“好ましい”より、”好き”を。
萱島: 5周年を迎えて「RICCI EVERYDAY」は「“好ましい”より、”好き”を。」という力強いメッセージを新たに発信されています。日本の女性たちに何を伝え、どのような価値を提供していきたいですか。
仲本:私たちはいろいろな関係性の中で生きていると思うんですけど、その中で、ありたい姿ではなくて、あるべき姿、例えば期待感とか役割を押しつけられることがあると思います。
でも、そちらにばかり目が向いてしまうと、本当に自分が何がしたいかとか、自分って本当はどんな人なのかを忘れてしまうことがあると思っていて、私も銀行に勤めていた時はとても苦しかった。みんなが同じスーツを着て、同じような仕事をしている中で個性っていったいどこにあるんだろうとよく考えていました。
その時、自分自身が消えていってしまうような感覚に陥っていて、その中で私のささやかな抵抗運動としては、スーツは仕方なしに着るんですけど、中のカットソーをすごい派手な色にしたり、網タイツを履いてみたり、そういうところで個性を表現して自分はここにいるんだということを出したいと思いました。
私は他の人がしないような服装をすることで、自分は自分と思えるようになりました。そこから自分ってこういう洋服を選ぶんだ、こういう色が好きなんだとか、私はキムチ鍋が好きなんですけど(笑)、今夜はキムチ鍋が食べたいから、何をいわれても絶対にキムチ鍋を食べようとか、自分の周りの小さなところから自分というものを出していったら、自分は何をして生きていきたいのかに気づけたんです。
今、私たちは「”好ましい”より、”好き”を。」と言っているんですけど、誰かの願望を基準に好ましいかどうかというよりも、自分が好きかどうかというところを大事にしよう、ということを訴えていきたいと考えています。
萱島: 先進国のなかでも日本人は自己肯定感が低いといわれていますね。自分の「好き」を大事にすることが自分自身を大切にすることにつながるのだと私も思います。