(第1話)はじめまして。 【連載】キコの「暮らしの塩梅」
独自記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
(第1話)はじめまして。 【連載】キコの「暮らしの塩梅」

「まま、おーい」

和室につながるふすまの隙間から、くしゃくしゃになった髪とまんまるな顔が

ひょっこりでてきたら、慌ただしい朝のはじまり。

 

陽が昇るころ、娘と夫より一足先に起きて

小鍋にいりこと昆布、水、根菜を入れて火にかける。

平日の朝ごはんはお味噌汁とごはんにお漬物か納豆。あれば果物も。

そう決めてからは随分と朝の時間が楽になった。

 

娘を着替えさせたら、遅れて起きてきた夫と食卓につく。

できたてのお味噌汁が、起きて間もない体に優しく染みわたる。

とはいっても、一口目をゆっくり味わったら残りはささっと済ませ、

夫のお弁当を詰めながら夕食の支度をし、朝ごはんの片付けに食器洗い。

 

「ままといくー!!」と絶賛イヤイヤ期の娘をなだめつつ

保育園に行く娘と夫を送り出し、火元の確認と戸締り。

余裕があれば水筒に、レモンのはちみつ漬けと白湯を淹れて家を出る。

それを出勤前の車の中で飲むのが、朝のちいさな楽しみだったりするのです。

はじめまして。

この度連載をさせていただくことになった、キコと申します。

食べること、作ることが大好きな一児の母です。

現在仕事をしながら、もうすぐ2歳になる娘と夫と

小さなお家でにぎやかな毎日を送っています。

 

幼いころからアレルギーがあり、ストレスや不摂生が重なると肌に出やすい体質で

常にその悩みと隣り合わせでした。

皮膚科に通いつつ漢方などの民間療法も試すも、スッキリとは治らず

季節の変わり目やストレスで悪くなったり良くなったりを繰り返していました。

 

高校生の頃、ふと手に取った本をとおして「食べたもので体はできている」という言葉と出会います。

当たり前のようで、全く意識していなかったその考え方は、

私の食生活や暮らしをおおきく見直すきっかけとなりました。

当時はおそらく人一倍スナック菓子もファーストフードも好きだった私ですが、

意識して控えるようになり、毎日のごはんも野菜中心にしたり無添加のものを選んだりと

少しずつ考えて選ぶようになりました。

 

食べものによって体の調子も心の状態も変わっていくことを実感し、

その興味は調理法から、生産プロセス、社会のしくみなど、

目の前の食べもの以外のことまで、自然と広がっていきました。

そのなかで、今自分が「当たり前」だと思っている暮らし方や価値観は、

持続可能なものではないことを知りました。

今の私たちの暮らしを世界中の人がすると、地球が2.8個分の資源が必要だと言われています。

私たちの体や心に良く、環境への負荷も少ない「よりよい食・暮らしのあり方」って

どんなものだろうと考えたり工夫することが、生活の一部となっていきました。

 

予定日から二週間も遅れて生まれてきたわが子。

さぞかしのんびりやさんなのかなぁと思いきや、

止まっているのは眠っている間だけなんじゃないか、、と思うほど

おしゃべり好きで元気いっぱい。

 

そんな娘もアレルギーがあり、一部の食材は控えています。

好物はたくあん、梅干し、納豆、干し芋。。

離乳食がうまく進まず、偏食だった頃もごはんとお味噌汁だけは口にしていました。

食べられるものに制限があっても、食卓は楽しいものにしたい。

 

つい「こうあってほしい」「こうしてあげたい」という親の想いが先走りそうになりますが

好きなものは好き、嫌なものはイヤ!とはっきり言う娘の姿から、

学ぶこともたくさんありました。

 

