大谷: プレスリリースも拝見しましたが、電通さんがプロダクトを作るというか、ある意味メーカーというかB to Bの位置に入るということはすごいなあと思いました。それが全部サーキュラーエコノミーで、素材の調達からということも発表されましたね?
竹嶋: はい、そうです。先ほどのセミナーの中でもお話をしたのですが、私たちにとってもすごいチャレンジだと思っています。
今や時代は、出来上がったものがよければいいということではなく、、作るところから、それこそ素材はどうするかとか、作り方とか、あるいは出来上がった商品のデリバリーの仕方、店舗での売り方とか、そういうプロセスまで考えなければいけなくなっています。
そして、何よりも売った後のことまで考えて、ちゃんと設計できているかどうかが、これから求められていきます。電通はもともとコミュニケーションを強みとした会社ですが、今はそれだけでなくさらにもっと幅を広げて、バリューチェーン(価値連鎖)全体でソリューション(解決・解答)を提供できるように体制を整えています。日本ではサーキュラーエコノミーはまだまだだといわれていますが、世界的には完全に波が来ていますので、ここにきちんと乗っていく必要があると思っています。電通としてもチャレンジですが、他の企業様も皆さん、すごくチャレンジされていますので、そこにちゃんとソリューションをご提供できるようにと始めたところです。
大屋: 電通は、生活者へのコミュニケーションを得意としていることもあり、「生活者をよく知る」ための調査分析やインサイトはベースとして行っています。ただ言葉の認知を取るといったことだけではなく、今、生活者がどういう生活をしていて、どういう価値観を持っているのか、社会課題への向き合いはどうなっているのか、などについて把握し、コミュニケーションにつなげていきます。私たちのチームも、まずはそういったリサーチやコミュニケーションからスタートしました。ただ、本当に社会課題を解決していくためには、それだけでは十分ではないと気づき、今、竹嶋がお話したようなサーキュラーエコノミーといったところまでちゃんとカバーしていけるようにと、取り組み範囲を拡大しているわけです。
竹嶋: SDGsをどこから始めたらいいんだろうかと迷っている企業さんも多いと思うのですが、それは私たち電通も他の広告会社も同じで、私たちとしては何ができるだろうか、どこからできるだろうかというのを日々模索しています。その中でいろいろな方々と出会ったり、仲間となって進めていくなかで、ソリューションの形もどんどん変わっていますし、お付き合いをする方や一緒に組む相手もどんどん広がっています。
大谷: 僕も会社を創業して9期目に入りましたが、ずっとこのテーマでやっていて、実は前職でもそういったテーマに取り組んでいました。ですから、もう10何年も続けているのですが、企業さんのお話を聞いていても同じような課題だと思います。
結局突き詰めていいますと、これは両輪だと思うのですが、原材料の調達のところのサステナビリティとコミュニケーションとで、今までタッチされていた生活者の意識の両方の歯車が回らないと事業にはなりません。どっちか片方ではダメなんですよ。
竹嶋: おっしゃる通りで、私もそう思います。