国における廃棄物管理を支援することを目的とした「マリーン(MARINE)・イニシアティブ」を立ち上げました。その中では世界において、2025年までに廃棄物管理人材を1万人育成することを約束しています。

「廃棄物管理の研修」 写真提供:今村 健志郎/JICA

「ごみ収集車の提供(ラオス)」 写真提供:久野 真一/JICA

海洋プラスチックごみ問題は、皆さんも身近な取組としてその解決に参加できます。例えば、マイバッグの持ち歩きや商品の過剰包装を避ける、詰め替え商品の活用やプラスチックの適正な処理のためのきちんした分別を行うなどの取組があります。皆さんも、健やかな海洋環境を守り、未来に残していくためにも、ぜひ生活の中でプラスチックごみを減らす取組を実践してみてください。

記者:エシカちゃん

白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。

ーーBackstage from “ethica”ーー

日本がこの分野で世界のなかでリーダーシップをとっていることを知り、誇らしい気持ちになりました。普段何気なく手にしているペットボトルやお菓子の包装、コンビニの袋といったものは、消費が終わればすぐにゴミになるものばかり。まずは私もそういったゴミを出さない生活を始めてみようと思います。家族や友達とも一緒に話したり考えたりして、みんなで取り組めたらいいな。

<参考情報>

外務省ホームページ「ODA(政府開発援助)」

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index.html

 

鷹の爪団の 行け!ODAマン ~ОDAで世界を救う!の巻~

https://www.youtube.com/watch?v=WQmiovlU75Q&feature=youtu.be

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

エシカちゃん

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