(第8話)オーガニックな森のお薦め3選【連載】八ヶ岳の「幸せ自然暮らし」
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(第8話)オーガニックな森のお薦め3選【連載】八ヶ岳の「幸せ自然暮らし」

〜パーマカルチャー(*注)を訪ねて〜

真っ白に雪化粧をした八ヶ岳の山々は神々しいほどの美しさ。寒い季節ではありますが、日本一の名水の里、日照時間も日本一を誇るこのエリアでは、今の季節も美味しい野菜がたくさん採れるんですよ。そこで今回は「八ヶ岳を訪れたなら要チェック」という四井千里さんお薦めローカルスポットをご紹介。体に良いオーガニック野菜が買える・食べられるこだわりのファーム3選です。

前回の「薪ストーブ」に続いて、今週もホットな情報をお届けします! 

(*注)パーマカルチャー:“パーマネント”(永久)、“アグリカルチャー” (農業)、“カルチャー”(文化)を組み合わせた造語。持続可能な環境を作り出すためのライフスタイルのデザイン体系のこと

都会の名シェフが認めた「クレイジーファーム」のこだわり有機野菜

野菜の中でもこの季節のイチオシがカブ。甘さとみずみずしさが特徴で、大地の恵みが凝縮された格別の美味しさが味わえる

ういきょう、カブ、さつまいもetc. 見よ!この鮮度。クレイジーファームの野菜は八ヶ岳や都内のレストランのシェフたちにも大人気

まず最初は、都内や山梨周辺のレストランに向けたこだわりの野菜を育てている小淵沢の「クレイジーファーム」をご紹介。農園の代表は、16年前に野菜作りを目指して横浜から八ヶ岳に移住した石毛康高さん。

「大学時代、農業の研究を通して循環型社会の大切さを知りました。のちに有機農法を学んだことが農業をはじめたきっかけです。ここ八ヶ岳で、消費者の方にも生産者にも安全安心な野菜を作ることを決め、自社農園を立ち上げました」(石毛さん)

ほぼ独学で有機農法について試行錯誤し、良い土と微生物の力で美味しい野菜作りに挑戦し続けてきた石毛さん。畑、田んぼ、ハウスで根菜やレタス、米などさまざまな作物を年間約80種類ほど作っています。

真冬も種類豊富なレタスを栽培。スーパーなどではなかなか手に入らない珍しい葉ものを育てている

当初、まだ販売ルートもなかった石毛さんは、ある日知り合いのイタリア料理のシェフに西洋野菜の種をもらいました。ズッキーニやナス、イタリアンパセリなど、当時はまだあまり出回っていなかった珍しい野菜の種を入手し、その種を植えて有機栽培を始めます。

そして、みごとに生育した西洋野菜を地元の『道の駅』などに出品したところ、その美味しさが口コミで広がり、やがて噂を聞きつけた東京のレストランからも次々とオーダーが入るようになったのです。

「クレイジーファーム」の野菜は、名シェフと言われる人たちの間でもたちまち話題になりました。

「石毛さんの野菜は他のものとは違って味が濃く野性味にあふれている。そしてカラフルで美しいのも魅力です」とはある有名イタリア料理シェフのコメント。

「肥料は、鶏糞やこめ糠などの有機質のものを使用しています。小淵沢は馬の町なので、近所の馬牧場から馬糞堆肥をいただいて撒いています。また、市内の酒蔵さんやブリュワリーさんから、米ぬかやビール製造で使った穀物の搾りかすをいただき、地域資源として有効活用しています。いろいろなものを混ぜた“ぼかし肥”という自家製の発酵肥料も作り、撒いています」

手間暇かかりますが、こうすることで土の中の微生物が活発になり、虫がつきにくく病気に強い、美味しい野菜ができると石毛さんは言います。

クレイジーファーム代表の石毛康高さん。手間暇かけて、他の人が作らないような珍しい野菜や美味しい作物を育てている

今の季節はハウスで『ハンサムレッドレタス』、『スイスチャード』、『レッドファイヤー』、『トレヴィス』、露地では『ちぢみほうれん草』、『カーリーケール』などを栽培中。

食べてみたい!という方には、旬の採れたて野菜パック(3,000円〜・送料別)で届けてくれるそうです。

写真は春先頃の野菜セット。その時々で内容はいろいろ。詳しくはメールでお問い合わせを。一度食べたらやみつき間違いなし

こだわりの野菜を育てている小淵沢の「クレイジーファーム」

住所:山梨県北杜市小淵沢町下笹尾

商品のお問い合わせはメールにて

oyasaiokome@gmail.com

公式インスタグラム

https://www.instagram.com/oyasaiokome/

 

栄養と甘みをギュッと凝縮!オーガニック野菜を窯焼きで味わう

窯焼き野菜は同店の人気メニュー。山梨で育った有機野菜の甘みと旨味がダイレクトに味わえる。コース料理の中の一品

八ヶ岳で採れた野菜の美味しさをダイレクトに味わいたい!そんな時に我が家が行くレストランが「リストランテコエン」。東京の人気店で修行を重ねたピッツア職人の姉・星付きのイタリアン、フレンチ、パティスリーなど、料理人としてさまざまな経験を積んだ弟のお二人が、地元・山梨に戻り、薪窯が見えるおしゃれなオープンキッチンをオープンしました。

八ヶ岳産のオーガニック野菜を中心に、ビッツア、パスタ、サラダなど地産地消メニューを提供。採れたてのふきのとうやしいたけがたっぷりのったピッツアは必食の美味しさです!また、お店自慢のメニュー『窯焼き野菜』は、ここでしか味わえない旬の野菜の数々が堪能できます。360度の高温遠赤外線で瞬時に焼き上げられた窯焼きの野菜は、必要以上に水分を逃すことなく栄養や甘みがギュッと凝縮された濃い味わいが特徴です。これからの季節は、ちぢみほうれん草のほか、アスカアカネ、アヤメユキカブ、ルタバガなど、珍しい数種類のカブが食べごろを迎えます。

スーパーなどには出回らない八ヶ岳の野菜たちと、ベテラン職人による創作料理をぜひ試してみてください。疲れた体が野菜の力で元気になりますよ。

東京のピッツアの名店で6年修行を重ねたピッツア職人による一品。ふっくら程よい厚さの生地とたっぷりチーズが好相性

おしゃれな店内は開放感のあるオープンキッチン式。薪窯を前に、調理のライブ感が楽しめる

経験豊富なシェフによる料理はシンプルな調理法で素材がもつ本来の美味しさを最大限に引き出す

我が家が行くレストランが「ristorante koen(リストランテコエン)」

住所:山梨県甲府市中央2-12-9 高善ビル1F

電話:0552-44-5511

営業時間:17:30 – 22:30 (L.O.21:30)

定休日: 水曜日+不定休

HP:https://ristorante-koen.com

(営業時間の詳細はホームページをご確認ください)

 

料理研究家が奏でる“玄米菜食”メニューで心と体を癒す

かぼちゃ、サツマイモ、じゃがいも、セロリ、人参、ビーツ、りんご、キャベツ、れんこんなど、地元の新鮮な素材がたっぷりの玄米定食。ランチの定番の玄米定食には、毎春に仕込む自家製味噌を使用した味噌汁と玄米ご飯が付く (ベジ1,200円+税、チキン1,300円+税)

知る人ぞ知る隠れ家レストラン「DILL eat,life.(ディル イート ライフ)」は、料理研究家の山戸ユカさんが2013年にオープンしたお店。八ヶ岳の雄大な山々が見渡せる森の中のロケーションが魅力です。

「レストランを始める前までは東京で仕事をしていましたが、水と太陽、そして自然が豊かな場所で暮らしたい」と考え、八ヶ岳山麓にご夫婦で移住。

メニューは、地元の有機農家さんから届けられた新鮮なオーガニックの野菜、豆類などを使った玄米菜食を中心に、バランスの取れた体に優しい料理を提供しています。ユカさんオリジナルのホッと心が癒されるような味わいが特徴です。地元産の有機野菜や旬の食材を使った「美味しく、楽しく、健やかな料理」を求めて、全国各地からファンが訪れます。ビーガンケーキとこだわり珈琲も絶品。

