一応言っておきますが、このエピソードで、ポイ捨てしてもよい、というメッセージを与えるつもりはありません。むしろ私が注目したいのは、そうした行為を宴会という非日常と結びつけていることです。つまり、普段はしてはいけないポイ捨てを、宴会という場で行うことが、彼らにとって非日常的体験のスイッチを入れる行為なのです。
私たちもそうした非日常のスイッチがあるのではないでしょうか。例えば、お正月のおとそ。お酒を飲んではいけない子供も、口にお酒を少し含むということをします。その行為を通じて、私たちはお正月という非日常的な行事を体験しているのです。
ウェルビーイングにおいては、日常から抜け出す体験が必要です。コロナ前であれば、ライブに行ったり、お祭りに参加したりと、人との関わりの中でそれを実践してきました。しかし、それが出来ない今、私たちは非日常的な体験をもたらすスイッチを意識的に見つける必要があります。
何であっても構いません。ライブに行くのが好きな人なら、自宅で公式グッズを身に纏ってみると、非日常的な体験のスイッチが入るかもしれません。お洒落をして表参道に行くのが好きな人なら、クローゼットの中の一番お洒落な服を着て、家で一日過ごすのも良いかもしれません。
十分に動き回ることが出来ない今、過去に非日常的体験をもたらしたスイッチを実践してみると、非日常世界と繋がれます。ウェルビーイングとは、そうした些細な取り組みの積み重ねで、築かれていくものでしょう。
あなたにとって、非日常をもたらすものは何ですか?日常に憂鬱を感じているあなたも、それを意識的に行ってみると、生活にメリハリが出るかもしれません。