小倉さん: 全体に火が回ったら上から羽釜を置きますよ。ちょうど炉の口から少しだけ炎がのぼって来るくらいの火加減ですね。太い薪だとより火力が安定しますが、家を建てた後に余った端材10〜15本くらいあれば十分です。
山田: 「はじめちょろちょろ、中パッパ、じゅうじゅう吹いたら火を引いて…赤子泣いてもふた取るな」ってよく言いますよね。
小倉さん: そうですね。でも実は、はじめに強火で炊いて沸騰したら火を弱めるんですね。どのくらいで沸騰するかはその時々で違うので、何分たったら火を引いて…、とか、はっきりとは言えまないんですよね。お米の量や火の加減、木の燃え方や天候などによって毎回変わる気がします。マニュアルはなく、自分のカンが頼りです。最後にちょっと強火にすると、いい感じにおこげができます。
山田: なるほど。やはり経験するしかありませんね。火力を調整するだけでも、なかなか思いとおりにはいきません。ウチワであおいで酸素を送り、端材を加えながら火が消えないようにするのが精一杯。
小倉さん: 羽釜のフチから水分がちょろっと吹きこぼれたら、火を弱くするタイミングです。水分のふき上がり方や湯気の香り、お米が弾ける音などによっても炊けたかどうかがわかりますよ。ここが腕の見せどころ。五感を研ぎ澄ませましょう。
山田: 湯気の香り?お米が弾ける音?正直、まったくわかりません(汗)
小倉さん: 大丈夫。二升炊きの羽釜でお米5合を炊くくらいならそんなに失敗はしません。