(第33話)娘の発熱に思うこと【連載】かぞくの栞(しおり) 暮らしのなかで大切にしたい家族とwell-being
独自記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
(第33話)娘の発熱に思うこと【連載】かぞくの栞(しおり)

心身ともに健康で、社会的にも満たされた状態であることを意味する「well-being」。

一人ひとりがwell-beingであることが、社会や環境をより良くしていくことにつながるのだと思います。

では、「私にとって良い状態」ってどういうものなんだろう?

そのヒントは、意外と何気ない日常の中に散りばめられているのかもしれません。

新しく何かを始めるのも大切だけど、まずは身近な人や自分が「ごきげん」でいることから。

家族と過ごすなかで感じる、そんな一瞬一瞬を切り取って、綴っていけたらと思います。

娘の発熱

あれ、なんかあったかい。

 

あと2分で家をでないと遅刻しそう!という状況で娘が「おなかいたい……」と言い出し、心配になりつつ内心(もうちょっと早く言ってくれたら……)と焦る気持ちを抑えて、便座に腰掛ける娘の背中をさすっていた時のこと。

 

熱がある時の独特のボワッとした温かい空気を娘の肌に感じ、これはもしかして……とリビングの椅子に座り直し、体温計を脇に挟んだら案の定ぐんぐん上がっていく数字。

38.5℃のところでアラーム音がなり、「ごめん、しんどかったね……」。娘の体調の変化に気づく余裕のなかった自分の状態を反省したのでした。

突然の熱は、園でまた流行りだしているらしい冬の風邪か、ここ最近の寒暖差の影響かなぁと思いつつ密かに原因として思い当たることが。

 

11月から12月にかけて夫は仕事の繁忙期、私は仕事の環境の変化があり夫婦ともに気持ちの余裕がなくなって、ちょっとしたことで険悪なムードになったり娘に対しても叱ることが増えたりと、暮らしにじわじわとしわよせが出ていました。

 

娘が熱を出す前の日も、出先の帰り道の車の中で夫と言い合いになったことをきっかけに、色々なことが重なって張り詰めていた気持ちがぷつーんと切れそうになっていた私。

 

振り返ってみれば、娘が熱を出すタイミングというのは何かしら家族のなかで不調和がある時が多く、娘が体に反応を出してその状況を受け止めてくれているのか、娘のケアに気持ちが向けられていないことによるのか、ただ単にうつったものであるのか、確かな原因はわかりませんが、私と夫の心身の状態が娘に大きく影響はしていることは間違いないなぁと感じます。

 

娘の発熱はそんな家族のピンチを察するかのようなタイミングで、このままじゃ無理がある、というメッセージでもあるのかもしれないと思わずにはいられませんでした。

 

一方、娘を看病しながら突然のお休みにどこかホッとしている自分もいて。

熱でまっかな頬をして横になる娘に心の中でそっと謝りつつ、新しい一年を迎える前に、今の家族や自分自身のあり方に立ち止まって目を向けるきっかけをくれたことに感謝したのでした。

娘は3日ほどゆっくり過ごして「はやくほいくえんいきたいー!」とすっかりいつもの調子です。その姿に安心すると同時に、日々家族みんなが健やかに過ごせることのありがたさを改めて噛み締めた年末でした。

 

 

今年の4月からウェルビーイングをテーマにわが家の暮らしの色々を綴らせてもらってきたのですが、当然ながらいつも何時もみんなごきげん、とはいかないのもまた日常です……。

理想を描いて、そうなれない自分自身に落ち込んだり、時には家族を責めてしまったりしたことも少なからずありました。

 

でも、そうやってぶつかったり悩んだりすることで、また一歩「こうあれたらいいな」と思うものに向かっていける手応えもじんわりと感じていて。

ついつい完璧主義に陥りがちな私ですが、時には自分や家族が「こうありたい」姿からかけ離れていたってそれもよし。そんなおおらかさと共に、これからも私たち家族にとってのウェルビーイングを模索していけたらいいなぁと思います。

 

最後になりましたが、2022年もどうぞよろしくお願いいたします。

今回の連載は如何でしたでしょうか。バックナンバーはこちらからご覧頂けます。

【連載】かぞくの栞(しおり)

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
【ethica Traveler】 連載企画Vol.5 宇賀なつみ (第4章)サンフランシスコ近代美術館
独自記事 【 2024/3/20 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 本特集では、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブ...
冨永愛 ジョイセフと歩むアフリカ支援 〜ethica Woman Project〜
独自記事 【 2024/6/12 】 Love&Human
ethicaでは女性のエンパワーメントを目的とした「ethica Woman Project」を発足。 いまや「ラストフロンティア」と呼ばれ、世界中から熱い眼差しが向けられると共に経済成長を続けている「アフリカ」を第1期のテーマにおき、読者にアフリカの理解を深めると同時に、力強く生きるアフリカの女性から気づきや力を得る...
持続可能なチョコレートの実現を支える「メイジ・カカオ・サポート」の歴史
sponsored 【 2025/3/19 】 Food
私たちの生活にも身近で愛好家もたくさんいる甘くて美味しいチョコレート。バレンタインシーズンには何万円も注ぎ込んで自分のためのご褒美チョコを大人買いする、なんてこともここ数年では珍しくない話です。しかし、私たちが日々享受しているそんな甘いチョコレートの裏では、その原材料となるカカオの生産地で今なお、貧困、児童労働、森林伐...
【ethica Traveler】  静岡県 袋井市の旅 おいしいもの発見!
独自記事 【 2025/3/20 】 Work & Study
日本列島のほぼ真ん中で、駿河湾を囲むように位置する静岡県。その中でも、太平洋に面する西の沿岸部に近いところに袋井(ふくろい)市があります。東西の交流地点として、古くから人や物や情報の往来を支えてきた袋井市は、高級メロンやリゾート、由緒正しき寺院など、未知の魅力がたくさんあるユニークな場所です。今回は、そんな袋井市の中で...

次の記事

読者対話型連載「あなたにとってウェルビーイングとは何か」 第6章:教育の現場から編(第2節)
~サステナブルブランドであるために、「コミュニケーション」にできることは~ 【事例紹介】 電通 竹嶋理恵/大屋洋子

前の記事

スマホのホーム画面に追加すれば
いつでもethicaに簡単アクセスできます