「店で出る野菜くずなどの生ゴミは、すべてコンポストで堆肥化し、自宅の小さな畑でハーブなどを育てています。四井さんの暮らしを見習いながら、持続可能な地域と連携した循環型レストランを目指しています」

川沿いの小道沿いに佇む森のレストラン

八ヶ岳の山々が見渡せる眺めの良い店内では、特別な時間が流れている

知る人ぞ知る隠れ家レストラン「DILL eat,life.(ディル イート ライフ)」

住所:山梨県北杜市長坂町大井ヶ森984−6

電話:0551−45−7512

営業時間:11:00〜14:00(LO.13:30)18:00〜21:00(LO.20:00)

定休日:火・水・木(ディナーは前日までの予約制)

HP:https://dilleatlife.com

(営業時間の詳細はホームページをご確認ください)

いかがでしたか?

都心とは一味違う楽しみや美味しさに出会うことができる八ヶ岳周辺。生産者も料理人も、体に良い食材にこだわり、地産地消にこだわり、優れた地域の旬の味を提供しているのですね。千里さんがこよなく愛する、とっておきのファーム&レストランには新しい発見がいろいろです。そして、恵まれた土地で育った栄養豊富なオーガニック野菜には、内側から免疫力をアップする力がありそうです。ぜひ訪ねてみてくださいね。

左から、四井真治さん、畑仕事や料理、家具作りなどにも積極的に取り組む四井家の長男・木水土(きみと)くんと次男・宙(そら)くん、四井千里さん

バックナンバーはこちらからご覧頂けます。

【連載】八ヶ岳の「幸せ自然暮らし」を読む>>>

四井真治

福岡県北九州市の自然に囲まれた環境の中で育ち、高校の時に地元の自然が都市開発によって破壊されてショックを受けたのをきっかけに環境意識が芽生え、信州大学の農学部森林科学科に進学することを決意。同農学部の大学院卒業後、緑化会社に勤務。長野で農業経営、有機肥料会社勤務後2001年に独立。2015年の愛知万博でオーガニックレストランをデザイン・施工指導。以来さまざまなパーマカルチャーの商業施設や場作りに携わる。日本の伝統を取り入れた暮らしの仕組みを提案するパーマカルチャー・デザイナーとして国内外で活躍中。

Soil Design http://soildesign.jp/

四井千里

2002年より都内の自然食品店に勤務。併設のレストランにてメニュー開発から調理まで運営全般に関わり、自然食のノウハウを学ぶ。2007年より八ヶ岳南麓に移り住み、フラワーアレンジメント・ハーブの蒸溜・保存食作り等のワークショップ講師、及び自然の恩恵や植物を五感で楽しむ暮らしのアイデアを提案。

記者:山田ふみ

多摩美術大学デザイン科卒。ファッションメーカーBIGIグループのプレス、マガジンハウスanan編集部記者を経て独立。ELLE JAPON、マダムフィガロの創刊に携わり、リクルート通販事業部にて新創刊女性誌の副編集長を務める。美容、インテリア、食を中心に女性のライフスタイルの動向を雑誌・新聞、WEBなどで発信。2012年より7年間タイ、シンガポールにて現地情報誌の編集に関わる。2019年帰国後、東京・八ヶ岳を拠点に執筆活動を行う。アート、教育、美容、食と農に関心を持ち、ethica(エシカ)編集部に参加「私によくて、世界にイイ。」情報の編集及びライティングを担当。著書に「ワサナのタイ料理」(文化出版局・共著)あり。趣味は世界のファーマーズマーケットめぐり。

<自然の仕組みがわかるオススメの2冊>

パーマカルチャーや土と自然のつながりがわかりやすく紹介されている『地球のくらしの絵本』シリーズ「自然に学ぶくらしのデザイン」と「土とつながる知恵」(四井真治著 農文協)ともに2,500円/税別

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

山田ふみ

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