40年以上にわたって多くのファンを魅了してきたガンダム。最近では女性にもファンの裾野を広げ、“ガンダム沼”にはまる人を増やしています。今回、そんなガンダムを通じてリサイクルへの関心を高める活動『ガンダムR(リサイクル)作戦 FINAL 2021』が行われました。オープニングセレモニーでは、メディアアーティストでガンダムファンでもある落合陽一さんがガンダムプラモデル(ガンプラ)のランナー(枠)を使って茶室を製作。落合さんのプレゼンテーションでは、ガンダムとリサイクルへの思いがほとばしっていました。(記者:エシカちゃん)
1トンもの端材で製作したガンダムヘッドを会場に展示
おもちゃやプラモデルの製造販売を手掛ける株式会社 BANDAI SPIRITSは、ガンダムを通じてリサイクルの大切さを発信するイベント「ガンダムR作戦 FINAL 2021」を11月20日(土)と21日(日)に東京・新宿住友ビルで開催しました。
BANDAI SPIRITSは10月からの約1カ月間で、プラモを作った時に出てくる端材のランナーをファンの協力で回収。集めたランナーで実物大の「ガンダムヘッド」を展示するなど、楽しみながらエコについて学べる、ガンダムファンにとって見逃せないイベントになりました。
今回の会場は再生エネルギー100%の電力で運営。また、20 日と21 日の会場使用で算出した 二酸化炭素(CO2) 排出量を、温室効果ガスの排出権を指すJ-クレジットを購入することで相殺するカーボン・オフセットを採用しています。
イベント前日の11月19日(金)には新宿住友ビルの三角広場でオープニングセレモニーを実施しました。落合陽一さんや空間演出を手掛けるクリエイティブカンパニー、NAKED, INC.とのコラボ作品を設置、ガンプラに化学的な処理をすることで原料に戻してから再利用するケミカルリサイクルの研究内容を発表するなど、盛り沢山の内容でした。
セレモニーには、「ガンダム R 作戦」のプロデューサーを務めるBANDAI SPIRITSの田口博丈さんとゲストとして落合さんが登場。落合さんは今回手掛けた作品「可塑庵(ぷらあん)」のプレゼンを行いました。「可塑庵」はガンプラのランナーで作った2 畳サイズの茶室です。熱で形が変化していく「可塑性物質=プラスチック」を生態系の循環に見立てています。
廃材を材料にした千利休の茶室から作品のヒントを得る
かねてから茶道を習っていたという落合さん。千利休の手掛けた国宝の茶室「待庵(たいあん)」が廃材や地産地消の材料で建築された事実から、「可塑庵」作りのヒントを得たそうです。「外壁で活用した使用済みのランナーがランダムに積み重なることで、木漏れ日のような自然光や美しい影が(茶室の中に)落ちるのが実に絶妙です」と語った落合さん。「可塑庵」で落合さんからお茶を振る舞われた田口さんも「自然光を感じながらプラモデルのオブジェや掛け軸を眺めて、言葉で表せない素敵な体験ができました」と笑顔を見せていました。
茶文化の持つ侘び寂び(わびさび)を利かせながら、ガンダムらしい近未来性を最大限に生かした「可塑庵」。デジタル掛け軸には溶けていくランナーをイメージした映像や、清らかで澄みきった心境を意味する「明鏡止水」の文字を流しました。これは明鏡止水の境地に達したパイロットが操縦するゴッドガンダムの「明鏡止水モード」を表しているとか。茶室のあらゆるところに落合さんのガンダム愛と、日本古来から脈々と受け継がれてきたリサイクル精神が息づいています。田口さんは「茶室とガンダムという日本文化の融合が面白いし、メッセージ性もある。プラスチックという工業製品の循環をガンプラで表現しているのが大変未来的です」と絶賛しました。
落合さんは「ガンダムは世界中のアーティストが大きな影響を受けている、日本を代表するリサイクルマテリアルじゃないですか。茅葺屋根かガンプラのどちらかというぐらい謎のマテリアルで、地球上のどこを探してみてもこういったものはありません」とコメント。圧倒的オンリーワンのガンダムと「茶碗が割れても金継ぎして使うように、ものを大切にする日本文化の良さが現れている」(落合さん)茶道を組み合わせて作品を創造したことに大きな満足感を得たようです。今後の「ガンダム R 作戦」にも期待していきたいと思います。
記者:エシカちゃん
白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
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