SONG OF THE EARTH(ソング・オブ・ジ・アース)
萱島: 東日本大震災直後から現在までの支援活動についてお伺いしてきましたが、ジュンさんが始められた復興イベント「SONG OF THE EARTH」についてもお聞きしたいです。
新潟県中越地震の支援をきっかけに、2008年にスタートされたのですよね。福島県内では2017年に郡山の仮設住宅でスタートされ、2018年はいわき市にある双葉町の仮設住宅で、そして2019年からはJヴィレッジで開催されています。今年の「SONG OF THE EARTH」はコロナ禍で、開催にあたり多くのご苦労があったのではないでしょうか。今回のイベントに向けてのお気持ちなどお聞かせください。
CJ: 復興イベントというふうにとらえられてしまうと、命日だから復興イベントをしていると想像されると思うのですが、僕からするといま言ったような形で、これからの未来をどう作っていくかという課題を発表する日だったり、また新たにつながる日にすべきだと思っています。
毎月の月命日に行う「CANDLE 11th(キャンドルイレブン)」というキャンドルナイトでは、福島の人々やその仲間たちに思いやメッセージを書いてもらったものを点しています。それを一堂に集める日ということでキャンドルナイトを行うんですが、その時になぜカップに思いを書いてもらっているかというと、メディアにはなかなか出てこないような福島各地の人たちのさまざまな思いが、キャンドルメッセージカップという1つのメディアとなるからなんです。
その場には子どもたちもいたりするので、彼らには3月11日の悲しい思いを書いてもらうよりも、これからの夢を書いてもらうようにしています。
そうしたら、子どもたちが書いたものから「人の役に立つ仕事に就きたい」「助けてもらったから自衛隊に入りたい」「警察官になりたい」「お医者さんになりたい」といった夢がたくさん出てきたんですよ。災害があって大変だった過去の出来事だけではなくて、あの日から毎日毎日を積み重ねて、今日を笑顔で生きていこうと頑張った福島の人たちがいるからこそ、そういう子どもたちが育っているんですね。
この事実を、放射線量がどうしたということ以上に世界中の人たちに伝えたいですし、福島の子どもたちが放射能で心配だというよりも、子どもたちの夢の多くは人の役に立つ仕事に就きたいと思っていることを伝えたいと考えて、凧揚げをするんです。
凧揚げもキャンドルナイトも、自分でなければできないではなくて、福島の子どもたちのアクションありきで育っていくイベントだと思うので、フェスティバルとはまた別の軸でやっていきます。さらに去年実現できなかったシンポジウムも、環境庁と共同で開催することができました。このシンポジウムは、まさにこれからの未来を作っていく現実的なプロセスの部分を重視していて、今年このシンポジウムの開催がちゃんとできたので、毎年行っていこうかなと思っています。