正解がないゆえに悩むことも多いけれど、子どもの気持ちを大切に

手出し口出ししすぎず、「信じて待つ」心を養っていきたいと思う毎日です。

食にしても子育てにしても「〜してはいけない」「〜すべき」など、

さまざまな情報があふれるこの世のなか。

「正解」を見つけるのは難しく、私自身も「こうしなければ」と特定の考え方にとらわれ、

理想と現実のギャップに苦しんだ時期もありました。

 

私をはじめ周りの人、環境にとって「いい」と思ってやってきたはずなのに、

いつのまにかそれ自体がしんどさを生み出すものに、、

我慢や無理があっての上では、笑顔も生まれず長続きしませんでした。

 

自分が大切にしたいと思う基本の軸さえしっかりしていれば、

たまには少し崩してみたり、揺らぎがあったりしてもいいんじゃないか。

紆余曲折した経験があったからこそ、今はもう少し肩の力を抜いて

家族も私も心地いいことを大切に、過ごせるようになったかなぁと思います。

今回の連載ではこれまでの自分の経験をふり返りつつ、

そこで気づいたことを、日々の暮らしにどのように取り入れていったのか

私なりの工夫をお伝えできればと思います。

 

仕事に家事に育児に、日々生活を回すだけでも大変な私たちにとって

新しく行動を起こすのはエネルギーも時間も使うし、ハードルが高く感じてしまうもの。

 

食べるとき、買うとき、捨てるとき、使うとき…

いつもの暮らしのなかで、大切な家族も、世界も、そして私自身も

ほんのちょっぴり幸せになるような選択をしていけたらいいなと思うのです。

 

みなさんそれぞれの「私にとってのいい塩梅」に、出会えるお手伝いができれば幸いです。

どうぞよろしくお願いします。

【連載】キコの「暮らしの塩梅」を読む>>>

季子(キコ)

京都在住の一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【Prologue】
独自記事 【 2021/3/1 】 Health & Beauty
20年以上、トップモデルとして活躍。究極の美の世界で生きてきた冨永愛さん。ランウェイを歩くその一瞬のために、美を磨き続けてきた。それは、外見だけではない。生き方、生き様をも投影する内側からの輝きがなければ、人々を魅了することはできない。「美しい人」冨永愛さんが語る、「“私(美容・健康)に良くて、世界(環境・社会)にイイ...
トランスメディア方式による新しい物語~『サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビューティーに整える』(序章)と(第1章)の見どころを紹介!~
独自記事 【 2023/8/17 】 Health & Beauty
エシカではメディアを横断(トランス)するトランスメディア方式を採用し、読者の方とより深くつながる体験を展開しています。今回は、「サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビューティーに整える」の序章と第1章についてのあらすじと見どころをお届け!(記者:エシカちゃん)
モデルのマリエが「好きなことを仕事にする」まで 【編集長対談・前編】
独自記事 【 2018/12/24 】 Fashion
昨年6月、自身のファッションブランドを起ち上げたモデル・タレントのマリエさん。新ブランド「PASCAL MARIE DESMARAIS(パスカルマリエデマレ、以下PMD)」のプレゼンテーションでは、環境に配慮し無駄を省いた、長く愛用できるプロダクトを提案していくと語りました。そして今年9月、ファッションとデザインの合同...
テーマは、ナチュラルモダン『自立した女性』に向けたインナーウェア デザイナー石山麻子さん
独自記事 【 2022/9/19 】 Fashion
株式会社ワコールが展開する、人にも自然にもやさしいを目指すインナーウェアライン「ナチュレクチュール」。オーガニックコットン100%のラインアップが注目を集め、肌あたりやシルエットの美しさが話題になっています。その期待に応える形で、今年9月に新作グループも加わりました。やさしさを突き詰めた製品は、どのような想いや経緯から...

次の記事

【ethica編集長対談】フィリップ モリス ジャパン・ 井上哲さん(後編)
「即行動に移す」そうすることで変えられるものがある

前の記事

スマホのホーム画面に追加すれば
いつでもethicaに簡単アクセスできます