陶芸家・古賀崇洋さんの新作個展「Anti Wabi-Sabi~創造力は自粛できない」が今、渋谷・RAYARD MIYASHITA PARK North N-8の「or(オア)カフェ・アートギャラリー・ミュージックバー」で6月23日まで開催されています。
「反わびさび」という新しい概念
1987年、福岡県で生まれた古賀さんは2010年に佐賀大学教育学部美術・工芸課程を卒業後、陶芸家として修業を積み、現在も九州を中心に活動しています。
古賀さんは作品の存在感を際立たせる意味であえて「反わびさび」という新しい概念を掲げ、器全体を大小のスタッズ(突起)で覆う派手でユニークなシリーズを展開することで、質素で静かなものをイメージする日本人の美意識「わびさび」とはかけ離れた作品を発表しています。
これまでにスポーツブランド「adidas」、人気アニメ「東京喰種」、ファッションブランド「CoSTUME NATIONAL」、筝とEMDのパフォーマンス集団「TRiECHOES」など幅広いジャンルとのコラボ実績を持っており、その活動にはロンドンブーツ1号2号の田村淳など多くの著名人が注目しています。まさにミレニアム世代を代表するアーティストといえるでしょう。
アート・工芸作品のプラットフォーム「B-OWND(ビーオウンド)」
今回は古賀さんにとって約2年半ぶりとなる個展で、商業施設や文化施設などの空間づくりを行っている株式会社丹青社がサービスを提供するアート・工芸作品のプラットフォーム「B-OWND(ビーオウンド)」の協力のもと開催されるものです。
メディア内覧会に出席したB-OWNDプロデューサーの石上賢さんは、
「これまで工芸作品には付加価値がなかなか付きにくかったという現状がありますが、B-OWNDは工芸をアートとしてとらえるとともに、今までにはなかったさまざまな取り組みを行っています。例えばブロックチェーンを使って証明書を発行したり、作品の説明文にICタッグを取り付けることでスマホを使ってアプリケーションなしに、その作品ができるまでの過程を映像や音楽、写真、文章などで確認できたり、作品の所有者やその移動の記録をチェックこともできます。
B-OWNDには現在約20名のアーティストが関係していますが、1人のアーティストに特化したのは今回が初めてであり、テクノロジーとアートとパフォーマンスが一体化した個展になっていますので、皆さんにお楽しみいただければと思っています」
と説明していました。
茶聖・千利休への敬愛
個展会場には、わび茶の完成者として知られる茶聖・千利休を敬愛してやまない古賀さんが、茶の湯と戦国武将の変わり鎧、工芸の歴史を加味したアートとして表現している代表シリーズ「頬鎧盃」の新作「童 虎形 金」の他、日本古来のプロダクトである招き猫を、古賀さんならではの鋭い感性で現代における新たな招き猫へとアップデートした「NEO MANEKINEKO」など数多くの作品が展示されています。
陶芸を若い人たちにも見てもらいたい
今回の個展を開催するにあたって、古賀さんは、
「僕の作品を初めて見た人は、どうしてスタッズがついているんだろうと不思議に思うでしょう。ある時、博物館で今から800年ほど前に作られた壺を見て、時間を経てきた力強さや作った人のエネルギー、オーラをそこに感じてものすごく感動しました。そして、モノに内在するそのパワーを自分なりに表現できたらいいなと思った時、一番ぴったりきたのがスタッズだったんです。
戦国武将の変わり鎧をモチーフにした作品を含めて、世界のどこにもない僕だけの新しいものを作ることができた、クリエイティブな仕事ができたのではないかと思っています。陶芸というと、どちらかという暗くて、生活に質素に寄り添う器というイメージが強くて、興味のある人だけが見るものと思われがちです。でも、本当は陶芸って格好いいんだよということを今回の個展を通じてアピールして、若い人たちにも見てもらいたいと思っています」
と語っていました。
依然として長引くコロナ禍で誰もが元気を失い、暗い気持ちになりがちな今、古賀さんの作品を見ていると、パワーがこちらにも伝わってきて自然と勇気が湧いてくるような気がします。普段は陶芸とはあまり縁がないというあなたも、たくさんの元気をもらいに渋谷へ行ってみてはいかがでしょうか。
古賀崇洋 個展「Anti Wabi-Sabi~創造力は自粛できない」
会期 : 2021年6月20日(日)~23日(水) 12:00~20:00
会場 : or(オア)カフェ・アートギャラリー・ミュージックバー(渋谷区神宮前6‐20‐10 RAYARD MIYASHITA PARK North N-8)
入場料 : 無料
主催 : or
古賀崇洋プロフィール
1987年、福岡県出身。2010年、佐賀大学文化教育学部美術・工芸課程卒業。
千利休に感銘を受け、作品の存在感を際立たせる意味であえて「反わびさび」を掲げる。モノに内在する力を可視化するためにスタッズを使用し、突出した人物を表現。世の中を変えていくような際立った存在を磁器によって結晶化する。
2019年、六本木ヒルズA/Dギャラリーで個展を開催。2018年、パリ三越伊勢丹での展示会に出品。2019年、人気アニメ「東京喰種」、スポーツブランド「adidas」、ファッションブランド「CoSTUME NATIONAL」、筝とEMDのパフォーマンス集団「TRiECHOES」とのコラボ作品を発表するなど活躍の場を広げている。
記者:エシカちゃん
白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp