斬新なデザインでビョークやレディー・ガガ、リアーナといった世界的スターをとりこにしてきたファッションハイブランド「アレキサンダー・マックイーン」。コレクションにおけるリアルファーの使用中止やファッションデザイナーを目指す学生への余剰生地の提供など、エシカルな社会づくりにも積極的です。最近では、イギリス・ウェールズ地方に住む学生向けのエデュケーションプロジェクトを発足。彼らが独創的で社会的にインパクトの高いファッションを生み出すためのサポートをしています。(記者:エシカちゃん)
ファーフリーやアップサイクルファッションでサステナブル企業として高評価
アバンギャルドな作風でファッション界に旋風を巻き起こしたイギリス出身のファッションデザイナー、アレキサンダー・マックイーン。彼の名前を冠したブランド「アレキサンダー・マックイーン」はその鮮烈なデザインで、現在も多くのファンを魅了しています。
「アレキサンダー・マックイーン」の特徴は革新的な表現だけではありません。動物愛護の観点からファーフリーに転換し、ファッションを学ぶ若者たちに生産過程で余った生地を寄付、デッドストック生地をアップサイクルした製品を展開するなど、サステナブルな取り組みでアパレル業界を牽引しています。
これらの施策が実を結び、「アレキサンダー・マックイーン」を擁するフランスのケリング社は、カナダの出版社、コーポレート・ナイツが2021年1月に発表した「世界で最も持続可能な企業100社」ランキングの「衣料品・小売分野」において「最もサステナブルな企業」に輝きました。総合でも7位にランクインしています。
ファッションや写真、刺繍をテーマにしたワークショップで子供の学びを応援
そんな「アレキサンダー・マックイーン」が新たな青少年育成を進めています。「2020年秋冬コレクション」のインスピレーションの素になった南ウェールズに住む12~17歳の若者たちを対象にしたクリエイティブ エデュケーションプロジェクトを2020年の夏からスタートしました。
プロジェクトでは、南ウェールズの子供たちを6年以上も支援してきたクリエイティブスタジオ「Ffasiwn Stiwdio」とコラボ。「Ffasiwn Stiwdio」に関わるウェールズ人のクリエイティブディレクター、ジェームス・シャルロットやフランス人のドキュメンタリーフォトグラファー、クレモンティーヌ・シュナイダーマンがアレキサンダー・マックイーンスタジオと共同でファッションや写真、刺繍をテーマにしたワークショップを開催し、彼らの豊かな学びを育んできました。
コロナ禍を受けて対面とオンラインを織り交ぜながら、洋服のデザインや映像制作、写真撮影をレクチャー。シャルロットとシュナイダーマンはワークショップでの子供たちの様子や家族へのインタビューを数日間にわたってウェールズ各地で撮影しました。さらにプロジェクトをテーマにした書籍の出版を決定。子供たちが持つクリエイティブなエネルギーをアートに転換していくプロセスを記録しています。
このプロジェクトは、「アレキサンダー・マックイーン」のクリエイティブディレクターを務めるサラ・バートンがこれまで手掛けてきたファッション教育をさらに進化させたものです。「アレキサンダー・マックイーン」は2019年からイギリスの青少年向けに教育プログラムを幅広く提供していて、ファッション業界を志望する学生に資材を惜しみなく提供しています。
彼らの尽力によって社会的にインパクトのあるファッションが新たに誕生する――才能の循環という意味で、これも一つのサステナブルと言えるのでしょう。最後にクリエイティブ エデュケーションプロジェクトを主導した3人のアーティストの言葉を紹介します。今後も彼らの青少年支援に期待していきたいですね。
アーティストからのコメント
サラ・バートン
私たちは今回のコラボレーションを通じて、ウェールズの若者たちから素晴らしいインスピレーションを受けました。若い人たちにコミュニティやクリエイティブな機会を提供することは、「アレキサンダー・マックイーン」にとって重要な役割です。昨年、皆が一緒に学んだことを記録した作品は、誰もがクリエイティブな活動へ平等にアクセスできるようにすることによって様々な場所で変革が起こせることを証明しています。
ジェームス・シャルロット
私たちは6年間にわたって若者たちと共に仕事をしてきました。私たちの目的は、ワークショップと写真撮影を通して子供たちにクリエイティブ産業への理解を深めてもらい、私たちや他のアーティストと協力しながら、彼ら自身で創造する力を身に付けてもらうことです。
クレモンティーヌ・シュナイダーマン
私たちにとってファッションはそれ自体がゴールではなく、様々なアイデアや選択肢を生み出すための手段です。ワークショップや写真撮影を通して、若者たちにクリエイティブな技術やアートに対する意識と親近感を高めてもらおうと努力しています。
記者:エシカちゃん
白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp