ethicaがメディアパートナーとして参加した「サステナブル・ブランド 国際会議2019 東京」で行われたセッションの一つが「姿勢が伝わるコミュニケーション」でした。参加されたのは凸版印刷、ポーラ、電通の3社。今回は凸版印刷の取り組みについてご紹介します。(記者:エシカちゃん)
「情報伝達の最適解」で難しいことを分かりやすく簡単に
凸版印刷というと、単なる印刷会社だと思っている人も多いでしょう。しかし、決してそんなことはありません。トッパンアイデアセンター クリエイティブ本部 エキスパートクリエイターの亀井光則氏は、
「業務を一言でいえば情報加工という表現がよいかもしれません。クライアントからお預かりする複雑で難しい情報を分かりやすく簡単にして、かつ印象的で記憶に残りやすくする。いわば『情報伝達の最適解』を担っているのが弊社なのです」
水を使わない染色技術の素晴らしさを伝えるには
ファスナーでおなじみのYKKが「超臨界流体染色」という染色技術を開発しました。それは画期的な最先端技術でした。しかし、技術の名称も難しく、理解しづらい内容でした。
通常、染色には大量の水を必要とし、化学物質を含む汚水を排出するため環境汚染を引き起こす危険性があるといわれています。その点、超臨界流体染色は水を一切使わずに染色することを可能にしましたので、環境にやさしい、時代にマッチした技術といえます。
「この難しい言葉をどうやって分かりやすくしていくかというのが弊社に与えられたミッションでした。水を汚さないという点ではなく、そもそも水を使わないということに焦点をあて印象的に伝えることとし、『あらゆる世界をカラフルに』というコンセプトでビジュアルを制作。その素晴らしさをより分かりやすく訴求しました」(亀井氏)
<参照> 2016年度 グッドデザイン賞
https://www.ykk.co.jp/japanese/corporate/g_news/2016/20161130.html
「ツナゲルペン」と「ツナゲルノート」
亀井氏が挙げたもう一つの事例は大塚製薬が行った、そううつ病、てんかん、統合失調症、パーキンソン病への理解促進を目的とした活動でした。それは、偏見を持たれやすいこうした病を、クライアントの伝えたい内容にあわせて印象的に表現した「ツナゲルペンとツナゲルノート」というアクションです。
「脳を電気回路に置き換えたノートに、銀ナノインクという導電性のあるインクを充填したペンで配線を描き、ノートの回路を完成させながら疾患への理解を深めることを目指しました」(亀井氏)
最後に亀井氏は、この事例を通じて気づいたこととして、「サステナブルなところに『情報伝達の最適解』を入れていくと、コミュニケーション型のCSRになるのではないか」という点を指摘されていましたが、これにはファシリテーターを務めたSB東京サステナビリティ・プロデューサーの足立直樹氏も納得の様子でした。
記者:エシカちゃん
白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。
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