(第22話)「ハレの日もケの日も楽しみたい、漆塗りのうつわ」キコの「暮らしの塩梅」
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(第22話)「ハレの日もケの日も楽しみたい、漆塗りのうつわ」キコの「暮らしの塩梅」

「私によくて、世界にイイ」が実現できる、エシカルな暮らしのカタチってなんだろう。仕事に家事に育児に…日々生活を回すだけでも大変な私たちにとって、新しく行動を起こすのはエネルギーも時間も使うし、ハードルが高く感じてしまうもの。

でも日々の暮らしのなかで、少しでも”良い”につながることができたら?

当たり前の毎日のなかで、大切な家族も、世界も、そして私自身もほんのちょっぴり幸せになるような選択をしていけたらいいなと思うのです。

第21話では、収納としてもインテリアとしても便利なカゴについてお伝えしました。今回は、普段の食卓もハレの日の食卓も彩ってくれる漆塗りのうつわについて、お話ししたいと思います。

「漆塗り」と聞くと、なんとなく高級なもの、お手入れが大変そうというイメージから、普段使いにはもったいないと思っている方もいらっしゃるかもしれません。

実際のお手入れ方法はとても簡単で、正しく使うと他の塗料のように劣化せず、使うほどに味わいが増していくとても魅力溢れるうつわです。

そんな漆塗りうつわは特別な日だけでなく、何気ない普段の食卓でこそ使いたいもの。

今回は漆器の洗い方や保管方法をはじめ、わが家で使っているものやおすすめの使い方をご紹介したいと思います。

漆器とは?

大きく遡ること縄文時代から天然樹脂塗料のひとつとして、人々の暮らしを支えてきた漆器(しっき)。

「ウルシノキ」という木の樹液を原料とし、その強い接着力や抗菌性を生かして食器や装飾品などに使われてきました。

漆は自然界でもっとも強い素材の一つで、熱湯や酸・アルカリにも耐性があります。

木や紙などの製品に何度も漆を重ね塗りすることによって、艶やかで美しい見た目はもちろん、耐久性、耐水性、保温性にも優れたものとなります。

日本の漆塗りの技術は海外でも高く評価されており、英語で「japan」と呼ばれるほどの、日本を代表する伝統工芸品として知られています。

軽くて割れにくい素材で天然の抗菌作用もある漆器は、子どもの食器としてもおすすめ。

赤ちゃんからお年寄りの方まで安心して使えます。

基本のお手入れ方法

取り扱いが難しそうなイメージの漆器ですが、特別なお手入れは必要ありません。

日常的にお料理を盛りつけたり洗ったりと手にすることで必要な油分・水分が補われ、使えば使うほど艶が増していくという特徴があります。

一番のメンテナンスは「使うこと」。

大切にするがゆえに戸棚にしまいこんでしまうと、乾燥やカビが原因で変形や破損につながってしまいます。

ハレの日にしか出番のないような重箱なども、一年に何度かは取り出して使うことが大切です。

 

<洗い方>

一般的なスポンジと食器用の中性洗剤で洗うことができます。

陶磁器に比べるとやわらかい素材のため、できるだけ他の食器と重ねたり接触したりしないように気をつけ、優しく洗います。(食洗機・乾燥機・電子レンジの使用は避けてください)

乾燥に弱いので、洗った後は柔らかい布で乾拭きしてから自然乾燥するとより長持ちします。

収納する際は、漆器同士で重ねることをオススメします。

こすれて傷がつくことが心配な場合は、間にティッシュや薄手の布を敷くと防げます。

 

<ヒビや傷がついてしまったら>

使っているうちに欠けたり傷がつくこともあるので、その際は購入したお店や修理の専門店などで相談してみましょう。早めに修理することで長く使い続けることができます。

日常使いの漆器

続いて、わが家で愛用しているものをご紹介します。

まずは毎日の食卓に欠かせないお汁椀。

手と口に触れるものだからこそ、木のぬくもりと柔らかな口当たりを感じることができます。

温かさが長持ちしてくれるのも嬉しいポイントです。

私と夫のものは結婚のお祝いにいただき、娘のものは離乳食が始まる頃に購入しました。

子どもの食器もできるだけ本物に触れて欲しいと思い、陶器や漆器を使っています。

こちらは曲げわっぱのお弁当箱です。信州を旅行していた時に宿場町で見かけて一目惚れしました。

薄くて軽いのですが、とても丈夫でかれこれ10年近く使っています。

身とふたが入れ子になっているのでコンパクトに収納でき、その時々の食べる量に合わせて大きさを調整できるのも使い勝手抜群◎

もし壊れたらまた同じものを買おうと思うほどお気に入りです。

カトラリーも、漆塗りのものは口当たりが優しくてお気に入り。

温度変化が少ないため、金属製のもののように熱くなりすぎずやけどの心配もありません。

小さいものは子どもが使ったり、ジャムや蜂蜜をすくい取る時に使ったり。

木製のものは素地のままだとカビや黒ずみが発生しやすいですが、漆塗りは劣化しにくく抗菌作用もあるため、口に入れる素材としては安心です。

ハレの日の漆器

一年に何度とないハレの日。

その日はいつもよりちょっといいものを使いたいですよね。

そんな日にも漆器は大活躍。いつもの食卓をとても素敵に演出してくれます。

お正月のおせちに定番のお重箱。

美しい艶が、お料理を引き立ててくれますよね。

一年に一度だけでなく、いつもより少し特別な雰囲気を出したい時の食事や、お花見や紅葉狩りの季節のお弁当、お茶の時間に和菓子を盛り付けるなど、普段の生活にも取り入れてみるのはいかがでしょうか。

お祝い事の時には、朱塗りのお箸置きや小皿を。

なんだか贅沢な気分を楽しめます。

大皿やお盆は、食卓の真ん中に置くだけでいつもと違うちょっぴり特別な雰囲気に。

オードブルやお菓子、いろんなおかずをちょっとずつ盛り付けておもてなしにも。

毎日の食卓に漆器を取り入れてみませんか

使うほどに味わいが増して経年変化を楽しめる漆塗り。

便利で使いやすいプラスチックや合成樹脂塗料などの製品が主流となっている今ですが、

実は意外なほど漆器もお手入れは簡単なのです。

環境にも人にも優しい素材であり、万が一欠けたりしても修理をしながら世代を超えて使い続けることのできる漆器はとってもサスティナブル。

現代の暮らしにもそっと寄り添ってくれるものだと感じています。

最近では古風なものからデザインやカラーバリエーションが豊富なものまで、さまざまなライフスタイルに合う漆器が作られています。

お気に入りの漆器とともに、年月を重ねる暮らしを楽しむのはいかがでしょうか。

【連載】キコの「暮らしの塩梅」を読む>>>

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

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