“extra“の存在から “存在“へ
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『ethica(エシカ)』6月号のテーマは、「エシカル世代」です。

「エシカル世代」とは、1995~1999年に生まれた、「エシカル」「フェアトレード」などに関心が高い世代のことが特徴だそうです。ちなみに1997年生まれの私は、まさにエシカル世代。とは言いながら、特に「エシカル」を意識することもなく、日本で、子供たちにかかわるワークショップなどで活動していましたが、思うところあり、2019年からの1年間、文部科学省が実施している「トビタテ!留学JAPAN」の9期生として、ドイツに滞在しました。すると、そのドイツで触れた地球や動物に優しい暮らしや考え方は、まさに「エシカル」そのもの。衝撃的でした。「エシカル世代」の自分たちのあり方を思いながら、そこで学んだこと、感じたことを綴っていきたいと思います。

 

子どもたちがプレゼントしてくれた絵

9ヶ月の赤ちゃんから6歳児まで約80人が通う幼稚園で、ボランティアとして毎週30時間働いた6ヶ月間。

自分の中で起こった一番大きな変化は 【“extraな存在“から“存在“に変わること】でした。

かわいい子どもたちに囲まれ、楽しかったものの、初めは自分の存在意義を見つけることに苦労しました。私にしかできないことはなんだろう。私がここに存在する意義はなんだろう。保育資格を持たない、そして言語も充分にできない私はあくまでも「おまけ」の存在。”extra / addition”の存在でした。

つまり、私がいなくてもこの幼稚園はきちんと機能するし、困ることはないのです。初めの1ヶ月は、自分の存在意義探しでした。

1ヶ月ほどが経った頃、私が担当していたグループとは別のグループにいた、ある男の子と出会いました。外で1人で遊んでいた男の子。私が近づくと嬉しそうに一緒に遊ぼうと手をひっぱり離しませんでした。

ある先生から、彼の両親はシリアからの移民であること、6歳の彼は障がいを持っており3歳児の知能であること、言葉はほとんど話せず少し乱暴になりがちであること、けれどわたし達は彼が大好きなんだ!ということを聞きました。

友だちと喧嘩になることが多く1人でいることが多い彼にとって、ずっと一緒に遊ぶことのできる私は彼の特別な存在になっていきました。

毎朝私を見かけると、彼のオリジナルの言葉で元気に話しかけ走ってきてくれ、彼と遊ぶことが私の日課になりました。お互い片言の、オリジナルの言語を使って彼と遊ぶ時間が私は大好きでした。

私がたくさんの時間を過ごしたグループのお部屋

ボランティアの私は、仕事は主に子どもと遊ぶことのみ!事務作業等の仕事がない私の特権は、こうして子どもとずっと時間を過ごせることなんだと気づきました。彼を笑顔にすることがだんだんと私の存在意義になり、一緒に働く先生たちが、いつもこうして彼をハッピーにしてくれてありがとう!と言ってくれました。初めて自分の存在価値を感じた瞬間でした。

それから、ドイツ語での会話がだんだんとできるようになり、たくさんの子どもたちとコミュニケーションができるようになってくると、色々な年齢の子どもたちと遊ぶようになりました。6歳の女の子たちには、この絵を書いてー!この折り紙作ってー!と頼まれたり、5歳の男の子は忍者になりきって、でんぐり返しする姿をひたすら見せてくれたり(笑)。4歳の子とはおままごとをして私はいつもママ役だったり、3歳の子とは一緒にはさみを使う練習をしてみたり、2歳の子はおもちゃの朝ごはんを毎朝作って持ってきてくれたり、そしてはいはいしてた1歳の赤ちゃんは 6ヶ月で走れるまでに成長したり…..。

毎朝8:15に幼稚園につくと

すみれー! しゅみれー! すみらー! うぅぃえー!(笑) と走って来てくれる子どもたち。

ドイツの幼稚園で6ヶ月間毎日働くこと。なんて貴重な経験だろう…と思う瞬間がたくさんありました。愛おしすぎる子どもたちに囲まれて、子どもたちが面白おかしすぎて、可愛すぎて涙がでたこともありました。

最終日にはこんなにもたくさんのプレゼントをいただきました。一生のたからもの

最終日にはお別れパーティーを開いてくれ、毎週みんなで歌った歌を歌ったり、プレゼントをもらったり…ドアまで私を見送りに来てくれて、別れを惜しんでくれる子どもたちと先生に囲まれ、自分はこの幼稚園でしっかりと「居場所」を作り、そして意義のある「存在」になれたんだと心から感じました。

たくさんの思い出と笑顔を本当にありがとう。

一生忘れない、かけがえのない6ヶ月をありがとう。

記者:スミレ

1997年生まれ。千葉県出身の大学生。トビタテ9期生として、2019年1月よりドイツに留学。2016年よりNPO法人じぶん未来クラブにて学生ボランティアとして活動。日本各地で行われる教育ワークショップにてこれまでに1000人以上の子どもたちと関わる。ボランティアリーダーとして各ワークショップを率いたり、新規ボランティアを対象とした研修等も行う。学業やアルバイトからは得ることのできない「ボランティアの魅力」を1人でも多くの学生に伝えたいとの想いのもと、「ボランティア先進国」と呼ばれるドイツにてボランティアを行いその仕組みを探る。

Pay it Forward ~優しさは連鎖する~

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

スミレ

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