「私によくて、世界にイイ。」が実現できる、エシカルな暮らしのカタチってなんだろう。仕事に家事に育児に……。日々生活を回すだけでも大変な私たちにとって、新しく行動を起こすのはエネルギーも時間も使うし、ハードルが高く感じてしまうもの。
でも日々の暮らしのなかで、少しでも”良い”につながることができたら?
当たり前の毎日のなかで、大切な家族も、世界も、そして私自身もほんのちょっぴり幸せになるような選択をしていけたらいいなと思うのです。
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でも日々の暮らしのなかで、少しでも”良い”につながることができたら?
当たり前の毎日のなかで、大切な家族も、世界も、そして私自身もほんのちょっぴり幸せになるような選択をしていけたらいいなと思うのです。
第36話では、直接肌に触れるものだからこそこだわりたい、冬におすすめのインナーについてお伝えしました。今回の記事では、日本の伝統的な衣服である着物についてお話しします。
着物と言うと、お正月や成人式などハレの日に着るもの、少し格式高いもの、というイメージがあるかもしれませんが、近ごろでは、お出かけ先でのレンタル着物などでファッションとして気軽に楽しむ機会も増え、再び身近な存在になってきているように思います。
洋服とは違った魅力がたくさん詰まっている着物。
今回と次回の2回に渡って、その歴史や特徴、楽しみ方などお伝えできればと思います。
着物の起源ははるか昔、縄文時代と言われています。
当時、男性は一枚の布を体に巻きつけたもの(巻布衣・かんぷい)、女性は布に開けた穴に頭を通したワンピースのような形のもの(貫頭衣・かんとうい)を着ていました。
その後、大陸文化の影響や日本の気候に合わせて、着物の元となる「小袖(こそで・袖口が小さい着物のこと)」が発展してゆきます。
奈良・飛鳥時代には身分制度が確立され、「小袖」は労働階級の庶民が着るものとして区別されていました。
この頃に衿(えり)を右前で合わせることが法律で定められ、現在もそのしきたりは引き継がれています。
変化が訪れたのは平安時代。
遣唐使が廃止されたこのころから大陸文化の影響が薄れ、日本独自の服装に変化していったと言われています。
平安時代と言えば、十二単を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
宮廷に仕える高位の女官が着用した衣服で、儀式の時などハレの日の正式な装いとして着用されていました。
もともとは小袖を重ね着していたものが、次第に華美を競うようになり、袖口が広く袂(たもと)が長い大袖を、小袖の上に表着として着るようになっていったと言われています。
ちなみに、十二単は実際に着物を12枚着ているわけではなく、重ね着を表す言葉です。
四季折々の色彩を豊かに取り入れた伝統的な配色法である「襲の色目(かさねのいろめ)」は、この頃の公家の服飾のなかから生まれ、今も日本の繊細な美意識の象徴として大切にされています。
その後、鎌倉・室町へと時代の移り変わりとともに、平安時代では表着だった「大袖」「袴(はかま)」や「裳(も)」は省略され、下着として着用されていた「小袖」のみが残って現代の着物へと変化してゆきます。
ここまで、着物の歴史は、主に貴族や武士など上流階級の人々が担ってきたものでしたが、江戸時代になると町人文化が栄え、着物のかたちも現代と変わらないものになってゆきます。
しかし身分制度による区別はまだまだ根強く、「富裕層は絹、庶民は綿・麻」などと着物の素材や色に制限が設けられていました。
そのため、人々は帯揚げや帯締め、小物を用いた装飾で着こなしを楽しみます。
同時に染織技法の発達によって、着物の技術や品質、デザインなどがより多様・多彩なものへと広がりを見せてゆきました。
鎖国していた江戸時代から一転、明治維新によって西洋の文化が人々の暮らしに入ってくると、公的な立場にある男性から、公家の女性、そして庶民へと、順番に洋服が取り入れられていきました。
そして着物にレースや洋傘、ブーツなども合わせるようになり、和洋折衷のファッションを楽しむスタイルも広がりを見せます。
しかし戦後、日本での洋服文化が発展するにつれ、着物は七五三、成人式、結婚式など行事の時しか着ないフォーマルウェアとしてのイメージが定着しました。
行事以外にも、茶道や日本舞踊のような伝統文化のお稽古事の時などに着ることはありますが、普段着としての着物の存在は、遠いものになっているのではないでしょうか。
そのため、着物というと「着る手順が複雑で着こなしのルールも厳格なもの」という認識が先立ち、着物離れが進んだとも考えられています。
ですが、本来の着物とは「着物=着るもの」。つまり、ただの服をあらわしています。
洋服がなかったころの人々は、暑い日も寒い日も、晴れの日も雨の日も、畑仕事や家事をする時も、着物が普段着。現在はタブーとされる着崩れも当たり前のことで、もっと自由にゆるやかに着物を着ていたと言われています。
近年海外では、日本の伝統文化である着物が注目され、ファッションショーで取り上げられるなどハイファッションとして再定義されています。
着物を取り入れたファッションブランドも増えつつあり、普段着として着物を取り入れたコーディネートも楽しまれています。
長襦袢の代わりにTシャツやスカートを合わせたり、着物の上着として着る「道行(みちゆき)」を洋服のコートとして羽織ったり、ブーツや帽子を組み合わせたり……。
しきたりを超えた、本来のファッションとしての着物のあり方が再び見直されてきています。
洋服とは見た目も作り方も全く異なる着物ですが、そこには日本人の、ものを大切にする心があらわれています。
着物の元になるのは「反物(たんもの)」という幅約36cm、長さ約12〜13mの長方形の布。
デザインによって異なる型紙に沿って生地を裁断する洋服に対して、着物のデザインはすべて同じで長方形の布を直線で裁ちます。
身頃、袖、おくみが2枚ずつ、そして本えりと掛襟の計8枚に布を切り分けるのです。
洋服は立体的に作られますが、着物は平面的に作られており、着付け方でそれぞれの体格にあったサイズ調整、着こなしを表現します。
直線裁ちする生地には、無駄になるところがありません。
解くと長方形の布に戻るので、長年着て擦り切れてきてもその部分だけを取り替えて縫い直したり、古くなった着物を解いて子ども用に仕立て直したり、あるいは小物にリメイクしたりして、雑巾になるまで使い倒したそうです。
リメイク、リフォーム、リユースといった、ものを長く大切に使う考え方が注目されていますが、日本では古くから日常にその精神が根ざしていたのです。
日本の伝統文化であり、無駄が少なく、素材や着こなし方によってどんなライフスタイルにも馴染む着物の魅力。
これこそ究極のエシカルファッション、とも言えるかもしれませんね。
着物を日常に取り入れることは、日本の伝統文化を見直し、守ることにもつながります。
手持ちの洋服と組み合わせ、ファッションとして、あるいは大切な日の晴れ着として、着物をオシャレの一部に取り入れてみるのはいかがでしょうか?
次回は、日常での着物の着こなし方・楽しみ方をお伝えします。
季子(キコ)
一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。
産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp
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