[連載企画]人を癒す希望の火を灯す(第8話) キャンドル・ジュンさん SONG OF THE EARTH 311 – FUKUSHIMA 2021 – 【ethica副編集長対談】
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[連載企画]人を癒す希望の火を灯す(第8話) キャンドル・ジュンさん

(第7話)に続き、今回の副編集長対談はキャンドルアーティストCANDLE JUNE(キャンドル・ジュン)さんとオンラインで行いました。

キャンドル・ジュンさんは、1994年よりキャンドル制作を始め、2001年より平和活動『Candle Odyssey』を開始。紛争地や被災地を巡り、キャンドルに火を灯す活動を行っています。2011年3月11日に発生した東日本大震災から10年、被災地支援を現在まで続けてこられ、毎月11日の月命日には必ず現地で復興イベントを実施されています。

そんなキャンドル・ジュンさんに、キャンドルとの出会い、ご自身が率いる⼀般社団法⼈LOVE FOR NIPPONによる東北被災地域での支援活動、そして、これからの未来の作り方についてお話を伺いました。

米倉涼子さんの心遣い

CJ: 女優の米倉涼子さんのお話をしましょう。米倉さんは毎回、いろいろな支援をして下さるんですけど、ある時、米倉さんがCMに出られている栄養剤をいただけることになった時、「ちょっと面倒なんですけど、栄養剤の入った段ボールに涼子さんのサインとメッセージを書いてくださいませんか」とお願いしたんです。涼子さんは快く引き受けてくださったんですけど、数ある物資の中でも、ただの物資なのか、そうではないのかで違うんです。涼子さんのサインとメッセージが入った段ボールからもらえるだけで、その栄養剤は全然違ったものになるんですよ。

それから、袋田の滝で有名な茨城県の太子町という観光地が風評被害でお客さんが全然来なくなっているという話を聞いて、福島の避難所でダンボールだけで暮らしていた人たちを太子町に連れていく1泊2日のバスツアーを企画しました。

当日はミュージシャンたちをブッキングしてイベントを開催しました。各地からお客さんが集まってくれるその中に、福島からのバスツアーのみなさんもいました。バス1台分の費用は全て涼子さんが出してくれました。涼子さんのおかげで毎日プライベートもなく、ダンボールの上で寝ていたお父さん、お母さんたちが1泊だけでしたけど、ふかふかした布団と温泉と、ちゃんとプライベートのある部屋で一緒に過ごすことができたのです。その時参加した人たちは「あの旅行は、一生の思い出だ」といまだにいってくれています。バス1台40人しかその体験ができなかったとしても、そのコストはそれ以上のものになっていると思います。

萱島: ツアーに参加した方は、テレビで米倉さんを見るたびにその日のあたたかさを思い出すでしょうね。ぐっと来るお話です。

「私によくて、世界にイイ。」

萱島: 最後に「ethica」のグランドコンセプト「私によくて、世界にイイ。」についてお聞きします。ジュンさんにとっての「私によくて、世界にイイ。」とはどんなことでしょうか。

CJ: 「私によくて、世界にイイ。」ですか。難しいですね。何でしょうかね。

萱島: まさに今日お話を伺ったことが全部、ジュンさんにとっての「私によくて、世界にイイ。」につながっていると思うのですが、他にあれば。

CJ: やっぱり、キャンドルですかね。

キャンドルって今はジェル状のものもありますが、一般的には固形で固まっているもので、芯があって、でも、火は誰かがつけなければ始まりません。ですから、火をつけたということって自分事になるじゃないですか。それは大人っぽくというか、社会っぽくいやらしくいえば自己責任が発生したということですよね。誰かがつけた火ではなくて、自分がつけた火だったらそれに責任を持ちましょうっていうと、すごく重たいものに感じますが、反面、火をつけた喜びもあります。

キャンドルって火をつけるととてもきれいなんですよ。これがすごく大切で、責任といってしまえばそれまでですが、自分が存在している証がまさに目に見えるというか、きれいなもので、かつ風が吹いたら消えてしまったりとか繊細なものでもあるし、触ろうとするとヤケドしてしまうこともあります。それに、キャンドルには限りがあります。つまり、生きるってこういうことなんじゃないですかね。

自分ではキャンドルに火を点すと無限だとはいいつつも、一個の固形燃料としては限りがあると考えた時に、その限りある命をどう燃やすかということを意識すると、これはきっとたぶん自分自身もそこに気づきを与えてもらったし、世界中の人たちにも改めて感じてもらいたいし、たぶんこれって、命があって触ればヤケドするし、でも、繊細でもあるしということなんじゃないかと思います。

萱島: 今日は素敵なお話をたくさんお聞きして、私も胸が一杯になりました。本当にありがとうございました。

CJ: こちらこそありがとうございました。

連載企画「人を癒す希望の火を灯す/キャンドル・ジュン SONG OF THE EARTH 311 – FUKUSHIMA 2021 –」全8回にわたってお届け致しました。バックナンバーはこちらからご覧頂けます。

【連載】「人を癒す希望の火を灯す」を読む>>>

CANDLE JUNEキャンドルジュン

アーティスト/ フィールドデザイン/ ディレクター

1994年、キャンドル制作を始める。「灯す場所」にこだわり様々なフィールドで空間演出を行い、キャンドルデコレーションというジャンルを確立。

2001年、原爆の残り火とされる「平和の火」を広島で灯してからは「Candle Odyssey」と称し、悲しみの地を巡る旅を続ける。

2011年、東日本大震災を受けて「一般社団法人LOVE FOR NIPPON」を発足し支援活動を始める。

ethica副編集長 萱島礼香
法政大学文学部卒。総合不動産会社に新卒入社。「都市と自然との共生」をテーマに屋上や公開空地の緑化をすすめるコミュニティ組織の立ち上げを行う。IT関連企業に転職後はwebディレクターを経験。主なプロジェクトには、Sony Drive、リクルート進学ネットなどがある。その後、研究機関から発足したNPO法人に参加し、街の歴史・見どころを紹介する情報施設の運営を担当した。2018年11月にwebマガジン「ethica」の副編集長に就任。

ーーBackstage from “ethica”ーー

東日本大震災から10年を迎える福島で、CANDLE JUNさん率いる一般社団法人LOVE FOR NIPPONによる追悼復興イベント「SONG OF THE EARTH 311 – FUKUSHIMA 2021 -」が3月10日(水)から4日間にわたり開催されました。『One more action !』をテーマに、開催が叶わなかった2020年の想いとともに、CANDLE 11th、3.11夢の大凧あげ、FESTIVALやシンポジウムといったイベント実施されました。詳しくは公式サイトをご覧ください。

SONG OF THE EARTH 公式サイト
http://songoftheearth.info

提供:サラヤ株式会社
https://www.yashinomi.jp

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

萱島礼香

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