ethicaがメディアパートナーとして参加した「サステナブル・ブランド 国際会議2019 東京」での「しごとづくりセッション」では「最新技術の活用で、自治体の環境活動(紙資源の有効活用)に貢献」と題し、エプソン販売の産業機器MD部ペーパーラボ営業推進課シニアスタッフの大木崇嘉さん、大田区役所環境清掃部環境計画課計画・推進・温暖化対策担当課長の鈴木宣子さんが登壇しました。今回はその発表の模様をご紹介しましょう。(記者:エシカちゃん)
水を使わずに紙を作る!
2016年1月、エプソンが販売を開始、大きな話題となったのが紙の未来を変えるオフィス製紙機「ペーパーラボ」です。
これは使用済みのコピー用紙を入れると、文書の情報を完全に抹消したうえで、新たな紙をその場で生産するという、これまでにない新しいソリューションを実現しているオフィス機器です。
「ペーパーラボの最も大きな特徴は水を使わないということです。通常A4の紙を1枚作るにはコップ1杯の水が必要とされています。ところが、オフィスに設置するためには、水を使った方法ではどうしても設置場所に制限ができてしまいます。そこで、水を一切使わずに紙を作る『ドライファイバーテクノロジー』という新たな独自技術を考案、オフィスという限られた空間の中で紙のリサイクルができる画期的なシステムを開発しました」(エプソン販売産業機器MD部ペーパーラボ営業推進課・大木崇嘉さん)
紙が新たに生まれ変わるところが目に見える
ペーパーラボはA4の用紙の場合、1分間で14枚、1時間で840枚もの紙を作ることができ、しかも設定を変更すれば紙の厚さを変えられ、名刺やノート、色紙など何でも自由に作ることができるそうです。
「従来であれば捨ててしまっていた古紙を材料にして、新しい紙を生み出すという循環型社会のお手伝いができる他、紙の廃棄や回収にかかる輸送CO2の削減も期待できるのがペーパーラボなのです。その意味で、現代のニーズにマッチした製品といえるでしょうね」(大木さん)
このペーパーラボを2017年1月、大田区役所が関東地方の自治体として初めて導入しました。その背景を大田区役所環境清掃部・鈴木宣子さんは、
「まず第一に現実的な理由としてコピー用紙の削減ができるということ。調べてみましたら、区役所内で1年間に使用しているコピーの量は積み上げると何と高さ8600m、金額にして5900万円にもなることが分かりました。これが節約できるのはとても大きいですね。そして、もう1点、使い終わったコピー用紙が目の前で全く別の新しい紙に生まれ変わるところが形になって見えるということ、実はこれがとても大事なのです」
と説明します。
鈴木さんによると、今ペーパーラボは会議室に設置してあり、区役所にやって来た人たちに見てもらえるようにしてあり、ペーパーラボを通じて、区の環境に対する取り組みの一環をPRすることにも役立っているのだそうです。
SDGsにつながる
ペーパーラボはSDGsへの取り組みにも貢献してくれるオフィス機器といっても間違いないでしょう。大木さんは、
「ペーパーラボを使うことで、SDGsの17の目標のうち特に6安全な水とトイレを世界中に、8(働きがいも経済成長も)、9(産業と技術革新の基盤をつくろう)。11(住み続けられるまちづくりを)、12(つくる責任 つかう責任)、15(陸の豊かさも守ろう)に貢献することになります。今後は製品としての完成度はさらにアップさせるためにも、お客様と一緒になってこの製品を育てていきたいと思っています」
とこれからの意気込みを語りました。
また、一方、鈴木さんは、
「多くの企業や自治体がペーパーラボを使うようになれば、おそらくその効果はかなり大きなものになるでしょうね。100年後、200年後を見据えて、持続可能な社会をつくrためにも、こうした環境にやさしい機器が私たちの生活の中に入ってくることはとてもいいことだと思います」
と感想を述べていました。
記者:エシカちゃん
白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
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