国立新美術館で開催中の「カルティエ、時の結晶」。1970年代以降の現代作品に焦点を当て、世界中から集めた約300点の展示作品のうち、通常では公開されることのない個人所蔵の作品がおよそ半数以上を占める貴重な展覧会です(開催期間は12月16日まで)。
空間そのものがアート作品のような圧巻の構成と、その中でより際立つ美しさを放つ作品を是非その目でお楽しみください。
【読者プレゼント】のご案内は、本レポート記事の巻末にて。
(記者:ethica編集部・りりこ)
会場イメージ 序章「時の間」 新素材研究所 © N.M.R.L./ Hiroshi Sugimoto + Tomoyuki Sakakida
国立新美術館で開催中の「カルティエ、時の結晶」。1970年代以降の現代作品に焦点を当て、世界中から集めた約300点の展示作品のうち、通常では公開されることのない個人所蔵の作品がおよそ半数以上を占める貴重な展覧会です(開催期間は12月16日まで)。
空間そのものがアート作品のような圧巻の構成と、その中でより際立つ美しさを放つ作品を是非その目でお楽しみください。
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(記者:ethica編集部・りりこ)
「王の宝石商、宝石商の王」。これはかのイギリス国王エドワード7世からカルティエへと送られた言葉です。1847年にルイ=フランソワ・カルティエによってパリで創業された、ジュエリーメゾン「カルティエ」。世界5大ジュエラーとして名高く、王侯貴族をはじめ世界中の人々に愛されてきました。
気の遠くなるような長い時間を経て生成された宝石と、世界各地の文化や自然物などから着想を得たデザインが、卓越した職人技術によって結実し、生まれ変わったのがカルティエの宝飾品です。
本展ではそれを「世界の縮図であり、地球や文明との時空を越えた対話である」と捉え、「時間」をテーマに、序章「時の間」に続き「色と素材のトランスフォーメーション」、「フォルムとデザイン」、「ユニヴァーサルな好奇心」の三つの章で構成されています。
同展の会場構成は新素材研究所の杉本博司と榊田倫之が担当し、大谷石や屋久杉、神代ケヤキといった素材を用いた斬新な構成とカルティエの宝飾品の共演が楽しめます。
展示風景 序章「時の間」 新素材研究所 © N.M.R.L./ Hiroshi Sugimoto + Tomoyuki Sakakida Photo : Yuji Ono
序章「時の間」では、暗い空間の中で天井から円柱状に吊るされた布の中の一つひとつにスポットライトが当たったミステリークロックやプリズムクロックが展示されており、神殿を思わせるような厳かな雰囲気です。
これらの時計は長い月日をかけ精巧に作られており、不思議な魅力を放ちます。
第1章の「色と素材のトランスフォーメーション」では、素材づかいや色彩の観点からメゾンの独創的な表現方法を見ることができます。
ダイヤモンドを引き立てるプラチナや石の技法、装飾技術、カラーパレットによる色彩のコンビネーションなど職人技から生まれる多様な表現をお楽しみいただけます。ネックレスのトルソーに使用されているのは日本の木材。神代杉や、樹齢が1000年を超える屋久杉など、どれも長い年月を経てきたもので、それらは仏師の手によって端正に彫られています。
展示風景 第2章「フォルムとデザイン」 新素材研究所 © N.M.R.L./ Hiroshi Sugimoto + Tomoyuki Sakakida Photo : Yuji Ono
第2章のテーマは「フォルムとデザイン」。この空間に入った瞬間目に飛び込んでくるのは武骨に積み上げられた大谷石です。その中で展示される作品は、ひときわ輝きを放ちます。洞窟の中で宝石を見出すようなイメージで、このような展示方法にしたそうです。
ここでは、作品のフォルムに宿る視覚的な新しさに迫ります。偶発的に生まれたもの、考え抜かれて生まれたラインや球体の究極の美の形の他に、工業製品や服飾品のパーツなど、一見ジュエリーとは無縁にも思えるような「日常の中にある美」から生み出された作品も並びます。
そして第3章の「ユニヴァーサルな好奇心」では、日本や中国、インド、中東など様々な文化や国に広く目を向け着想を得たオリエンタルな装飾品が展示されています。梅や桜の木にインスパイアされた作品もありました。
巨大な楕円形の什器は、彗星の軌道を形態化して作られており、たくさんの小窓が付いています。中を覗くと作品が並び、そのひとつひとつにジュエリーの小さな世界が広がっていました。
会場イメージ 序章「時の間」 新素材研究所 © N.M.R.L./ Hiroshi Sugimoto + Tomoyuki Sakakida
カルティエの宝飾からは自然界の生み出す儚さや、力強さを感じました。その姿は時に写実的に、またある時には抽象的に表現されています。
印象的だったのは、ヨーロッパを代表するカルティエの宝飾品に、日本の木材や古美術を組み合わせるという美意識でした。長い歴史をくぐり抜けてきた日本の古美術と、ヨーロッパ文化に根付き洗練を極めたカルティエの宝飾品は響きあい、引き立てあっていました。遠く海を越えた土地同士のものでも、時代が異なっていても、職人が手がけ大切に守られてきたものは時も場所も超えて呼応するのだと感じました。
本展は宝飾展示の枠を超え、その空間も含め芸術作品としてお楽しみいただけるのではないでしょうか。
<開催概要>
開催期間:開催中〜12月16日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室2E(東京都港区六本木7-22-2)
休館日:毎週火曜日
開館時間:10:00~18:00(毎週金・土は20:00まで。入場は閉館の30分前まで。)
観覧料:一般1,600円、大学生1,200円、高校生800円
※中学生以下および障害者手帳を提示(付添1名含む)で入場料無料。
展示作品数:約300点
抽選にて、読者5組10名様に国立新美術館で開催中の「カルティエ、時の結晶」のチケット(2枚1セット)をプレゼントいたします。
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【応募締め切り】2019年12月9日(月)
【当選者の発表方法】編集部よりDMにて
記者:りりこ
京都育ちの女子大文学部卒です。日本の伝統文化が大好きで、茶道や日舞、合気道などをお稽古しています。京都の老舗旅館に勤務したのち上京。2019年10月よりethica編集部に参加。
日本の伝統文化のサスティナブルな一面に惹かれています。現代の暮らしにイイとこ取りして、令和時代的・豊かなライフスタイルを提案していきたいです。
ーーBackstage from “ethica”ーー
展覧会では作品の横に解説文があることが多いですが、本展では空間を壊さないようパネルは最小限の作品名にとどめられています。会場ではイヤホン付きの展覧会のガイドとなる端末が配布されており、該当する作品に近づくとポップが画面上に現れ、オーディオ解説や作品詳細をタップ操作で確認することができるようになっていました。解説を読まないため混雑も避けられ、作品を観ることに集中できました。
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