心と体が健康であって初めて本当の美しさが手に入るーー。モデルの冨永愛さん。心身を健やかに保つためのストレスとの処し方、そして自分自身との向き合い方。美しいひとの「健康の流儀」。
心の健康
前回は、健康的な生活を支える「食」のこだわりについて聞いた。著書『冨永愛 美の法則』では、食欲に加え、睡眠欲、性欲の「三大欲求」についても言及。「体が喜ぶものを食べぐっすりと眠り、心も体も潤う性的な満足感も得ること。それは『美しさ』と大きな関係がある」と語っている。
とはいえ、「忙しい現代人が三つの欲をすべて満たすのは難しい」とも。「三つのうちせめて二つを満たされないと、ストレスがたまりやすくなると思います」と冨永さん。
いかにストレスをコントロールするか。それは、冨永さんのようなトップモデルに限らず、今を生きる誰にとっても「心の健康」を保つための課題だろう。新型コロナウイルスの感染拡大による閉塞感のまっただ中にある今、なおさらだ。
丹田を意識して深呼吸
ストレスにも色々あるが、何かにイラっとしたり嫌な気分になったりしたとき、冨永さんは著書にこんな解消法を紹介している。「嫌なことは丹田に収める。そして深呼吸」
丹田とは、おへその少し下の体の内部にあり、気力が集まり、動きの中心になるとされるところ。冨永さんは動きや姿勢を美しく保つために丹田を意識するというが、さらに、集中力を高めたり、心の揺れを鎮めたりするときにも丹田は力を発揮する。
グチや不平不満を口にしないという冨永さんが、怒りを感じたときのアンガーコントロールに丹田と呼吸法を使っている、というのだ。具体的には、
1.口をすぼめ、ゆっくり、細く息を吐いていく。
2.息を吐ききった最後の最後に、丹田に負の感情を収めるイメージを持つ。
3.次に自然に息を吸い、好きなだけ繰り返す。
「しばらく続けると、嫌な気持ちやイライラがスーッと消えていくのを感じます。丹田を意識して深呼吸するだけなので、仕事中や電車の中など、いつでもどこでもできるのがいいですね」
嫌なことや怒りの処し方についてだけでなく、冨永さんは「自分との向き合い方」について深く思いを巡らせていることが、著書『冨永愛 美の法則』のいくつもの見出しから見て取れる。
「自分のことを疑ってみる」
「自分を大切にする」
「自分との対話を繰り返す」
「今の自分に少し負荷をかける」
「私自身に立ち返る時間をつくる」
その思いを問うと、冨永さんはふとこんな話を口にした。
「今朝ね、去年亡くなった祖母のことを思い出し、すごく落ち込んでしまったんです。でも、その気持ちを無理やり封じ込めたりせず、落ち込んでいる自分を素直に受け止め、お線香をあげ、これからも見守っていてね、と手を合わせました。そうすることで、私は自分が落ち着きを取り戻せると知っているから」
こう続ける。
「落ち込んだときも楽しいときも、どんな自分にも正直でいる。否定したり抗ったりもせず、心の声にも耳をすまし、自分の心に従う。誰よりも自分が自分に一番厳しくなきゃいけないけれど、誰よりも自分が自分に一番優しくなくちゃいけないとも思うのです。そんな私の最も強い思いは『モデルの仕事が大好き』ということ。そこがブレないから、いろんな転機を経てもモデルを続けてこられた」
自分に素直になることで心を健やかに保つ。体だけでなく心も健康であることで、本当の美しさを手に入れることができるーー。 キャリアと年齢を重ねてなお「美しいひと」が輝き続ける理由は、そこにあるのだろう。
<撮影協力>
・フォトグラファー:ITARU HIRAMA
・スタイリスト:SOHEI YOSHIDA (SIGNO)
・メイク:Mio (SIGNO)
・協力:UNDER GROUND
・コーディネーション:TRANSMEDIA Co.,Ltd
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冨永愛
17歳でNYコレクションにてデビューし、一躍話題となる。以後、世界の第一線でトップモデルとして活躍。モデルの他、テレビ、ラジオ、イベントのパーソナリティなど様々な分野にも精力的に挑戦。日本人として唯一無二のキャリアを持つスーパーモデルとして、チャリティ・社会貢献活動や日本の伝統文化を国内外に伝える活動など、その活躍の場をクリエイティブに広げている。2019年秋、TBSドラマ日曜劇場「グランメゾン東京」では主要キャストとして抜擢、女優としても活躍。公益財団法人ジョイセフアンバサダー、エシカルライフスタイルSDGs アンバサダー(消費者庁)
初翻訳となる女の子を応援する絵本『女の子はなんでもできる!』(早川書房)が楽天ブックスで 1 位(外国の絵本部門2020年11月24日~11月25日)となり、絵本としては異例のスピードで重版が決まり、読みやすく、元気になる言葉は、子どもからも評判を得ている。原題は”Girls Can Do Anything”(文:キャリル・ハート 絵:アリー・パイ)
冨永愛さんによる読み聞かせ動画はこちらから https://youtu.be/bMJrWM-xpfw
文・中津海麻子
慶応義塾大学法学部政治学科卒。朝日新聞契約ライター、編集プロダクションなどを経てフリーランスに。人物インタビュー、食、ワイン、日本酒、本、音楽、アンチエイジングなどの取材記事を、新聞、雑誌、ウェブマガジンに寄稿。主な媒体は、朝日新聞、朝日新聞デジタル&w、週刊朝日、AERAムック、ワイン王国、JALカード会員誌AGORA、「ethica(エシカ)~私によくて、世界にイイ。~ 」など。大のワンコ好き。
構成・大谷賢太郎
あらゆる業種の大手企業に対するマーケティングやデジタルの相談業務を数多く経験後、2012年12月に『一見さんお断り』をモットーとする、クリエイティブ・エージェンシー「株式会社トランスメディア」を創業。2013年9月に投資育成事業として、webマガジン「ethica(エシカ)」をグランドオープン。2017年1月に業務拡大に伴いデジタル・エージェンシー「株式会社トランスメディア・デジタル」を創業。2018年6月に文化事業・映像事業を目的に3社目となる「株式会社トランスメディア・クリエイターズ」を創業。
創業9期目に入り「BRAND STUDIO」事業を牽引、webマガジン『ethica(エシカ)』の運営ノウハウとアセットを軸に、webマガジンの立ち上げや運営支援など、企業の課題解決を図る統合マーケティングサービスを展開中。
「冨永愛 美の法則」(ダイヤモンド社)概要
世界的トップモデル冨永愛のランウェイで学び得た「美しい人になる習慣」。究極の美肌術、ボディメイク、美しい歩き方、食べ方、仕事、セックス、美の哲学ほか、アジアを代表するスーパーモデルのビューティーライフ。20年間、パリコレをはじめ、世界最高の美の価値観に触れてきた著者だからこそ話せる「美の法則」。
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私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp