オーガニックエステとコスメの学校を開校
萱島: 坂田さんは気づきや行動が本当に早いですよね。その決断力を見習いたいという人も多いんじゃないかと思います。
坂田: それは今振り返ってみると、子どものおかげですね。
子供が産まれると必然的に選択肢が限られてしまうんです。
大手に勤めるとか大学に通うとか、そういう選択肢は私にはなかったですし、夜どこかに出かけるという選択肢もないとなると、家の中でできるのは学ぶことと伝えることしかなかったわけです。とにかくインプットしてアウトプットする。これしかできませんでした。
だからこそ悩んでいるだけの時間や迷っているだけの時間って、何も生み出してくれないからもったいないわけですよ。ただでさえ環境的にも社会的にも弱い立場の私たちは、行動して初めて誰かの印象に残ったり評価されたり、自分の存在価値を知ることができます。「行動」って、明日じゃなくて今すぐ起こすことだと思っているんです。
外に出かけて誰かと会ったり学校に通ってインプットすることが当時はできなかったので、家の中で情報を集める、本を読む、後はスクールに入ってオンラインで聞く、それを書き起こす、伝える、自分の知識に変える。この作業の繰り返しでした。
萱島: オーガニックコスメの知識はその時に培ったものが大きいんですか。
坂田: そうだと思います。あと、私が知識や技術をどこで覚えたかというと現場ですね。当時はオーガニックコスメやスキンケアに関連する学校とか本がなかったので、とにかくお客さんと話してひたすら覚えました。
今はオーガニックエステとコスメの学校を開校していますが、24歳の頃からいつかは自然派美容に特化した学校を作ろうと思っていました。家にいながらパソコン1つで学べる学校が当時はありませんでしたから。
萱島: オンラインで学ぶというのは今でこそたくさんありますけど、10年前はたしかになかったですよね。
坂田: 確かになかったですね。私たちが運営する美容学校がオンラインで1年間の授業を始めたのはすごく早かったと思いますよ。
私たちが運営する美容学校の特徴は10代のお母さんと学生さんには奨学金制度があることです。最初は負担金がなく学校に入れるんです。というのも、お金の壁で入れない人を取り残したくないと思ったからなんですね。社会人になったら月額1万円の分割支払いで払ってもらうんです。
でもその分割制度は、誰でも利用できます。
そこは平等に金額負担を軽減できる仕組みを作りました。誰もが豊かに使えるお金や時間を持ち合わせているわけではないことを、自分自身の経験から感じていたので「お金と時間の壁」を無くした学校を作りたいと思っていました。
いつしか地方でもオンラインで学びたいという人が増えて、今では北海道から沖縄まで地方校は全部で20校まで分校しています。
先生は元はみんなこの学校で学んだ生徒さんなんです。実技は地方の学校で学び、座学はオンラインで学ぶ、または自由が丘の本社に来てどちらも学ぶ。そんな今時のスタイルの学校がゆっくり確立されていきました。最近では対面なしで、マネキンとパソコンだけでオーガニックフェイシャルエステが学べる「オンラインクラス」も希望者が増えてきています。コロナだから、というよりも受講者が多様化してきたように思います。
誰でも「手に職」を持ちたいと思っているし、オーガニック・エシカルな仕事って魅力が溢れているんです。