(第7話)「今年もベランダ菜園はじめました」【連載】かぞくの栞(しおり) 暮らしのなかで大切にしたい家族とwell-being
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(第7話)「今年もベランダ菜園はじめました」【連載】かぞくの栞(しおり)

心身ともに健康で、社会的にも満たされた状態であることを意味する「well-being」。

一人ひとりがwell-beingであることが、社会や環境をより良くしていくことにつながるのだと思います。

では、「私にとって良い状態」ってどういうものなんだろう?

そのヒントは、意外と何気ない日常の中に散りばめられているのかもしれません。

新しく何かを始めるのも大切だけど、まずは身近な人や自分が「ごきげん」でいることから。

家族と過ごすなかで感じる、そんな一瞬一瞬を切り取って、綴っていけたらと思います。

ベランダの植木鉢にせっせと水をやる娘

「ままー、なかなかおっきくならへんなぁ」。

赤いジョウロを持って、ベランダの植木鉢にせっせと水をやる娘。

 

水やりの先は、昨年収穫を終えたあと放置したままだった大葉です。

すっかり干からびた植物の育ちを見守る娘の姿に、これはいけないと慌てて一緒にホームセンターに苗を買いに行きました。

 

購入したのは、ミニトマト、オクラ、バジル、大葉、ルッコラ、ミント。

夏野菜の最盛期になると、毎週頼んでいる野菜の詰め合わせの宅配でピーマンやナスやきゅうりが大量に届くので、ベランダ菜園用には、ちょこちょこ使いやすいものを中心に。

 

娘の希望はスイカとさつまいもだったのですが、ベランダにうねうねとツルがのさばっている様子が脳裏に浮かび、どうにかなだめつつ丁重にお断り。

気を紛らわせられないかと、ふと近くにあったオジギソウをチョンと触って葉が閉じる様子を見せると、目を丸くして喜ぶので「これも育ててみようか」と思わず口からポロリ。

 

私も小さいころ「まるで生き物みたい」と不思議でたまらなかったオジギソウ。娘の興味津々な姿に当時の気持ちが蘇り、予定外の買い物にしまったと思いつつも、ちょっぴりワクワクした心持ちでレジに向かったのでした。

「あんな、ここにやさしくおいてな、そーっとおふとんかけてあげるねんで」。

プランターに土を入れ終えると、何も言わずとも苗をポットから取り出し、両手で包み込んでそっと土の上に置く娘。

私が驚くと、保育園で少し前に苗植えを体験していたようで「せんせいがゆってた」と。

 

植え替えの準備をする横で、むんずと苗を掴んで引っこ抜こうとし「ちょっと待ったー!」となっていた1年前の姿を思うと、成長を感じずにはいられません。

 

3歳になり、いっそう自我が確固たるものに育ちつつある娘。

「〜ちゃんもやりたい!」「じぶんで!」「ママはさわらんといて!」。

二言目にはそれらの言葉が飛んできて、先回りしかけた手と口を引っ込めざるをえない毎日ですが(物ごとの進まなさに、時には深いため息もつきつつ……)、あれこれ言わずとも自分で見て、聞いて、考えて、やってみての繰り返しのなかで、着実に育っていっているんだなぁと何だかしみじみと感じたひと時でした。

こうして、いろいろな思いとともに今年もスタートしたわが家の小さなベランダ菜園。

洗面所からベランダへ、娘が運ぶジョウロの先から水がこぼれ落ちそうになるのをヒヤヒヤしながら見守りつつ、一緒に育ち具合を観察するのが楽しくて仕方のないこのごろです。

 

ちょんちょんとオジギソウを触り、ミニトマトがひと粒ふた粒と実り、大葉やオクラの葉が大きくなっていく様子を嬉々として、時には真剣な眼差しで眺める娘。

 

そんな姿を見ていると、娘の希望(スイカとさつまいも)を叶えてあげたい気持ちがむくむく湧いてきて、来年は畑を借りてみようか……!? と新たな野望を胸に抱きはじめた母なのでした。

【連載】キコの「かぞくの栞」を読む>>>

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

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