【ethica Traveler】(第2話)バリ島ウブドのエシカルホテル
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【ethica Traveler】(第2話)バリ島ウブドのエシカルホテル

私たちは、どうして旅に出かけたくなるのでしょう。それは、新たな体験をするためだったり、日ごろの疲れを癒すためだったりするかもしれません。そこにもうひとつ、「誰かの幸せのために」「社会や環境のために」という切り口を加えると、旅がより奥深いものになります。そんな新しい旅のカタチを提案するのが、連載企画「ethica Traveler」。アフターコロナに向けて、どんな旅に出たいかを一緒に考えてみませんか。

(第2話)は、2019年9月にバリ島ウブドにオープンしたエシカルホテル(※)「Mana Earthly Paradise(マナ・アースリー・パラダイス)」をご紹介していきます。(記者:エシカちゃん)

※エシカルホテル……環境と社会に配慮したホテルのこと。一般的に「エコホテル」「エコフレンドリー・ホテル」と呼ばれるものがあり、リサイクルや電力時給、固形廃棄物の削減、節水などが特徴。

エシカルホテルを手掛けた背景

バリ島は、インドネシアに浮かぶ小さな島。東南アジア屈指のリゾート地として知られる場所です。ユネスコ世界文化遺産にも選ばれたライステラス(棚田)をはじめ、海や山などの美しい自然風景が広がります。街なかにはヒンドゥー教の寺院が連なり、ヨガやヒーリングなどホリスティックな暮らしが根付いています。

独特の景色や文化に魅了され世界中から多くの観光客が訪れる一方で、それが地域の環境や暮らしに負荷を与えており、大きな課題となっています。海岸部におけるプラスチックごみの蓄積もそのひとつです。観光客が持ち込んだペットボトルやレジ袋などによるものが多く、現地には大規模なゴミ処理施設やゴミを分別する習慣がないため、問題が深刻化しています。

もうひとつ、水不足も顕著な問題です。観光客が大量の水を使用しているために、現地の人たちが十分な水を得られず、稲作など暮らしに支障をきたしています。これらの問題の根幹には「オーバーツーリズム」との関係も示唆されています。オーバーツーリズムとは、特定の観光地に著しい数の観光客が訪れ、地域の自然環境や景観、暮らしに負の影響をもたらすこと。バリ島だけでなく、人気のある観光地ではよく見られる課題です。

こうした状況を少しでも改善し、地域が良くなるようなシステムを作りたいーー。そんな想いから生まれたのが、Mana Earthly Paradiseです。

地域の環境と社会にやさしい、Mana Earthly Paradiseの魅力

Mana Earthly Paradiseの魅力を一言でいえば、「泊まるだけで社会貢献ができる」ということ。社会貢献と聞くと身構えてしまいそうですが、そんな必要はありません。ここで気持ちよく過ごすことが、地域の環境や暮らしを守ることにつながります。ここでは、「泊まる」「食べる」「使う」という3つの視点から、その特徴をお伝えしましょう。

【泊まる】  地域の環境にやさしいヴィラ「Mana Eco Villas」

建築資材の調達にあたり、森の木を伐採することなく、廃材またはサステナブルな建材として知られる竹を使用。土のうを積み上げる「アースバック工法」という方法で建築を行いました。照明には太陽光発電、水は雨水を利用しています。シャワーやトイレは、節水タイプのものを採用。バリ人が稲作に使う水を確保するため、キッチンや浴室からの排水をろ過しては草花の水やりに使うなど、徹底して水の節約に努めています。シャンプーやせっけんは、環境に配慮したものを使用しています。

食べ残しや生ゴミは敷地内の農園の肥料にし「farm-to-table」を実践。

「farm-to-table」を実践し、 命を無駄にしない循環 を目指している。

【食べる】 命を育む食養生レストラン「Mana Kitchen」

食材は、品種改良されたものではなく、在来種の種からパーマカルチャーで育てたものを使っています。化学調味料は使わずに、麹など日本の発酵調味料を使用して調理しています。メニューのコンセプトは「命を育む」。ヘルシーかつ満足感の高いメニュー内容となっています。食べ残しや生ごみは敷地内にある農園の肥料とするなど、命を大切にする循環にも取り組んでいます。

