朝日新聞社は10月11日(日)~15日(木)に、民主主義や気候変動、SDGsなどコロナ禍で浮上した問題や世界の変化について話し合う「朝日地球会議2020」をオンラインで開催しました。「SDGsしないのん?」と題したセッションには、人気女優ののんさんや国連広報センター所長の根本かおるさん、ニュースサイト「withnews」編集長の奥山晶二郎さんが登壇。“創作あーちすと”としても活躍するのんさんが持ち前の芸術センスを生かして制作したSDGsキャラクターを発表するなど、真面目かつ楽しいトークを繰り広げました。(記者:エシカちゃん)
SDGsは私たちの身近に存在している
演技をはじめ、音楽活動や絵画、衣装の制作など縦横無尽に“あーちすと”活動を展開するのんさん。環境問題にも意欲的で、官民連携団体「ジャパンSDGsアクション推進協議会」からSDGs people第1号に選ばれるなど、活動のフィールドをさらに広げています。根本さんは東京大学法学部を卒業後、テレビ朝日や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)での勤務を経て、国連広報センターの所長に就任し、難民支援や食糧援助に取り組んでいます。持続可能な社会の実現に取り組む二人の女性を相手に、新聞社でデジタル発信に長く関わり、朝日新聞デジタルの立ち上げにも関わった奥山さんがプレゼンターを務めました。
今回のセッションでは、「SDGsって何?」、「SDGsを自分ごと化する」、「自分ごと化を広げる」という3つのテーマを設定。「朝日地球会議」が掲げる「ハードルを感じないSDGs」というミッションの実現に向け、考えを深めるためにラインナップしました。
最初のテーマである「SDGsって何?」では、のんさんはSDGsという言葉を知った時、「自分の強い意志がないとできないことなんじゃないかなって捉えていました」と率直な気持ちを明らかにしました。一方で彼女が日頃から行っていた、古着や古い布をリメイクして新たな衣類として生まれ変わらせるアップサイクルという行動が、SDGsの理念に通じていたと発見。根本さんは就職差別に苦労した自身の経験や難民支援への関わりについて語りながら、「誰もがSDGsにフィットする入り口がある。そこを深めていくと、あれよあれよと様々なことにつながっていきます」と説明していました。
続いては「SDGsを自分ごと化する」についてセッション。奥山さんは様々な人にSDGsを身近に考えてもらうため、のんさんにキャラクターの作成を依頼。今回が初のお披露目となりました。
「SDG子(えすでぃーじーこ)」、「SDG夫(えすでぃーじーお)」、「咲きちゃん」、「しろちゃん」の4人で、「皆で切磋琢磨してSDGsに取り組んでいく」ことをイメージしたそうです。キャラクターは地球や木、花をモチーフにしたぬいぐるみのようなフォルム。「『SDG子』と『SDG夫』は双子の兄弟」、「『しろちゃん』は『SDG子』と『SDG夫』を導いてくれる仙人のような存在」、「『咲きちゃん』は『しろちゃん』を一方的にライバル視している」といった細かな設定にくすりとさせられます。これならSDGsに詳しくない方でも、しゃちこばらずに地球の未来について興味を持って学べそうです。のんさんが考えた「地球に恩を売っていこう」というキャッチフレーズもコミカルで幅広い世代を惹き付けてくれる気がします。奥山さんは「知らない人に気づきを提供するのにぴったり」、根本さんは「幼稚園児や保育園児もSDGsに関心を持ってくれるのでは」と高く評価していました。
誰一人取り残さず、皆でSDGsの目標達成を
最後のテーマは「自分ごと化を広げる」。奥山さんはメディアの立場から、SDGsの認知度アップに協力する姿勢を示しました。根本さんはSDGsにおける17の目標で「ジェンダー平等の実現」の国内認知度が最下位である現状を指摘。SDGsの自分ごと化が十分進んでいない証拠の1つだとして、「国民の理解を深めるためにメディアの力が欠かせません。メディアもアクターとして一緒に関わって欲しいですね」と語りました。のんさんも「私が描いたキャラを皆さんに応援していただくことで、SDGsを深く知る機会になればいいなと思います。『SDG子』や『SDG夫』と一緒にSDGsを学んで欲しいですね」と意欲を見せています。
最後に登壇者の皆さんは「私自身はSDGsの専門家ではありません。メディアとして知ったかぶりをしながら“正解”を示すのではなく、良い意味で初心者としての気持ちを持ち続けたい。のんさんのキャラを活躍させながら、皆さんと一緒に勉強していきます」(奥山さん)、「キャラを活用するために、国連も何かお役に立ちたいと思っています。SDGsの理念は誰一人取り残さず、皆で一つの方向に向かっていくもの。色々な方を巻き込みながらともに行動していきたいです」(根本さん)、「私は小学校の授業でSDGsを教えているという事実に驚きました。幼い頃から勉強していればSDGsが日常になる、全ての人がそういった感覚を持てると良いですね」(のんさん)とそれぞれ締めくくりました。
SDGsと言うと、「持続可能な社会づくりのために真剣に対策を考えないと」などと身構えてしまいがち。天真爛漫なのんさんの自由な発想を根本さんと奥山さんが温かく包んでいる様子を見て、もっと肩の力を抜いてもいいのかもと思えるようになりました。
「SDGsしないのん?」アーカイブ動画 https://www.asahi.com/special/awf/
(朝日新聞デジタルの有料会員登録で視聴可)
記者:エシカちゃん
白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp