(第14話)「肌にも環境にも優しい?お湯シャンプーのこと」 キコの「暮らしの塩梅」
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(第14話)「肌にも環境にも優しい?お湯シャンプーのこと」 キコの「暮らしの塩梅」

「私によくて、世界にイイ」が実現できる、エシカルな暮らしのカタチってなんだろう。仕事に家事に育児に…日々生活を回すだけでも大変な私たちにとって、新しく行動を起こすのはエネルギーも時間も使うし、ハードルが高く感じてしまうもの。

でも日々の暮らしのなかで、少しでも”良い”につながることができたら?

当たり前の毎日のなかで、大切な家族も、世界も、そして私自身もほんのちょっぴり幸せになるような選択をしていけたらいいなと思うのです。

第13話では、私が普段使っているコスメについてお伝えしました。

今回の記事では、お湯シャンプーについてお話ししたいと思います。

戦前は月に一度だったシャンプー

当たり前のように毎日使っているシャンプーやトリートメントですが、そんな頻度で使うようになったのはここ数十年だと言われています。

戦前は月に一度程度だったのが、1930年代花王の広告のキャッチコピーにもあるように「一週一度は疲れていても」。そこから5日に一度、2〜3日に一度と頻度が上がり、1980年代あたりからは毎日することが推奨されるようになりました。

一方で、この毎日のシャンプー習慣が引き起こしてしまうデメリットをご存知でしょうか。

頭皮には、肌と同じように常在菌がいて、本来であれば天然のバリア機能によって肌の乾燥やダメージを防いでくれます。

しかし毎日洗浄力の強いシャンプーでゴシゴシ洗うことによって過剰に皮脂を洗い流してバリア機能を壊し、乾燥によるフケやかゆみ、抜け毛、炎症などの原因となってしまう可能性があるのです。

私はアトピーがひどかった頃、使っていた市販のシャンプーやトリートメントが悪化と関係しているかもしれないことを知り、無添加の石鹸に近いシャンプーに切り替えました。

当時食事やスキンケアもより優しいものに切り替えていたところだったので、その効果も相まってかアトピーは日増しに改善し、悩んでいた背中のニキビも綺麗に。

その後症状が落ち着いてからは市販のシャンプーも使っても大丈夫な時期もありましたが、娘を出産後、抜け毛が気になるようになったのと、育児中の時短も兼ねて、お湯だけで髪を洗うお湯シャンプー(いわゆる湯シャン)に挑戦してみました。

お湯シャンプーってなに?

お湯シャンプーは、何がいいのでしょうか。

洗い落とす対象となる皮脂は、本来頭皮を守るためのものです。しかし、多くのシャンプーには合成界面活性剤や防腐剤など洗浄力や刺激の強い成分が含まれており、それらは必要な皮脂まで全て洗い落としてしまいます。

そのため、通常の皮脂サイクルより過剰に皮脂が分泌されてしまい、夕方にはべたつきが出てシャンプーでしっかり流さないと、、という悪循環に陥ってしまうのだそうです。

通常の汚れであれば、お湯だけで7〜8割は綺麗に落ちます。そして残りの2割は肌を守るために必要な皮脂です。

適度に皮脂を落とすお湯シャンプーにすることで、皮脂分泌のサイクルが正常に働くようになりお湯だけでも大丈夫な体質に変化していくと言われています。

具体的なやり方をご紹介します。

 

1、丁寧にブラッシングする

特にロングヘアの方は、最初にしっかりとブラッシングすることで洗髪後のべたつきがかなり改善されます。洗えるものにしておくと衛生面も◎

 

2、ぬるま湯(38℃以下)でよく洗う(できれば5分ほど)

シャンプーだとささっと洗うだけでもスッキリした感じがするのですが、お湯のみの場合はここで丁寧にほぐしながら洗い流すことが大切です。

洗う前に湯船に浸かると毛穴が開いてより汚れが落ちやすくなります。時間がある時は頭皮マッサージもすると、血行がよくなり顔のむくみも取れてよりスッキリするのでおすすめです!

