【連載】恋するフィンランド! (第5話)映画『アアルト』ヴィルピ・スータリ監督 来日トークイベント[後編]
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【連載】恋するフィンランド! (第5話)映画『アアルト』ヴィルピ・スータリ監督 来日トークイベント[後編]

「森と湖の国」そして「世界一幸福な国」フィンランド。近年の世界幸福度ランキングでは5年連続で一位に輝く、北欧・フィンランドは、サステナブルな国として高く評価されています。デザイン大国としても人気が高く、そのシンプルで機能的、かつ有機的で温かみのあるデザインの家具や日用品は、昔から現在に至るまで多くの人々に愛されています。

ethicaでは、そんなフィンランドからウェルビーイングな北欧ライフスタイルを学ぼうという「恋するフィンランド!」企画が進行中。

今回は(第2話)でご紹介したドキュメンタリー映画『アアルト』(20231013日~公開)のヴィルピ・スータリ監督が来日して開催されたトークイベントを取材。撮影の裏話や、映画の制作秘話など貴重なお話を伺ってきました。

[中編]に続き[後編]をお送りしていきます。

【あわせて読みたい】恋するフィンランド! 

(第1話)北欧のライフスタイルに触れられる展覧会

(第2話)フィンランド建築の巨匠アルヴァ・アアルトを描いた映画『アアルト』をご紹介

(第3話)映画『アアルト』ヴィルピ・スータリ監督 来日トークイベント[前編]

(第4話)映画『アアルト』ヴィルピ・スータリ監督 来日トークイベント[中編]

(第6話)映画『アアルト』ヴィルピ・スータリ監督 来日トークイベント[最終編]

(第7話)映画『アアルト』フィンランドの自然と暮らしのデザイン建築めぐり8日間

 

――では次の質問です。この映画を手がけるのに、どうして今の時期に作ろうと思ったのですか。

監督: まず、アイノの重要性を認めることが大事だと思いました。彼女は世間的にそれほどまだ認められていないなと思い、今こそ彼女の存在に光を当てる時だと、それを見せたいと思いました。

彼女からインスピレーションを受けることはたくさんあると思います。百年以上前に生きた人ですがとてもモダンな女性で、母であり、建築家であり、アルテックという会社のCEOであり、いろんな役割を担った人です。

©︎Aalto Family

©︎Aalto Family

そしてもう1つ。彼らは人間的な建築を作ってきたわけですが、心理的身体的な人間のニーズに合った建築を作ることの大切さを今、思い出すことが大事だと思いました。最近の建築というのはある種、驚かせるようなものも多くて、人間のためではなくただ見せびらかすような、あまり意味のないものが多いと思うのですが、アアルトの建築というものは常に人間のために、人間の日常生活を慎ましくも美しくすると考えていて、それを思い出すことが大切だと思います。

ヴィープリの図書館 ©︎FI 2020 - Euphoria Film

©︎FI 2020 - Euphoria Film

――まさに今コロナ禍を経て、自然や人間らしさや暮らしに焦点があたり、みんなが大切なことを考え直すようなきっかけができた、というこのタイミングで、アアルトの建築をもう一度きちんと見つめ直そうというのはすごく時代に合致しているなと思いました。

この映画のチラシに(監督の)ご主人の名前があり、とても有名な方らしいのですが、映画ではどのような役割をなさっていますか。

監督: 夫と私はユーフォリアフィルムという会社を経営していて、この映画の共同プロデューサーでもありますが、もう1つ、映画の中で手紙を読むアルヴァの声を演じています。彼はフィンランドでは有名な俳優で、フィンランドのフィクション映画や舞台に出演しているので、アルヴァの声を演じてもらう俳優さんを色々当たってはみましたが、最終的に彼にお願いしました。はじめ彼はアルヴァの声真似をしようとしていましたが、あまり良いと思えず「私に手紙を読むと思って話して」とお願いしたところ、上手く行きました。アイノの声は別の女優さんにお願いしましたが、どの方にオファーするかはやはり慎重に選びました。

映画『アアルト』のヴィルピ・スータリ監督

映画作りのプロセスは非常に長くかかったので、アルヴァとアイノがまるで私たちの家に一緒に住んでいるかのように感じられるほどでした。やっと制作を終えた時に夫が私に優しく「アルヴァとアイノにはそろそろうちから出ていってもらったらどうかな?」と言ったほどです。それほど4年間彼らの存在を近くに感じていました。

(最終編に続く)

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(第6話)映画『アアルト』ヴィルピ・スータリ監督 来日トークイベント[最終編]

(第7話)映画『アアルト』フィンランドの自然と暮らしのデザイン建築めぐり8日間

 

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

ethica編集部

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