【ethica副編集長対談】フィリップ モリス ジャパン・濱中祥子さん(前編)
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【ethica副編集長対談】フィリップ モリス ジャパン・濱中祥子さん(前編)

Photo=Kaori Uchiyama ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

2月19日・20日の2日間、パシフィコ横浜で開催された「サステナブル・ブランド国際会議2020横浜」(SB 2020 YOKOHAMA)でのパネルディスカッション「グローバル先進企業に学ぶサステナブル・ビジネスの実践法~課題を乗り越えるための方策とは」にノボ ノルディスク ファーマのサイモン・コリアさん、セールスフォース・ドットコムの遠藤理恵さんとともにパネリストとして参加されたのがフィリップ モリス ジャパンの濱中祥子さんでした。自らは非喫煙者で、入社するまでタバコとは全く縁のない人生を送ってきたという濱中さんは今、「煙のない社会」を目指して日々活動されています。そんな濱中さんに、これまで歩んでこられた人生を振り返っていただきました。

(聞き手:ethica副編集長・萱島礼香)

入社してもうすぐ5年

萱島: ウェブマガジン『ethica(エシカ)』副編集長の萱島と申します。今日はよろしくお願いします。

濱中: こちらこそよろしくお願いします。

萱島: まずはじめにお聞きしたいのですが、何でも濱中さんは非喫煙者で、それまでタバコとは全く縁のない人生を送ってこられたそうですね?

濱中: はい、そうです。

萱島: その濱中さんがどうしてタバコの会社であるフィリップ モリス ジャパンに入社されたのでしょうか?

濱中: 皆さんによく聞かれる質問ですね。

私は2015年の5月に入社してもうすぐ5年になるのですが、転職活動をしていた頃、ちょうど名古屋でアイコスのテスト販売をしていて、そのことでフィリップ モリスという会社のことを知りました。それまでフィリップ モリスにもタバコにも何の興味も関心もありませんでした。といいますか正直なところ、その頃の私はタバコに対してネガティブなイメージがありました。

Photo=Kaori Uchiyama ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

明確なビジョンのもと、新しいことに挑戦しているのはちょっと面白いなという好奇心

お話をお聞きすればするほど、濱中さんがどうしてフィリップ モリス ジャパンに入られたのかが不思議に思えて仕方がありません。普通だったら自分がネガティブに思っているものを扱っている、そんな会社に入ろうとは考えないはずだからです。その辺を重ねて尋ねると……、

濱中: 普通はそうですよね。私って天邪鬼なのかもしれないですね(笑)。たしかに私とは縁のない会社であったかもしれませんが、自分の会社のスタンスをものすごくはっきりと打ち出しているところに興味を持ちました。煙のない社会という明確なビジョンのもと、タバコ会社が新しいことに挑戦しているのはちょっと面白いなという好奇心もありました。

萱島: 濱中さんはトランスフォーメーションのようなものに興味があったのかもしれないですね。

濱中: ええ、そうだと思います。会社の変革とともに社会も変わっていく状況に自分を置くのはチャンスかもしれないと思って入社を決めました。

Photo=Kaori Uchiyama ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

最初に担当した仕事は小売店回り

フィリップ モリス ジャパンに入って、濱中さんが最初に担当した仕事はフィールドセールスという、いわゆる営業職でした。タバコ店やコンビニエンスストアを回って自社のタバコをセールスしていました。でも、タバコを吸わない濱中さんにはタバコを吸う人の気持ちは分からないはずです。そんな濱中さんにそういう仕事ができたのでしょうか? とっても意地悪な質問をすると、濱中さんは「いいえ、大丈夫ですよ。その頃、同じような質問をよくされましたから」と笑顔で返してくれました。

濱中: 会社が変革をしている中で今、タバコを吸う人・吸わない人両方の視点がすごく大事になってきています。社会で何が受け入れられて、何が受け入れないのか、そして、どうしたらタバコと社会との折り合いがつくのか、そこを探っていく中で、特にタバコを吸わない人の視点はとても大事だと考えています。

今はタバコを吸わない人が何を求めていて、タバコを吸う人にとって何が最良の選択なのかということを幅広いステークホルダーの人たちといろいろな話をしながら考えていかなくてはならない時代になってきました。会社が変わることによって、関わる人の数も種類もどんどん変わってきていますね。

Photo=Kaori Uchiyama ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

サステナビリティは私にとってライフワーク

萱島: 現在のお仕事はいつからですか?

濱中: 2019年の5月からです。まだ1年経っていません。

エクスターナル・アフェアーズという部署の中にコーポレート・サステナビリティというチームがあります。サステナビリティという名前がチームについたのは2017年末頃で、それまでもボランティアを始めとした様々なプログラムを推進してきましたが、チームがコーポレート・サステナビリティという名前に変わりサステナビリティをより体系的に、より事業変革と関連づけて捉えるようになりました。2019年の5月に私が着任したタイミングで本格的にグローバルのサステナビリティの枠組みを日本に持ってこようということになったのです。

今、世界中で「タバコ離れ」が急速に進んでいます。国や地域によってタバコに対する意識や考え方が異なっている中、現在、濱中さんがやっていらっしゃるお仕事に関して、日本ならではのやりやすさとやりにくさがあるのではないでしょうか? そのあたりをお聞きすると、濱中さんはまたも笑顔で答えてくださいました。

濱中: やりにくいと思ったことはあまりないですね。というのも、日本は世界で初めてアイコスが発売された国でもあり、他の市場と比較しても多くの成人喫煙者の方が紙巻たばこからアイコスをはじめとする加熱式たばこに切替えています。そういった意味では、私たちが目指す煙のない社会に近づいている市場であり、グローバルの中でも位置づけがはっきりしているので、やりにくさというのはあまり感じたことがありません。

フィリップ モリス インターナショナルが掲げるサステナビリティ戦略の4つの柱に沿って日本での優先順位を特定するために、フットプリントに関わる多くの社内ステークホルダーと話し合いを重ねることには時間をかけて取り組みました。

キャリアの面でいえば、サステナビリティというのは私にとってライフワークであり、ものすごく関心がある分野です。個人的には気候変動にも危機感を持っていますし、関心もありますので、今のこのポジションにいられることはとても幸せです。今後もずっと関わっていきたいと思っています。

(後編に続く)

 

【ethica副編集長対談】フィリップ モリス ジャパン・濱中祥子さん(後編)

フィリップ モリス ジャパン 濱中祥子

法政大学法学部で国際政治を学ぶ傍ら、一年間、UC Davisに留学。一橋大学大学院社会学研究科では日本におけるフィリピン人女性移民とその家族の市民権に関する研究。卒業後は外国語での広報活動を専門とする代理店に入社。2015年5月にフィリップ モリス ジャパンに入社。フィールドセールスを経験。2016年1月からコーポレート・アフェアーズで渉外を担当。2019年5月からコーポレート・サステナビリティの担当に着任して今に至る。

聞き手:ethica副編集長 萱島礼香

法政大学文学部卒。総合不動産会社に新卒入社。「都市と自然との共生」をテーマに屋上や公開空地の緑化をすすめるコミュニティ組織の立ち上げを行う。IT関連企業に転職後はwebディレクターを経験。主なプロジェクトには、Sony Drive、リクルート進学ネットなどがある。その後、研究機関から発足したNPO法人に参加し、街の歴史・見どころを紹介する情報施設の運営を担当した。2018年11月にwebマガジン「ethica」の副編集長に就任。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

萱島礼香

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