 

3、優しくタオルで拭いてドライヤーでしっかりと乾かす

濡れたままだと痛みや臭いのもとになるので、タオルドライしたあとはできるだけすぐに乾かしましょう。この時、ギシギシ感やパサつきが気になる時は、好みのオイルを一滴手のひらに伸ばして毛先になじませるとしっとりします。

 

ここで大切なのは、いきなりお湯だけの生活にしないことです。

長い間シャンプーを使っていた頭皮は、先述した通り乾燥を防ぐため過剰に皮脂分泌される状態になっています。いきなりやめると頭皮のべたつきやかゆみ、臭いが出てくることも。

最初はシャンプーを洗浄力の優しい石鹸系やアミノ酸系のものに変えることからはじめ、徐々に使う頻度を減らしていくのがおすすめです。

実際にやってみて感じたメリット・デメリット

約一年お湯シャンプーを続けてみて、感じたことを率直にお伝えします。

 

  • メリット

・色々つけなくていいラクさと安心感

ヘアケアを丁寧にして湯船にじっくり浸かっていい香りに包まれる時間も幸せでしたが、子どもが生まれるとそんな余裕は皆無に…普段はとにかくサッと済ませることが一番になりました。

お湯だけだと子どもが触っても目や口に入る心配もないし、そばで遊ばせながら見守ることもしやすいです。

また市販のシャンプーの成分の影響力を知ると、頭皮にかかる負担を減らせることも安心感がありました。

 

・シャンプー代の節約になる

家族で毎日使っていると減りも早く、年間で考えるとそれなりの出費になります。

お湯シャンプーに移行する過程でも使用頻度が減るため、その分よりいいものを選ぶようになりました。

 

・環境負荷が減る

小さなことですが、シャンプーの頻度が減ることで汚水の排出を減らし、プラスチック容器のゴミを減らすことにもつながります。

 

・髪の毛にコシが出る

産後抜け毛や切れ毛が気になっていたのですが、お湯だけの洗髪に変えてから徐々に髪の質が戻ってきました。乾かしたあとはしっとりと指通りも良く、トリートメントをしないことでのパサつきが気になったことはありません。

 

  • デメリット

・長めの髪の毛には向かない

洗う前にブラッシングしたりドライヤーで乾かしたり、ロングヘアだと一つひとつに時間がかかってしまいます。産後バッサリとカットした時はよかったのですが、次第に伸びてくるにつれ扱いづらく感じるようになりました。

 

・匂いが気になる

髪の毛はゴムで結んでいることも多く、毎日洗っているとそこまで気にはなりませんでした。家族は伝えるまで気づかなかったくらいで、何度か匂ってもらいましたが無臭との答えが。でもやっぱり人と会う時や近づかれた時は、変な匂いになっていないヒヤヒヤしてしまいます。

 

・スタイリング剤をつけられない

そもそもお湯シャンプーにする場合はスタイリング剤をつけることはもちろん、ヘアカラーやパーマなども推奨されていません。

天然成分100%のスタイリング剤をたまに使うこともありますが、お湯だけだと相当しっかり洗い流さないと油分が残りやすく、繰り返し使うと髪の毛がぺったんこになってしまったり、テカテカした感じになってしまいます。。

結論から言いますと…

私は完全には、お湯シャンプーには移行しませんでした。

育休中家にいることが多い時はよかったのですが、仕事に復帰し外を出歩いたり電車に乗ることが増えてくると、匂いやベタつきが落ちにくい時もあり、今の生活には合わないと感じたためです。

その一方で、お湯シャンプーを経験して必ずしもシャンプーが毎日必要でないことがわかり、今のところシャンプーを使うのは、冬場は週に1〜2回、夏場は2〜3日に一度くらいのペースに落ち着いています。

ちなみに娘は生まれてからほぼお湯のみで、汚れや匂いが気になったときだけ固形石鹸で洗っていますが、汗をたくさんかく夏場以外、気になったことはありません。乾燥が気になる時以外は、保湿剤もつけずに過ごしています。

新陳代謝の良い子どもこそ、余計なものはつけずに素肌の力をしっかりと高めたいと思っています。

メリットもデメリットも多いお湯シャンプー

体のことを考えると何もしないのが一番いいですが、匂いや色々な制限によってかえってストレスが溜まってしまうのであれば、効果も薄れてしまうはず。

ふんわりと清潔感のあるいい香りをまとったら気分は上がるし、シャンプー後のサラサラとした軽い指通りの髪の毛はやっぱり気持ちがいいもの。

繰り返しになりますが、大切なことは素肌と同じく天然のバリア機能を壊さないこと。

毎日使うシャンプーを、できるだけ頭皮に優しいものを選ぶところから始めてみてはいかがでしょうか。

シャンプーとお湯シャンプーそれぞれの良さを感じつつ、無理のない形でゆるーく取り入れてみてください。

【連載】キコの「暮らしの塩梅」を読む>>>

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

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