【使う】 自分も地域も良くするエシカルショップ「Mana Market」

体と自然と社会に良いインドネシア国産の商品を扱うショップです。包装には使い捨てプラスチック製のものを使わず、できるだけ量り売りをしています。現地の母親や障がい者、ストリートチルドレンを支援するNGOが作った商品なども販売。買い物をすることで、地域貢献や社会課題の解決につながる仕組みになっています。

ほかにも、ホテルスタッフを近隣の村から採用し、地域雇用の推進にも努めています。事業で得た利益は、アジア太平洋のチェンジメーカーを支援する活動「IMPACT HERO支援事業費」に活用します。

旅先で新しい体験をして何かを発見することは、自分自身を見つめ、それまでの意識や行動を変えるきっかけになります。Mana Earthly Paradiseで過ごす時間は、まさしく発見に満ちたものになりそうです。アフターコロナの旅先候補として、ぜひ書き留めておいてはいかがでしょうか。

2021年10月、オンラインアカデミー「IMPACT ACADEMY」がスタート!

このホテルを手掛けたのは、日本人が代表を務める一般社団法人Earth Company(共同創設者:濱川明日香・濱川知宏、以下、Earth Company)。Earth Companyのビジョン「次世代に残せる未来を創出すること」を体感できるホテルです。

Earth Companyでは、Mana Earthly Paradise など「バリ島エシカルホテル事業」のほかに、2つの事業を展開しています。そのうちのひとつが、2021年10月から本格始動した、オンラインアカデミー「IMPACT ACADEMY」です。

アカデミーの目的は、SDGsのその先を見据え、犠牲を生まずに発展する「リジェネラティブ」な未来を創るための行動を起こす「人」を育成すること。コースは「企業向け」「学校向け」の2種類に分かれており、教材は世界的に評価されているアジア太平洋地域のチェンジメーカーの人生をもとに作っています。

このアカデミーが生まれた理由のひとつに、SDGsは企業や学校などで広がっているものの、本質的な理解が進んでいないということがあります。本アカデミーでは、SDGsの本質を体感し、世界の課題を自分のこととして捉えることで、あるべき理想の未来に向かって行動を起こすことを目指しています。

Mana Earthly Paradiseの存在を知り、「Earth Companyに関心を持った」「何かできることを始めてみたい」という人は、ぜひ公式サイトをチェックしてみてはいかがでしょうか。

アフターコロナに向けて、どんな旅に出たいかを一緒に考えてみませんか。

今回の記事では、「誰かの幸せのために」「社会や環境のために」という旅のカタチとして、Mana Earthly Paradiseの事例を中心に紹介しました。まだ出会っていない場所や風景、そして、まだ知らないその土地の魅力や課題が数多くあったのではないでしょうか。

人生は一度きりで、旅に使える時間も限られています。いろんな場所へ赴き、実際に体験して考えるこで、自分にとっても社会にとっても意義深い人生になるのではと感じています。

アフターコロナに向けて、あなたはどんな旅をしてみたいですか。可能性はたくさんありますが、すべては「知る」ことから始まります。ethica Travelerでは、世界のサステナブルな旅について紹介していきます。世界各地の事例をもとに、自分らしい旅のあり方を一緒に考えていきましょう!

記者:エシカちゃん

白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。

ーーBackstage from “ethica”ーー

Earth Companyで支援しているチェンジメーカーのひとりであるSamir Lakhaniへのクラウドファンディングが、2022年4月1日から開始されます。彼の活動内容は、未使用で捨てられる石鹸をリサイクルし、廃棄物削減と女性の雇用を促進しつつ、最貧困層の人たちに届け彼ら命を救うというもの。CNN HEROESにも選ばれたことで世界的な注目を集めています。詳しくは以下のサイトをご覧ください。

▼IMPACT HERO 2022 : Samir Lakhaniについて

https://www.earthcompany.info/ja/blog/impacthero-2022/

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

エシカちゃん

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