(第24話)娘の「できない」に思うこと【連載】かぞくの栞(しおり) 暮らしのなかで大切にしたい家族とwell-being
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(第24話)娘の「できない」に思うこと【連載】かぞくの栞(しおり)

心身ともに健康で、社会的にも満たされた状態であることを意味する「well-being」。

一人ひとりがwell-beingであることが、社会や環境をより良くしていくことにつながるのだと思います。

では、「私にとって良い状態」ってどういうものなんだろう?

そのヒントは、意外と何気ない日常の中に散りばめられているのかもしれません。

新しく何かを始めるのも大切だけど、まずは身近な人や自分が「ごきげん」でいることから。

家族と過ごすなかで感じる、そんな一瞬一瞬を切り取って、綴っていけたらと思います。

1歳頃から始まったイヤイヤ期を過ぎたと思ったら、また新たな娘の姿が登場したこの頃。

 

「みてて!じぶんでできるで!」「おねえちゃんみたい?」「もう5さいやねん!(本当は3歳)」と年上の子の姿に憧れ、自信満々で背伸びをしたかと思ったら、「まま、やって!」「できない……」「だっこぉ〜」と突然赤ちゃん返りのような姿に。

 

そんな娘の姿を前にした時に、向き合う自分の気持ちに違いがあることを感じます。

 

「じぶんでできる!」「じぶんでやりたい!」という主張は、「そっか、自分でやりたいんやね」と寛容に受け入れられるけれど(もちろん、今は無理!それは任せられない、ということも多々ありますが)、いつもは自分でできることを「ママがして」「できない」とせがまれると、モヤッとしたり苛立ちを感じてしまうことも少なくありません……。

 

「こうするねんで」と見本を見せたり「できないところは手伝おうね」とまずはやってみることを促してみたりもしますが、娘のご機嫌がいまいちなときは甘えたい要求は高まる一方で。

 

そんな日もあるよね〜、と一旦気持ちを受け止めてあげられたら、それで満足するのは頭ではわかっているのに、そのままの姿を受け入れることに、気持ちのブレーキがかかることを感じます。

娘の気持ちに寄り添いながら、おおらかに育ちを見守りたい。

そう思いながらも、なぜ娘の「できない」に対してはこんなに心がざわつくんだろう。

 

そんなモヤモヤをきっかけに自分の気持ちを振り返って考えた時に、私自身が「できない」ことに対してネガティブなイメージを持っていることが大きな要因かもしれないと気づきました。

 

長女なこともあってか昔から人に頼ることが苦手で、自分でできることは自分でやらなくてはという観念が人一倍強くあるように思います。

娘の姿に一喜一憂する自分の感情を一つひとつ見つめていくと、結局は親としての「こうあるべき」「こうあってほしい」という固定観念や理想に気持ちが引っ張られていることが多く。

 

時間や気持ちのゆとりがない状況というのもひとつの要因としてはありますが、無意識のうちにこれまでの経験による価値観が、子育てをする自分の感情に大きな影響を与えているなぁとあらためて感じたのでした。

とはいえ、振り返れば娘が生まれてからの数年間、私がモヤッと感じたことなんてあっという間に置き去りにして、娘はたくましく成長していて。

 

日々一緒に過ごしていると些細なことで悩んだり、どうしようもなく愛おしくて幸せな気持ちになったり感情が忙しい毎日ですが、娘を通して大切なことをたくさん学ばせてもらってるなぁと感じます。

 

自分のあり方、価値観をすぐに変えることは難しいけれど、娘と関わるなかで湧き上がってくる気持ちと一つひとつ向き合っていくことが、より娘と心地よく過ごすためのヒントになるかもしれない。

 

「全部が全部できなくても大丈夫」「まぁいっか」。

 

そんなふうに肩の力を抜いて、自分の暮らしも子育ても今この瞬間をもっともっと楽しめたらいいな、なんて思う今日この頃なのでした。

今回の連載は如何でしたでしょうか。バックナンバーはこちらからご覧頂けます。

【連載】かぞくの栞(しおり)

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

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