旅行が好きです。
日常から一歩離れることで、繰り返しの毎日のなかでは得難い体験ができ、新たな人、食べ物、場所との出会いがあるから。ここ最近は遠出をしづらい雰囲気ではありますが、娘と夫、家族で年に数回、近場へ旅行やキャンプに行くのを楽しんでいます。
旅行の前に欠かせないこと、それはおうちを片付けておくこと。
お土産も加わって、さらにずっしりと重たくなった荷物を持って階段を登り、一息ついて鍵を開ける。扉を開いた先でスッキリと片付いた部屋が迎えてくれると、旅もいいけれどやっぱりおうちは落ち着くなぁとホッとします。
その日のうちに片付けを済ませて、また明日から頑張ろうと、心地よい疲労感とともに眠りにつくまでが旅行の醍醐味。
せっかく良い時間を過ごしたのに、帰ってきて目の前に広がっているのが散らかった部屋だとしたら。どっと疲れが押し寄せ、翌日からの日常を、残念な気持ちで迎えることになりかねません。
また、万が一、旅行先で何かあって帰れなくなったとしたら。
大学生になり、一人旅をするようになって初めて実感した、何でもできる自由さと、いつ何が起こるかわからない怖さ。北海道の山に一人で登り、次第に霧が立ち込め、目の前以外何も見渡せなくなったときに感じた孤独感は今も忘れられません。
もしものとき、家族や知人が部屋に入ることになるかもしれない。
事故に巻き込まれた日には、「こちらが〇〇さんの自宅です」なんてニュースで紹介されるかもしれない。
普段なら笑い話になるような、そんなシチュエーションをあれやこれやと想像し(現実には起こってほしくないけれど)、”立つ鳥跡を濁さず”の言葉の通り、できるだけ迷惑をかけないように、恥ずかしくないようにと、旅行の前には、必ず片付けといつもより少し念入りに掃除をするようになったのでした。