「私によくて、世界にイイ。」が実現できる、エシカルな暮らしのカタチってなんだろう。仕事に家事に育児に……。日々生活を回すだけでも大変な私たちにとって、新しく行動を起こすのはエネルギーも時間も使うし、ハードルが高く感じてしまうもの。
でも日々の暮らしのなかで、少しでも”良い”につながることができたら?
当たり前の毎日のなかで、大切な家族も、世界も、そして私自身もほんのちょっぴり幸せになるような選択をしていけたらいいなと思うのです。
「私によくて、世界にイイ。」が実現できる、エシカルな暮らしのカタチってなんだろう。仕事に家事に育児に……。日々生活を回すだけでも大変な私たちにとって、新しく行動を起こすのはエネルギーも時間も使うし、ハードルが高く感じてしまうもの。
でも日々の暮らしのなかで、少しでも”良い”につながることができたら?
当たり前の毎日のなかで、大切な家族も、世界も、そして私自身もほんのちょっぴり幸せになるような選択をしていけたらいいなと思うのです。
第44話では、自分にあった方法で無理なく暮らしのなかに学びを取り入れていくヒントをお伝えしました。今回からは一番身近な調味料である塩について、2回に渡ってお話ししたいと思います。
日本で塩が使われるようになったのは、弥生時代初期のころからと言われています。
狩りをして動物の肉や内臓を食べていたころは、それらに多くの塩分がふくまれていたため、あえて塩を摂る必要はありませんでしたが、弥生時代になって農耕・定住型の生活を営み穀物や野菜が中心の食生活に変化してからは、塩を摂取するようになりました。
塩は保存性が高く、また漬物や味噌、梅干しなどの発酵食品や保存食には必ず塩が使われていることから、食文化の視点から見ても欠かせないものです。
さらに、塩に含まれるミネラルは人の生命維持に必須のものであるため、塩は古くから政治的、経済的にも重要で貴重な存在でした。
古代ローマでは給料が塩で支払われたり、また米や布などと同様、塩が貨幣の代わりとして物々交換に使われていた時代もあります。
塩に含まれるミネラルは、人の生命維持に欠かせない五大栄養素の一つで、唯一体内でつくることができないため、食べ物などから摂取する必要があります。
地球上には数多くのミネラルが存在しますが、現時点ではカルシウム、マグネシウム、ナトリウムなど、16種類のミネラルが機能維持のために必須だということがわかっています。
そして、そのミネラルは、次のような役割を担っています。
・血液や骨を作ったり、体の機能の維持や調整をする
・細胞内の塩分濃度を一定に保つ
・血液を弱アルカリ性に保つ
・疲労回復、代謝を助ける
・脳の活性化や抗酸化作用による老化の予防
・貧血の予防
などなど、必要な量はわずかですが、それぞれが非常に大切な役割を持ち、日々の食事からバランスよく摂取することが大切と言われています。
ミネラルが不足すると、虚脱感、疲労感、頭痛、脱水症状、精神疾患、冷え、貧血、生理不順など、いわゆる”不調”と呼ばれるさまざまな症状が起こります。
ミネラルは土壌にも多く存在し、野菜にも含まれています。しかし、近年の野菜のミネラル含有量は、50年ほど前と比べて、2分の1〜3分の1であると言われています。そしてそのひとつの原因とあげられるのが、より早く、多くの収穫ができるように多量の化学肥料を使用する現代の農法です。
有機農法や自然農で育てられた野菜を手に入れることができれば、より自然な形で質のよいミネラルを摂取することができますが、現実にはなかなか簡単なことではないと思います。
だからこそ、日々口にする塩からバランスよくミネラルを摂取することを意識することが大切です。
塩を選ぶ際、一番注目したいポイントは「製造方法」です。
日本では、古くから海水を釜で炊いて塩を作る方法が主流でした。
しかし、1970年代に塩の安定供給のため「イオン交換膜法」という、電気により海水から「塩化ナトリウム」のみを取り出す工業的な製法が推し進められます。
海水には本来80種類以上のミネラルが含まれていますが、この「イオン交換膜法」は塩化ナトリウム以外のミネラルをすべて排除してしまいます。
これが現在、広く普及していて、安く手に入る「精製塩」です。
見た目や原材料ではほとんど違いがわかりませんが、大きくは次のような違いがあります。
精製塩:「食卓塩」「食塩」として販売されている塩。海水を電気分解して「塩化ナトリウム」のみを取り出す方法で作られており、大量生産が可能で安価なため広く普及している。
天然塩:精製塩ではない塩のこと。「自然塩」「天然塩」などと呼ばれるが決まった定義はない。海水を天日で乾燥させたり釜で煮詰めたりして作られたもの。岩塩、湖塩などがあり、ミネラルが豊富に含まれている。
再生加工塩:上の二つの中間的なもの。精製塩や海外の塩ににがり(海水)を添加することで天然塩に近いミネラルが含まれる。天然塩より安価で手に入りやすい。
これらの情報はパッケージの裏に必ず記されています。
購入するときにパッケージの裏の「原材料」と「製造方法」の欄を見ると、どこでどのように作られた塩なのかわかります。
今回は塩に含まれるミネラルの大切さ、選ぶ際に気をつけたいポイントについてお伝えしました。
塩は、日常の料理に利用するだけでなく、日本の伝統保存食でもある味噌や醤油、梅干しなどにも欠かせないものです。
伝統的な製法で作られているものを選ぶことは、その技術を守り文化を受け継いでいくことにもつながります。口にする機会が多いものだからこそ、どこでどのように作られたものなのか、より意識して選んでいきたいものですね。
次回は、実際に我が家で使っている塩の紹介と、選ぶときのポイントをより詳しくお伝えできればと思います。
季子(キコ)
一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。
産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp
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