「イクオリティ&インクルージョン(平等な機会とインクルーシブな世界の実現)」を掲げて、学びや成長、成功の機会が誰にも平等に与えられる環境づくりに取り組むP&G。P&Gジャパンはそうした活動の一環として、ソーシャルメディアNewsPicksと共同でオンライン・シンポジウム「『多様性』の、その先へ〜インクルージョンがもたらす成長~」を開催。高橋尚子さんや長谷川ミラさん、澤田智洋さんといった各界の著名人が積極的に意見を交わしました。(記者:エシカちゃん)
P&Gではセクシャルマイノリティを支援するため社内研修を推進
P&Gジャパンのスタニスラブ・ベセラ社長による「P&Gは世界中の多様なニーズを持つ多様な消費者に高品質な製品を提供しています。経営戦略としてイクオリティ&インクルージョンを掲げ、人材こそが最も重要な資産だからこそ力をいれているのです」という力強いメッセージで幕が開けた今回のシンポジウム。
パネリストには、シドニー五輪金メダリストでスポーツキャスターの高橋尚子さんや、モデルの長谷川ミラさん、コピーライターで世界ゆるスポーツ協会の代表理事を務める澤田智洋さんら、多様性をテーマにしたイベントにふさわしい各界の第一人者が次々登場しました。
イクオリティ&インクルージョンに関わる質問では、「スポーツは年齢や性別、国籍、人種、障がいの有無に関わらず、誰もが楽しめるもの。市民マラソンでも皆が一緒に笑顔になることができます」(高橋さん)、「海外では既にインクルージョンという考え方が日常に浸透しています」(長谷川さん)、「協会を通してスポーツ弱者を世界からなくす取り組みをしています。インクルージョンという概念があること自体が、日本の社会から排除されている人がいることの裏返し。エクスクルーシブ(排他的)な環境に置かれた人達の視点を企業に結びつけるかに考えています」(澤田さん)と三者三様の回答がありました。
今回のセッションのテーマは3つで、1つ目は 「各業界におけるインクルージョンの取り組み」。今年の「ジェンダーギャップ指数」ランキングで日本がG7中最下位となった結果を受け、ファシリテーターであるジャーナリストの治部れんげさんが日本国内でのインクルージョンに関する課題を提起しました。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の理事となった高橋さんは「日本オリンピック委員会(JOC)が役員の男女比率向上に取り組むなど、女性の意見が反映される仕組みが生まれつつあります」とスポーツ界の施策を説明しました。
また、自らのセクシュアリティを職場でオープンにしづらい現状があり、セクシャルマイノリティの理解者や支援者を指す“アライ”として何らかの行動をしている人が2割に留まるというP&Gの調査を受け、P&Gジャパン・人事統括本部シニアディレクターの市川薫さんは「LGBTQ+の方々が自分らしさや本来のパフォーマンスを発揮できない状況が続くのはもったいないことです。問題を解決するために、アライとして正しく理解、行動するために社員への啓発を行っています」と話しました。
「誰もがマイノリティとマジョリティのミックス」
続いてのテーマは「日常生活に潜む“不平等”・“無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)”」。
視覚障がいを持つ息子さんがいる澤田さんは、「彼はマイノリティであると同時にマジョリティです。誰もがマイノリティとマジョリティのミックスだと思います。僕のように運動が苦手な人間もある種のマイノリティ。そんな人でも世界チャンピオンになれるような競技を考えてみたところから、ゆるスポーツの普及に取り組みました」とコメント。南アフリカと日本のミックスである長谷川さんは、「生まれ育ってきた日本では見た目で日本人として扱ってもらえないこともありましたが、海外に留学した時は自分のアイデンティティを尊重してもらいました」と国内外の意識の違いを指摘。そういった経験から、「皆がそれぞれ異なる存在であると知ることが大切」と強調していました。
最後のテーマは 「インクルーシブな未来に向けての提言」。互いの個性を活かし合える、真にインクルーシブな未来をつくるために、市川さんは「インクルージョンはスキル!!」だとして、「頭(Head)で他者を理解し、心(Heart)でマイノリティの立場を想像、そして手(Hand)を動かして行動する、3つのHを実践するためのスキルを社内で紹介しています」と研修内容を紹介。澤田さんも「イクオリティ&インクルージョンを常に意識しながら生活する『ポケットにE&Iを』が大切ですね」と語っていました。
「多様性を重んじない人に対して、どのようにアプローチをされていますか?」という質問に対し、「コミュニケーションをしっかり取ることで相手の多様性を受け入れられるようになる」(高橋さん)、「お互いの多様性を受け入れるために、共感できるようなエピソードを話すようにしている」(長谷川さん)といったアドバイスが挙がりました。カジュアルな行動の積み重ねがイクオリティ&インクルージョンを実現する第一歩になるのかもしれません。
記者:エシカちゃん
白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。
NewsPicks「E&Iシンポジウム」
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp