ethicaがメディアパートナーとして参加した「サステナブル・ブランド 国際会議2019 東京」では数々のセッションが行われました。その一つが富士通、日本航空、カルビー、住友林業の各社が参加した「次世代CSV(価値創造)経営とは何かーSDGsにより社会をリ・デザインするー」でした。今回は日本航空の発表をご紹介します。(記者:エシカちゃん)
特に力を入れている「地域の活性化」
先日発表された中期経営計画の中で、日本航空はSDGsを達成するということを明確に、経営の意思としてコミットし、観光立国に向けた取り組みを通じてSDGsを実現していくとしています。そして、日本国内はもとより世界中に支店をたくさん持っている同社ですが、一つの支店、あるいは一つの部署がやるのではなく、全社挙げて社員全員で取り組むという方針を明らかにしており、その中で「地域の活性化」に特に力を入れていくとしています。その理由を竹田亨地域活性推進部部長は、
「今、人口の一極集中が進み、地方の人口がどんどん減ってきています。しかし、それは急には止められるものではありません。私たち日本航空が目指しているのは、そこに住んでいる人たちの笑顔が見たいということ。笑顔さえなくならなければ、人間として誇りを持ってその土地に住んでいけるのではないかと思うのです」
と説明します。
地域の観光や地場産業、伝統、文化に光を当てる
今、日本航空がやっている活動は地域の価値向上や付加価値の創出を目的に、その地域ならではの観光や地場産業、伝統、文化などに光を当て、それぞれの地域の人たちの課題を一緒に考えていこうということです。
「地域の価値を向上させることによって、これって面白いよねとかおいしいよね、行ってみたいよねと思ってもらえれば、その地域に関係する人口が増えることになります。そこに行かなくても、そこのものを買ってもらえれば地域にお金が入ってきます。そういう流れを作りたいと思っているのです。ただし、入ってきたお金は出してはいけません。100円入ってきても100円使ってどこか別の地域で何かを買ったということになると、結果として地域へお金は流れてきたけど、経済は盛り上がらないということにもなりかねません。ですから、できるだけお金の流出を食い止めることが大事なのです」
その地域ならではの食材や料理を海外に紹介
秋田県に美郷町という町があります。過疎化が進み、人口が2万人を切ってしまった小さな町です。日本航空は6年ほど前からこの町と連携協定を結んでいます。
美郷町との連携協定の目的は、この町に海外から観光客をたくさん連れてこようというような話ではなく、地域内の人同士、地域の中の人と外の人とをつなげることをその大きな目的としています。そのため、同社の社員たちは折に触れて同町を訪れ、一人暮らしの老人の相手をしたり、子どもたちと一緒になって町内にあるきれいな水の湧いているところの清掃や山での植林活動をしたりなど、さまざまな活動を行っています。
さらに今、地域の産業が元気を失っていることから、同社では古くから多くの効能を持つ薬草として知られる青森藍に注目。消臭スプレーなど青森藍を使った商品を青森県と一緒に開発しています。
また、その地域ならではの食材や料理を積極的に海外に紹介していこうという活動もあり、同社の活動はこれからもますます活発になりそうです。
記者:エシカちゃん
白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp