「あたりまえ」は存在しない
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私は、文部科学省が展開する「トビタテ!留学JAPAN」の9期生として1年間ドイツに滞在しました。そこで学んだこと、感じたことを綴っていきます。

こんにちは!お休みを利用して久しぶりに日本の友達とチェコやポーランドに行ってきました。約4か月ぶりに母国語を話せる時間。自分の言いたいことを日本語で自由に表現できる環境が久しぶりだったので嬉しかったです。ドイツ語での生活に苦戦していた私。自分を自由に表現できることは今の私にとって特別なことでした。

日常生活の小さなことでも、誰かにとっては特別なこと。

今回は、私がドイツに来てから気づいたこと−「あたりまえ」は存在しない−をシェアしたいと思います。

・ポニーテールができる

・りんごを噛むことができる

・食べたいケーキが食べられる

・帰りたい時に自分の家/国に帰ることができる

・自分の名前はひとつである(偽名はない)

・家族が1人以上いる

・頼れる人が周りに1人以上いる

・外干しした洋服を着ることができる

いくつ当てはまりましたか?

自分にとっての「あたりまえ」はありましたか?

この項目は全て、私が実際にドイツで出会った人のストーリー。

この中の1項目は、実は私自身のケース。

私の働く幼稚園にいた6歳の女の子。私がポニーテールをすると毎回「ポニーテールができていいな〜」といってくる彼女。髪質が私とは異なるためコーンローと呼ばれる髪全体を編み込みするヘアスタイルをいつもしています。さらっと揺れるポニーテールをすることは彼女にとっては特別なことなのです。

難民として入国した時のことを語ってくれた30代の男性。生きるためには名前を変えて、どうにか審査をくぐり抜けドイツに入国するしか方法はなかったのだと(現在は難民認定を受けています)。だから自分には名前が2つある。本来の名前で堂々と生活できることはとてもありがたいことで、決して「あたりまえ」ではないんだと語ってくれました。

また、私のホストファミリーの妹はグルテンアレルギーを持っています。ドイツでは誕生日にたくさんのケーキを用意してお祝いするのが主流。誕生日パーティーで食べられるケーキがない。どうして自分だけ…と涙を流す姿も目にしました。

家族からの圧力から1人ドイツに逃げてきた同い年の友達。彼には頼ることのできる家族はいません。徴兵から逃げてきたドイツ語学校の同級生は、二度と自分の国には帰れないと。家族に会いたいと、いつも口にしていました。

お互いの人生や悩みを共有し、私にとって「あたりまえ」になっていたことの特別さに気づかせてくれた仲間たち

そして私自身生まれつきの遺伝子異常を持っており、みんなには当たり前にある永久歯がほとんどありません。食べやすいように矯正器具を使っていますが、現在は前歯でリンゴを噛むことができません。何もかも小さく刻んで食べています。幼稚園の子どもたちとクッキーを食べる時も。ピザを食べる時も。美味しそうに食べ物に噛み付く姿をいつも羨ましそうに見てしまいます。

今日こうして元気に朝起きることができたことだって、「あたりまえ」なんかじゃない。私たちの身の回りには、こうした小さな「あたりまえ = 特別」が溢れています。「あたりまえ」だと思い込んでいることの特別さに気づくこと。そして感謝すること。この小さなステップをみんなで上がることが日本規模、世界規模で物事を変えることに繋がっている気がします。

こうして楽しく旅行に行ける環境にも感謝。たくさん笑わせてくれる友達にも「ありがとう」

「あたりまえ」の反対にあるのは「ありがとう」

自分は恵まれているから、何かしなきゃとか、困っている人を助けなきゃとか、そうやって考えるよりもまずは自分の周りにある「あたりまえ」に感謝すること。大きなステップを踏もうとする前にまずは「ありがとう」の気持ちを持つこと。

簡単にみえて難しいこと。それがとっても大切なことだと私は信じています。

今日もこうして私の投稿を読んでいただきありがとうございます。

記者:スミレ

1997年生まれ。千葉県出身の大学生。トビタテ9期生として、2019年1月より1年間ドイツに留学。2016年からNPO法人じぶん未来クラブにて学生ボランティアとして活動。日本各地で行われる教育ワークショップにてこれまでに1000人以上の子どもたちと関わる。留学中、ドイツでの地球や動物に優しい暮らしや考え方に衝撃を受け、帰国後は「日本の若者が社会問題に目を向けるきっかけ作り」を自らの活動の柱とすることを決意。SNSでの発信にも意欲的で、今後はオリジナルワークショップや座談会なども開催予定。

Pay it Forward ~優しさは連鎖する~

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

スミレ

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